限定公開( 42 )
『けいおん!』シリーズや『響け! ユーフォニアム』シリーズなどで知られるアニメ制作スタジオ・京都アニメーション(以下、「京アニ」)が、同社が主催する「京都アニメーション大賞」で、2014年に大賞を獲得した小説『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(作:暁佳奈)のアニメ化企画進行中であることを発表、同時に公式サイトでPVも公開した。
圧巻的な作画、細緻で雰囲気ある美術や小道具、そしてぬるぬるよく動く動画は「ただただ綺麗だな、このPV…」「これはすげええ!」とアニメファンから絶賛されているが、「京アニ、ようやく本気を出してきたな」「スタジオとして、総力結集!ていう感じが出てる」といった声も上がっているようだ。
「京都アニメーション大賞」は2009年10月に発足し、これまでに全7回が開催された。基本的には小説、マンガ、シナリオの3部門(シナリオは一時廃止されたことも)の作品を募集し、各部門ごとに大賞と奨励賞を定めていく。
第1回小説部門の『中二病でも恋がしたい!』(作:虎虎)、第2回小説部門『境界の彼方』(作:鳥居なごむ)、『ハイ☆スピード!』(作:おおじこうじ/TVアニメは『Free!』として放送)、そして第4回小説部門『ファントム・ワールド』(作:秦野宗一郎/TVアニメは『無彩限のファントム・ワールド』と改題)という、奨励賞を受賞した4作品が京アニによってアニメ化されている。人気、実力ともに定評がある京アニによるアニメ化は、ライトノベル作家志望者にとっては大きな魅力であることは間違いない。
だが「京都アニメーション大賞」は、第3回(12年)、第6回(15年)、そして5月18日に選考結果を発表した直近の第7回は“全部門該当作なし”と、えらく辛口な賞としても知られる。7回も開催してきて、大賞を受賞したのは全部門を通して今回話題となった『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』だけ。
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しかも、小説部門の受賞作の一部は、京アニが発行するライトノベルレーベル「KAエスマ文庫」から発行されているが、それも受賞作の全てが出版してもらえるわけではない。加えてKAエスマ文庫作品は、全国の書店に流通するわけではなく、京アニ作品のグッズを扱う直営店「京アニショップ!」の店舗およびオンラインストアや一部の京アニグッズ取扱店、アニメイトや文教堂などの一部書店でのみ購入可能と、ほかラノベの新人賞に比べると、審査が辛いわりにリターンはややショボいといえるかもしれない。
その上、せっかくアニメ化された4作品は、いずれも原作小説から大幅な設定変更がなされていたりもする。はたしてライトノベル作家志望者の何割ぐらいが、「京都アニメーション大賞」への応募を決意するかというと、いくら京アニによるアニメ化というごほうびがあるとはいえ、わりと微妙な数字になるのではないだろうか(応募総数は発表されていないよう)。
とはいえ、 受賞作品はそこそこ高確率でアニメ化されるわけだから、受賞へのハードルが高くなるのもやむを得ないことなのだろう。それだけに、現時点では「京都アニメーション大賞」で唯一の大賞作『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のアニメ化作品は、京アニも気合を入れて制作に臨むはずと、多くのアニメファンが期待してきたところであったが、今回のPVは見事その期待に応える内容であったようだ。
現在はアニメ化企画進行中であるという文言とPVが発表されただけで、発表媒体や時期などの詳細はまだ未発表。京アニが総力を挙げて制作される(はずの)『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』はどんなアニメとなるのか、そして『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』に続く作品が「京都アニメーション大賞」で発掘されるのか、今後も京アニの動向に注目していきたい。
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