地上では、ハイブリッドカーに変身! 空陸両用・オランダ発「空飛ぶ自動車」

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2016年07月24日 11:20  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

空陸両用・夢の乗り物

飛行機で空が飛べるようになって以来、人びとはさらなる夢を追い続けてきた。その夢とは、飛行機と自動車、双方の機能が搭載された空陸両用の究極の乗り物を作り出すことだった。鳥のように自由に空を飛び、交通渋滞を眼下に眺めつつ、目的地までひとっ飛びできる空飛ぶ自動車である。天空をサーキットにし、気ままに空中を駆ることを可能にするであろうその乗り物は、いったんアスファルトに着地すればスムーズで美しい走行をも約束してくれるのだ。しかし、そのような自動車を生み出すことはほぼ不可能とされ、長年の間、夢のまた夢と思われてきた。

ところが、ヨーロッパの小国・オランダではすでにその「夢の乗り物」が完成し、2年前には一般向けにとして販売が開始されていたのである。人びとが持つ冒険心、フレキシビリティ、楽しさ、そして実用性の4項目すべてを満たしたこの乗り物・The Pal-V Oneは、オランダの上空を今も自由に飛んでいるのだ。

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免許の取得は意外とカンタン

このThe Pal-V Oneは厳密にいうと、2人乗り座席のジャイロプレインである。これに自動車機能が搭載され、地上を走るときはハイブリッドカーに変身するのだ。最大の魅力は、高度1000メートルの上空を航続距離500キロで飛行できること、、そして地上では、1200キロの継続走行を可能とした点だろう。

The Pal-V Oneを交通手段として使う場合は、こうだ。最寄りの空港まで自動車として運転し滑走路を利用、そこから離陸して飛行に入る。そして、目的地付近の空港まで飛んで降り立ったら、普通自動車のように一般道を運転して最終地へ到着するのである。この便利さが、オールインワンの「交通手段」として非常に高く評価されている。

ちなみに、操縦や運転をするためには、一般の自動車運転免許証と、比較的取得がたやすいとされるスポーツ・パイロット用の免許証の2種類の免許取得が義務付けられている。

きになるお値段は3300万円!

1990年代後半に発案されたThe Pal-V Oneは、2008年になって本格的な開発が開始された。これに当たり、デルフト工科大学(Delft University of Technology)及び航空宇宙研究所(National Aerospace Laboratory)が全面協力・協賛をしている。開発開始から4年後に完成し、2012年になると初飛行が行われ、大成功をおさめたため、わずか2年後の2014年には、一般販売が行われるまでに至った。

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まず、機体を見てみよう。注目すべきは、デザイン性の高さだ。メインローターをたたむと、おどろくほどコンパクトなるがこれは重量を軽くするため、試行錯誤を経て熟考されたデザインによるものである。また、自動車に変身したあとで、スポーツカーとして堂々と通用するほど、無駄のない美しさいボディも人気のひとつとなっている。

気になる値段だが、1台29万5000ユーロ(約3300万円)ということなので、一家に1台、と気軽に購入できる価格とはいいがたい。しかし、大手企業などはすでに数台を購入しているといい、営業の際など外回りの仕事のために広く利用されているらしい。現在に至るまで、このThe Pal-V Oneによる事故やトラブルなどの話はまったく聞かないため、安全性もお墨付きなのだろうと思われる。

課題は170メートルの滑走路

普通ならば、このような夢の乗り物が完成し、テスト飛行にも成功し、さらに一般に販売されたとあればある程度センセーショナルに紹介されてもおかしくはないだろう。しかし実際のところ、オランダ国内でもこのThe Pal-V Oneが派手に紹介されたことはほとんどないのである。なぜだかには、わけがある。The Pal-V Oneは夢を実現させたユニークな乗り物ではあるものの、あくまでも実用性を追及した結果生み出された、たんなる交通手段にすぎないからなのだそうだ。

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しかし、課題も残されている。というのは、安全に離着陸するためにはまず、時速約170メートルで全力走行を行わねばならず、そのために最短でも約30メートルの滑走路を必要とするのだ。したがって、自宅前の道路をちょっと滑走すればすぐに飛べる、という手軽さが欠落しているのだ。

この点を解決することが、今後、The Pal-V Oneを普及させるカギになると思われる。また、一般道をどのようにすれば滑走路として利用できるのか、仮に、都市部や住宅街の道路を滑走路として利用する場合、滑走距離が果たして安全に確保できるのかどうかが将来的には論点の中心になることだろう。

便利な移動手段としての将来

オランダのように平地が多ければ、The Pal-V One専用の滑走路が都市部郊外に設置される可能性も出てくるかもしれない。しかし、東京やニューヨークのような大都市近辺で利用する場合はどうだろうか。市内の渋滞を避け、目的地へ素早く到達できる点においては、非常に便利な交通手段にはなるだろう。しかしやはりオランダの例と同様に、滑走路をどこに確保するか?という問題がつきまとい、結果として都市部で利用するには、残念ながら現時点では実用的とはいえないかもしれない。

これまでにも、世界各国で複数の企業が取り組み、その完成をめざしてきた空飛ぶ自動車。このThe Pal-V Oneに限っていえば、滑走路の問題が解決さえすれば、人びとの移動方法に劇的な変化をもたらすことは間違いない。夢を実現したのみならず、実用性も兼ね備えた新しいタイプの乗り物として、世界中の人びとから受け入れられることは確実だと思われる。

【参考:画像】

※Pal-vオフィシャルサイト

http://pal-v.com/

※Sparkdesign

http://www.sparkdesign.nl/nl/projecten/PALV

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  • ま、どの道日本の航空法に縛られちゃライトプレンに活路はない
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