流産とは様々な考え方がありますが、一般的に人工的ではない原因によって、胎児が妊娠22週目未満までに失われてしまうようなことを言います。
原因には様々なものが挙げられますが、未だ原因不明であるようなものが多いものが現状です。
そんな中でも今回は、“切迫流産”にフォーカスしてお話させて頂きます。
■流産は「2つの原因」に大別される
流産は大きく分けると2つ、“胎児に原因がある場合”と“母体に原因がある場合”とに分けることができます。
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特に、妊娠12週目までに起こる流産は、全体の約85%にのぼり、染色体異常や先天奇形など「胎児側に原因が多い」と言われています。
残りの15%は妊娠13〜21週目に流産が起こってしまうものを言いますが、こちらは「母体側に原因が多い」と言われています。
■「切迫流産」はまだ流産していないが…
今回お話させて頂く“切迫流産”は言葉を見てみると、一瞬“流産してしまった状態”と捉えてしまうことが多いのですが、流産してしまう可能性が高くなってしまっているという状態であり、流産はしておりません。
しかし、出血や子宮のけいれんなどがあるために、そのまま放置しておくと流産の可能性が高くなってしまいます。
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特に、出血量が多い場合はそのまま流産してしまう可能性が高いと言われています。
“切迫流産”の兆候としては、前述したように出血や下腹部痛があります。特に妊娠初期の場合は、まだ妊娠継続に対して安定していないために、不正出血がみられる場合があります。
しかし「いつもの不正出血、出血も少ないから大丈夫!」と考えてはいけません。不正出血があるということは、子宮に何かしらの状態が引き起こされてしまっているということ。
さらに下腹部痛(鈍痛など)も強く出てしまっている場合には、流産してしまう可能性が高くなってしまいます。
少しの出血でも遠慮することはありません。必ず、かかりつけの産婦人科へ相談するようにして下さい。
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■喫煙や飲酒は避けて!「切迫流産」を招きやすいNG生活習慣
切迫流産は、子宮内において胎児が不安定となってしまうことが原因の1つであると言われています。
では不安定となってしまう原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
もちろん全員に当てはまるわけではありませんので、ご理解いただきたいのですが、
・女性器関連疾患(子宮筋腫など)
・多胎妊娠
・生活習慣(身体の冷えやストレス、疲労)
などが挙げられます。
女性器関連疾患や多胎妊娠などは、適切な治療を産婦人科にて受けるようにして下さい。
一方、生活習慣(身体の冷えやストレス、疲労など)に関しては、どれも血管を収縮させてしまうものですから、血流が悪くなってしまい切迫流産につながってしまうという可能性が否定できません。
妊娠中は、血流が悪くなるような生活習慣、すなわち、
・喫煙
・飲酒
・カフェインの摂取し過ぎ
・無理なダイエット
などのNG習慣を避けるのはもちろんのこと、ストレスを溜めないようにすることも重要であると考えられます。
■切迫流産の可能性があるときは「安静第一」
「切迫流産の可能性が起こってしまった」と言う場合でも焦らないようにして下さい。
その焦りがストレスとなってしまい、血流が悪くなってしまう可能性も十分に考えられます。あくまでも、切迫流産はまだ流産をしているというわけではありません。
切迫流産をしてしまいそうなときやしてしまった時は第一に“安静”が挙げられます。出血があった時点でまずは産婦人科へ受診するようにして下さい。
「これくらいなら経験上大丈夫」と言う油断は禁物です。
切迫流産を防ぐために大事なことは、“自分の身体をいたわる”ということになります。通常切迫流産の可能性がある場合は、“安静第一”となります。
その後、必要に応じて止血剤や子宮収縮を抑制するお薬を用います。いずれにしても、切迫流産そのものを引き起こさないためにも前述したように体を冷やさない、ストレスを溜めこまないということが必要になってきます。
もちろんこれは全員に対して当てはまるというわけではありませんが、一つの参考としてみて頂ければ幸いです。
なお、筆者の妻も少し出血があった時にはまず安静にしておりました。
産婦人科医からは「生活習慣に気を付けるように」と言う指示がありましたので、妊婦の皆さんには、やはり生活習慣に注意していただければと思います。
【参考】
※ メルクマニュアル医学百科家庭版、切迫流産
※ Julenochek / Halfpoint – PIXTA
【著者略歴】
※ 川上 智史・・・北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程修了、医学博士。予防医学を専門とし、医学的に美と健康に主眼を置き研究を続ける。各種教育機関や講演会において予防の重要性を啓発している。
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