旅行が認知症予防にもたらす効果を共同研究

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2016年07月22日 18:00  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

旅行と認知症予防の相関関係を医学的見地から調査

 旅行が脳にもたらす健康作用について、旅行会社のクラブツーリズム株式会社と東北大学加齢医学研究所が共同研究を始めました。ツアー参加者の65%が60歳以上というシニア世代に強みを持つ同社と、脳科学分野の世界的権威である同研究所が“タッグ”を組むことで、旅行による健康改善効果や脳・認知機能へのポジティブな影響を科学的に解明しようという試みです。

 同研究所の「生涯健康脳」研究の一環として行うもので、研究対象は60歳以上の男女。被験者を旅行高頻度群、低頻度群に各30名ずつ分け、脳MRIや認知機能検査、心理検査といった医学的データなどを集めて、脳の灰白質体積と認知機能検査の成績、主観的幸福感などの心理指標データを比較します。さらに、同社のツアー参加者に対しても、参加前後の認知機能検査の成績や主観的幸福感の変化を分析します。

 これらの結果を踏まえて、「よく旅をする高齢者は主観的幸福感やストレスへの対処能力が高く、認知機能が保たれている。また、旅行前後で脳に変化があり、主観的幸福感は向上、認知機能は低下抑制が見られる」という仮説を、3年間かけて検証していきます。

事前調査では、認知症の予防・抑制に効果的との期待も

 同社では、事前調査として60歳以上のツアー参加客45名に、「旅行へ行く頻度」と「個人の主観的幸福感」の関連を調べるアンケートを実施しました。質問は、「過去5年間の旅行回数」「主観的幸福感尺度」「旅行の動機」の3項目で、次のような結果が得られました。

 主観的幸福感と旅行回数の相関関係について、「過去5年間の旅行回数が多いほど、人生に対する失望感が低い」という傾向になり、旅行へ行く頻度が高い人ほど、自分の人生を肯定的に捉えていると推測。また、動機との関係性については、「現地交流を動機として旅行をする傾向が高いほど、人生に対する満足感が高い」との結果を得ました。

 これらの結果は、あくまでも旅行回数や動機と主観的幸福感の関連を示すものであり、影響を示すものではありません。ただ、頻繁に旅行をするほど、あるいは明確な動機を持って旅行をし、その動機が満たされるほど、主観的幸福感が強くなる可能性を示唆しています。高い主観的幸福感は、長寿命や認知機能の維持に影響すると考えられており、事前調査の結果から、旅行が認知症の予防・抑制に効果的だと期待が持てるものとなりました。同社では「この研究を通じて、旅行が健康寿命の延伸に寄与し、旅を通してはつらつとした喜びに満ちた社会が実現できることを期待している」としています。(菊地 香織)

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