もはや、洋服は洗わない時代?光で洗浄すれば新品同様になる未来の繊維

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2016年07月25日 11:20  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

消えゆく洗濯機

掃除機、冷蔵庫、コーヒーマシン、などなど家庭用電気製品も数あれど、近い将来、もはや不必要になるのでは?と科学者たちが予想しているもののひとつが、洗濯機なのだそうだ。

しかしいったい、なぜなのだろう? 洋服やインテリア、そして寝具などに使われているごく普通の繊維は、水ではなく光によって洗浄されるようになるだろう、という大胆な予想がなされているからなのだ。

光にあてるだけ

オーストラリア・メルボルンにあるRIMIT(Royal Melbourne Institute of Technology)では、水や洗濯用石鹸を使わずとも、太陽光やランプの光を当てるだけで、簡単に汚れが落ちる特殊な繊維を発明し、開発の真っ最中だという。この繊維はナノテクノロジーを用いて製造されており、光を当てるだけで汚れが簡単に落ちてしまう画期的なものだそうだ。

このような特殊繊維から作られた服ならば、たとえどんなに汚れたとしても、太陽光やランプの光を数時間当てるだけで、きれいさっぱり見事に汚れが落ちてしまうことになる。

しかし、いくら斬新的な発明といえど、光を当てただけで本当に汚れが落ちるものなのだろうか? 同大学教授のJ.ラマナサン博士は、この基本的な疑問について以下のように述べている。

「この繊維はナノテクノロジーを用いて作られており、特に光を吸収しやすくするため3D構造を持っているのです。これが汚れを分解し、繊維から素早く排除することを可能にしたのです」

ナノテクノロジーと3Dのコンビによって誕生したこの繊維は、水の代わりに光によって汚れを落とすことに成功したわけだが、本格的にこれを製品化するためには、まだ改良の余地が残されているという。

繊維の原材料とは?

ところで、繊維の原材料には何が使われているのだろうか? 博士は、「あくまでもこれは一種の企業秘密というべき情報なのですが」と前置きしながらも、「原材料には、銀と銅がメインに織り込まれており、それにナノテクノロジーを駆使して製造されています」と解き明かした。

この銀と銅を含んだ繊維は、太陽光はもちろんのこと、電灯の光に当たるだけで繊維内部で化学反応が起き、たちまち汚れを分解し排除するパワーを発揮するのだという。それだけではない。洗浄時間も約6分と非常に短いのも特徴である。この時間内にすべての汚れがすっかりが落ちてしまうのはもちろんのこと、繊維そのものがきれいさっぱり新品のようにパリッとよみがえるというのだから、実に画期的な発明ではないか。

近い将来、改善されるべき点のひとつとしてあげられているのは、特に落ちにくい汚れをいかにして完全に洗浄するか、だという。たとえばトマト・ソースやワイン、そしてビールなどは、繊維組織内にまでしみわたると、従来のような水と石鹸による洗浄だけではなかなか落ちにくいのだ。しかしこの繊維なら、どんなに落ちにくい汚れであっても、ほぼ完全に除去できる可能性を秘めているにちがいない、と期待されているのだ。

毎日洗浄?

普段は意識していないかもしれないが、私たちはふだん下着など、肌に直接触れる衣類には特に気をつかって、ほぼ毎日洗濯しているのではないだろうか。逆にスーツや外出着、しわになりにくいマテリアルを使ったものやウールものなどはよほどのことがない限り、洗浄することはないだろう。

しかし洋服は、着れば必ず宙に舞っているホコリが付着し、知らないうちに汚れて変色したりするものだ。いつまでも新品に近い状態で着用できるのならばそれに越したことはないが、ホコリや汚れを落とすために洗浄する回数が増せば、服の色落ちや型くずれは当然、避けられないだろう。

アパレル界の常識を変える?

こうして考えると、服を最も長持ちさせるためには極力洗浄しないことがベスト、といえるかもしれない。この点から考えても、水による洗浄を必要としない繊維を使った服ならば、生地を痛めずにすむため、いつまでも服が新品同様のまま着用できることになる。

たとえば、この繊維をスニーカーに利用してみてはどうだろうか。理屈からいけば、泥などで汚れが目立ち始めたら、太陽光にさらせばよいわけで、わざわざそうしなくても、天気のいい日にスニーカーを履き、日なたを歩き回るだけですっかり汚れがきれいに落ちる、ということになるはずだ。

これまでにもアメリカでは、Silic社とよばれる企業がナノテクノロジーを駆使して「未来の新繊維」を開発しているという。こちらは、水分を含んだ汚れ、たとえばインクやソースなどをまったくしみ込ませない構造をもつ繊維、という点をアピールしており、実用化も進んでいると聞く。ならばこちらの、光を通しただけで完全に汚れが落ちる繊維の実用化も待ち遠しくなってくるが、実際にこうした服や靴が登場すれば将来きっと、アパレル業界にも新マテリアル旋風が吹くことは間違いないだろう。

【参考・画像】

※ Wetenschap komt met kleding die u nooit hoeft te wassen – scientias.nl

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  • 意外な形で紙おむつの時代が終焉を迎えそうだ。でも日に当てただけで本当に大丈夫なのか…?
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