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■ 妊産婦、心のケアが必要な事情とは
2016年5月13日の『朝日新聞』朝刊に、「妊産婦4万人心のケア必要」という記事が掲載されました(※1)。それによると、うつ病などから治療、あるいは精神面におけるケアが必要な妊産婦は年間を通して約4万人いるということです。また最近、東京都が実施した調査では、うつ病などが原因で自殺した妊婦は10年間で63人にのぼります。
横浜市や大阪府など行政の中には、「産後うつ」対策を具体化するため啓発物を作成したり相談センターを設置する動きが出ています。
母娘関係改善カウンセラーの筆者のもとにも、妊娠中の方が相談に来られることがあります。また、出産後まもない方の場合は、自宅での出張カウンセリングを依頼されるケースもあります。どちらのケースも、相談内容は実母との関係についてが多いのです。
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■ 妊娠が嬉しくない
クライアントのA子さん(33歳・主婦)は、以前から実母との折り合いが悪く、筆者のカウンセリングルームに来られていました。3回目のセッションの時、「私、妊娠しました」と言われたのですが、表情は曇ったまま。ちっとも嬉しそうには見えないのです。
A子さんは、出産後に実家に戻るよう実母が強く勧めているとのこと。ですが、「同じ空気を吸いたくないくらい、母親と一緒にいるのは耐えきれない」と言います。そして、実母が孫の世話を口実にA子さんと接してくることが予想され、暗澹たる気持ちになるとのこと。
A子さんは妊娠した自分を案じるより、母親への嫌悪感で頭がいっぱいになってしまっているのです。このようなケースの場合は、出産後、実母とあまり関わらないようにするにはどうしたらいいか、具体的にイメージし準備した方がいいかもしれません。今までにも実母より姑の方が居心地がよいとして、産後は夫の実家に滞在した人もいます。何よりも最優先すべきは妊婦さんの心と身体の健康です。
もちろん、娘が母親となってことで、実母との関係が変化することもありますが、今現在、実母に対し嫌悪感があるのなら無理してまで一緒にいることはありません。大事なのは、自分がどうしたいのか。その気持ちに正直になることです。また、出産するとなかなか機会がないでしょうから、妊娠中にカウンセリングを受けることも検討されてはいかがでしょうか。
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[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー), 2016年6月5日]
【参考】
※1. 『朝日新聞デジタル』「年4万人の妊産婦「うつ病などの治療必要」」
※2. 『朝日新聞デジタル』「妊産婦の自殺、10年で63人 東京23区、うつ病など」
※写真:PIXTA、本文とは関係ありません
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