熊本地震が発生して、およそ1か月が経過しました。被災された皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。
今回の熊本地震ではIT活用の幅が広がっています。
これまでは行政機関等から発信された情報を被災者が受け取るという一方通行の情報発信が主でした。
しかし熊本地震では、被災者は必要な情報を受け取るとともに自らの窮状や要望等を発信し、行政組織や支援事業者・支援団体はこうした発信を含む様々な情報を収集して様々な対応を行いました。
そして、その結果を改めて情報発信して被災者が新しい情報を受け取るという流れとなり、一つのサイクルを形成しました。この様な情報サイクルの形成はこれまでの大きな災害では見られなかった事象です。
今回の熊本地震でIT活用が広がった要因は、以下の3点だと考えられます。
第1はスマートフォンやタブレット等のモバイル端末の普及です。被災者はモバイル端末から絶えず必要な情報を収集できました。多数の無料Wi-Fiスポットが開設されたことも大きな支援になりました。
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第2はビッグデータの活用です。被災者等によるTwitterやFacebook等のソーシャルメディアサービス(SNS)への投稿を収集して様々な対応を行う動きがありました。また、IoT(Internet of Things)データの活用も行われました。
第3はクラウドサービスによるリアルタイム情報の提供です。上記のビッグデータを含む様々な情報やその集計結果等のリアルタイム情報を、被災者はモバイル端末から確認できました。
国立研究開発法人情報通信研究機構で公開する対災害SNS情報分析システム「DISAANA」はTwitterの投稿内容や発信場所などをリアルタイムに分析し、災害に関する問題やニーズを自動的に抽出して公開する仕組みです。
政府や自治体では「DISAANA」情報を参考に物資の不足状況、衛生面や空き巣等の発生状況、等を把握し、対応を行っています。
トヨタやホンダは、カーナビから発信された走行データを地図上に反映した道路通行情報を公開しました。これにより、地震で道路が寸断されたにもかかわらず、物資の輸送、支援活動、避難等の移動を支援しました。
Googleの「熊本地震リソースマップ」は、避難所、炊き出しや支援物資の提供、給水場所、等、被災者に必要な様々な情報を公開しています。
この情報は東日本大震災で活動した大学生らによる「熊本大分支援コミュニティ(Youth Action for Kumamoto:YA4K)」が行政ウェブサイト、報道各社の記事、現地協力者の情報、SNS投稿などを総合して場所を特定し、地図情報に反映して随時更新しています。
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今後、こうしたITの活用はさらに進むと想定されますが、課題もあります。
ITを活用して膨大なデータを収集し、集計することはできますが、その結果を分析、評価し、行動につなげるのは人間です。
つまり、ITを活用した結果を分析する人材の養成が必要不可欠になります。
例えば、SNSの投稿が多い場所に優先的に物資を送ろう、という単純な話ではなく、様々な情報を組み合わせて最適配分を行わなければなりません。
時にはネット情報に紛れる「ノイズ」を除去しなければなりません。
報道等で話題になった、「動物園からライオンが逃げた」「ショッピングモールが火事」といったデマ情報もこれに含まれます。
ITの機能が進化しても、これを活用する人間のスキルが追い付かないと、ITを活用したとは言えません。
支援者、被災者ともに信頼できる情報を取捨選択し、行動につなげるスキルが求められています。
参考(URLは2016年5月16日現在)
国立研究開発法人情報通信研究機構、対災害SNS情報分析システム「DISAANA」(http://disaana.jp/rtime/search4pc.jsp)
トヨタ「通れた道マップ」(https://www.toyota.co.jp/jpn/auto/passable_route/map/)
ホンダ「道路通行実績情報」(http://www.honda.co.jp/oshirase/20160415/map.html)
「熊本大分支援コミュニティ」(http://20160414kumamoto.wix.com/community)
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