「ハリー・ポッター」新作 黒人ハーマイオニーに世界で賛否両論

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2016年07月05日 19:42  新刊JP

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(J.K.ローリング公式サイトのキャプチャ画像)

「ハリー・ポッター」シリーズのファンであれば、「ハリー・ポッター=ダニエル・ラドクリフ、ハーマイオニー=エマ・ワトソン」のイメージができあがっているはず。
それだけに、このキャスティングに違和感を持ってしまう人も多いのかもしれない。

2016年7月にロンドンでスタートする予定の「ハリー・ポッターシリーズ」初の舞台、「Harry Potter and the Cursed Child」(日本語訳:ハリー・ポッターと呪われた子供)のキャストが昨年12月に発表された時、ハーマイオニー役にアフリカ系女優ノーマ・ドゥメズウェニが起用されたことに全世界で賛否両論が起こったが、6月1日、改めて公式インスタグラムでキャストの写真が公開されたことで、議論が再燃している。

インスタグラムに寄せられたコメントを見ても「これはハーマイオニーじゃない」「なんでハーマイオニーが黒人なの?」といった意見や、「肌の色は才能とは関係ない」「どうして肌の色で判断しようとするの?」と、キャスティングに対する困惑を人種差別だとして批判する意見が乱れ飛んでいる状態だ。

Ron (Paul Thornley), Hermione (Noma Dumezweni) and Rose Granger-Weasley (Cherrelle Skeete) from the new play Harry Potter And The Cursed Child. First public preview is in 6 days! #HarryPotterPlay #CursedChild

HarryPotterAndTheCursedChildさん(@hpplayldn)が投稿した写真 - 2016 5月 31 11:02午後 PDT




そんな中で、スペインの日刊紙「El País」が「Motivos por los que no debería sorprendernos que la nueva Hermione sea negra(新しいハーマイオニーが黒人であっても驚くべきではない理由)」という記事を配信、このキャスティングを批判する人々をたしなめているので、一部紹介しよう。

■原作者J.K.ローリングの感想は?
「ハリー・ポッター」シリーズの作者であるJ.K.ローリングは、昨年12月、今回のキャストが発表された際に、ツイッターでこんなことをつぶやいている。

「設定は茶色い目、くせっ毛、ものすごく賢い。白い肌、としたことはありません。ローリングは黒人のハーマイオニーが好きです」

確かに、原作ではハーマイオニーが白人だとする描写はない。原作者はハーマイオニーの肌の色にはこだわりはないのだ。

■エマ・ワトソンも「完璧なハーマイオニー」ではない
原作の中で示されるハーマイオニーの身体的特徴として、コンプレックスになっている「大きな前歯」を覚えている人は多いだろう。
この前歯、シリーズ4作目「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」で治療してもらい、小さくする場面があるため、そこでエマ・ワトソン本人の歯の大きさと揃うようにするため、それ以前の作品では「出っ歯の義歯」をつけるプランがあったそうだ。ただ、実際に義歯を作ったものの、それが着用されることはなかった。
「エマ=ハーマイオニー」というイメージが定着しているのは確かだが、決して原作に忠実というわけでもない。それならイメージとは肌の色が違うハーマイオニーも許せるのではないか。

■原作の中で主人公の人種が変わることもあるのだから…
また、この記事では、原作が続くにつれ、キャラクターの人種が変わった例にも言及している。
たとえば、アメリカの人気コミック「キャプテン・アメリカ」のヒーローは、2014年に白人スティーブ・ロジャースから黒人のファルコンに変更された。また、日本でも公開された映画「オデッセイ」にしても、原作の小説「火星の人」では主役級の俳優の人種が違うし、「銀河ヒッチハイクガイド」もしかり。
登場人物の人種が変わったくらい、とるに足らないこと。人種や肌の色などよりも演技や表情を見ようじゃないか。

「Harry Potter and the Cursed Child」は、前作「ハリー・ポッターと死の秘宝」の続編、前作から19年後、すっかり大人になったハリー・ロン・ハーマイオニーたちの物語となっている。

長年のファンからすれば、今回のキャスティングに違和感を持つのはもっともなことかもしれないが、ノーマがエマでは表現できなかった新しいハーマイオニーを見せてくれる可能性だってある。

その可能性に期待するほうが、きっと作品も楽しめるのではないか。
(山田洋介)

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