今後の治療を考える上での基礎データ取得へ
製薬会社のMSD株式会社が、未治療の成人2型糖尿病患者を対象にした観察研究「RESPOND」を始めました。研究名は、「Real World Evidence Study on Patient Outcomes in Diabetes」から名付けたもので、今後の2型糖尿病治療を考える上での基礎データが得られるものと考えています。
2型糖尿病は、肥満やストレスなどをきっかけに発病する疾患で、自覚症状は乏しいと言われています。合併症を予防するための治療が必要となりますが、糖尿病として有名なインスリン製剤のほかにも、飲み薬や食事療法、運動療法などといったさまざまな治療が行われています。
近年では、血糖値を下げて症状をコントロールする飲み薬、経口血糖降下薬の服用者数が増加。さらに、新しいタイプのお薬(新規薬剤クラス)の導入や併用療法の多様化に伴って、治療計画が複雑化しています。こうしたなかで、治療開始後のQOL(生活の質)、治療満足度、セルフケア行動の実行度の変化に関する基礎データが不足しており、治療実態を評価する長期的な臨床研究が必要とされてきました。
国内から約1500症例のデータを収集し、2年間観察
今回の研究対象は、単剤で経口血糖降下薬の服用を始める未治療の2型糖尿病の成人患者です。国内約200施設に属する糖尿病専門医および一般内科医から1,500症例のデータを集め、開始から6か月目、12か月目、18か月目、24か月目に記録を行います。
記録するのは、血圧や体重、臨床検査値(HbA1c、血清脂質)などのデータ、経口血糖降下薬の処方変更の履歴、さらに、患者自身による治療満足度やセルフケア行動評価などで、それぞれ開始時からの変化や推移、目標達成率を観察します。
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主要目的として、「単剤薬物治療開始時の薬剤クラスの選択と患者背景および医師属性との関連性の究明」、「新規治療開始から2年間における治療目標達成率の究明」、「セルフケア行動の実行度、QOL、治療満足度の究明」の3点を挙げており、同社では「重点領域の1つである糖尿病領域でさらなる取り組み強化を図っていきたい」としています。(菊地 香織)
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