水のいらない観葉植物、空気洗浄効果にも期待

1

2016年06月06日 11:10  FUTURUS

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

「水のいらない観葉植物として話題のPikaplantがオランダを中心としたヨーロッパ諸国で静かなブームを呼んでいる。「水をやる必要がない?それじゃあ、プラスティックか何か?」と思うなかれ。これはれっきとした、正真正銘の生きたプラントなのだ。

 テーブルの上に飾れる小さな「ビオトープ」

考案者は2人のオランダ人、ダニエル・スタージョ、ヨースト・ファン・ウデンである。彼らは大きなガラス瓶の中で、小さなエコシステムつまり、植物、土壌、水、空気の中の微生物が己の自然生態系を構築する、「ビオトープ」を現実化させるべく、このプラント生産の企画を立ち上げた。

観葉植物などの植物が身近にある生活は、人間をクリエイティブにし、ストレスを減らす効果があることは周知だ。植物には、気中の湿度を調節するのみならず、人間の身体にとって有害な物質を積極的に削除する役目をも果たすとされる。人の生活にうるおいを与えるために考案された、このPikaplantだが、最大のウリは、ほぼ世話いらずなことだ。プラントの種類にもよるが、約8か月から約1年間は、定期的に水を与える必要がない。その理由は、密封されたガラス瓶の中で、天然の高湿ビオトープ状態が保たれているためだ。小さな空間の中で、プラント、土、水、酸素が理想的な自然形態を構成しているからに他ならないといえよう。

室内の空気清浄も。インテリアとしてのデザインも抜群

このPikaplantは現在、3種類が販売されている。もっとも人気があるのは、インテリアとしてオフィスのデスク上などに気軽に置ける、商標名・Coffea(コフェア)というミニ・コーヒープラントだ。こちらには、エチオピア産のアラビカ種が使われているという。

もうひとつは、Tableau(タブロー)という名前のプラントで、大きめのガラス瓶にプラントを植えた鉢が3つ、そして水が入ったメタル製の鉢がひとつ入っているものだ。ガラス瓶という狭いスペースの中だからこそ、自然な環境が実現できる!と謳われたこのTableauでは、乾期と湿気のバランスをうまくコントロールするために、この鉢の中の水が効力を発揮するのだ。こちらは、料理に使えるハーブや、美しい花を咲かせるゼラニウムなどを一緒に植えて楽しむことができるのがウリで、昨年度のヨーロッパ・デザイン・プロジェクトの上位50位内にランクインする快挙を成し遂げている。

3つめは、室内の空気の洗浄効果も期待できるという、インテリアにもふさわしいPikaplant One(ピカプラント ワン)がある。こちらは、数種類のプラントをたくさん置ける棚に、水で満たしたタンクが設置されているものだ。このタンクにはちょっとしたデバイスが仕掛けられており、「満ち潮」と「引き潮」のコントロールができるようになっている。つまり、タンク内で、独自に灌漑システムを提供しながら、すべてのプラントに十分な水が行き渡るようになっているのである。「でも、タンク内で水を動かすのだから、電気が必要なんじゃないの?」という疑問があるかもしれないが、もちろん、これもすべて自然に行われる。このPikaplant Oneは現在、オフィスや図書館、ブティックなどでインテリアの一部として利用され人気がある。

ケアあれこれと、日本上陸の可能性

それではPikaplantの理想的な楽しみ方をここで紹介しよう。ガラス瓶という狭いスペースの中で生きているプラントにとって、理想的な環境を壊さぬよう細心の注意を払う必要がある。最も大切なのは、最適な置き場所を選ぶことだそうだ。プラントを置く場所の温度に留意することはいうまでもなく、たとえば1日の気温が激しく変化するような場所、つまり、日中は直射日光があたるが、夕方から暗くなり急激に温度が下がるような場所は、まず避けねばならないという。ただ、太陽光はプラントの光合成に不可欠なので、窓から光が入る場所に置くことは好ましいのだが、その場合であっても2メートルほど、窓から離して置くのが理想的だそうだ。

pikaplant1

ところで、このPikaplantの寿命はどのくらいだとお思いになるだろうか。プラントが植えられた環境、つまり温度や湿度、そして太陽光の当たり具合などが常に良好に保たれていれば、プラントは1年以上、生き生きとした姿を見せてくれるという。しかし、プラントも生き物である。理想的な環境を保っていたとしても、いつの間にか枯れたり、カビが生えたり、土中にいた虫や細菌が葉を食べてしまったり・・・といったことが起きるかもしれない。その場合の対処法のひとつとして、葉が枯れたらさっさと捨ててしまうこと、カビが生えたらその部分を惜しまずカットすることが重要だという。

インテリアとして部屋やオフィスをグリーンに彩るのみならず、室内の気中鮮度や湿度を適度に保ち、空気洗浄をも行ってくれる効果をもたらす、Pikaplant。オランダのみならず、隣国ドイツやベルギーでも「究極のエコ・プラント」として静かなブームを呼んでおり、近い将来の、日本上陸が待たれる。

<関連サイト>

http://pikaplant.com/?lang=nl

動画・画像が表示されない場合はこちら

    ニュース設定