キャバ嬢に客から「見返りなしで300万円」援助の申し出…どんなリスクがある?

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2016年07月13日 09:52  弁護士ドットコム

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勤務先のキャバクラで、客から300万円の援助の申し出を受けたという女性から、「後から返還請求を受けたり、詐欺だと訴えられたりする可能性はあるのか」という相談が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。


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投稿によると、相手の男性は、相談者の女性がキャバクラで働くことを心配して支援を申し出たそうです。「条件も見返りもないから受け取ってほしい」というのです。「後で返してと言われても困るから受け取れない」と伝えると、「人に何かをあげて返せなんてダサい事言わない」と返事。


本当は水商売をやめたいと思っている相談者は、支援してもらえるなら受け取りたいと考えています。しかし、本名や住所を偽っていることや、営業トークで「素敵」「会いたい」などと伝えた事を理由に、自分が騙してお金を受け取ったことにならないか心配しています。


もしお金を受け取って、後になって返還請求された場合、返さなければならないのでしょうか。また、返還請求以外にも、お金を受け取ってしまうと、どんなリスクがあるのでしょうか。奥田真与弁護士に聞きました。


 ●このケースは詐欺には当たらないが…


まず、詐欺にはなりません。詐欺が成立するためには欺罔行為(嘘)があって、それにより相手方が錯誤に陥り(騙され)、財物(お金)を払う気になったことが必要です。今回は、お客さんからの申し出です。詐欺の条件にあてはまりません。本名や住所を偽っていますが、これはお金をもらうためについたウソではありませんから、大丈夫です。


ただ、お金をもらうときに、キャバクラをやめることを相談者がお客さんに約束してしまうと話が変わります。約束したものの、実際にはキャバクラで働き続けることもありえます。その場合は、お客さんがお金を援助する動機が、「相談者にキャバクラをやめてもらうこと」だったと判断されると、この贈与は無効になる可能性もあります。


 ●男性が返還請求してくる可能性に備えて


300万円は、普通の人にとっては大金です。あとでお客さんの方でお金が惜しくなって、返還請求をしてくる可能性が絶対にないとはいえません。その場合に備えて、証拠は残しておくべきですね。


メールのやり取りも証拠にはなります。しかし、できればお金をもらう時に贈与契約書を作成しておくことをお勧めします。この際、たとえキャバクラをやめなくても返済は求めない無条件の贈与であることを明示して、金額も盛り込んでおくとよいでしょう。なお、300万円の贈与を受ければ贈与税もかかりますので申告が必要です。


ただ、これだけは言っておきます。誰がストーカーになるか、わからない世の中です。この点のリスクは否定できません。くれぐれも、注意してください。




【取材協力弁護士】
奥田 真与(おくだ・まさとも)弁護士
京都大学法学部卒業、司法修習46期、平成6年弁護士登録。札幌市内に事務所を有する、弁護士23年目。いわゆるマチベンで、中小企業や個人のご依頼者で、交通事故、離婚・相続等を取り扱うことが比較的多い。刑事事件にも関心が強く、裁判員裁判事件も6件経験している。
事務所名:奥田まさとも法律事務所
事務所URL:http://okudalawya.jimdo.com


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