新築の家で来客が酔って「おもらし」、リフォーム代を請求できる?【小町の法律相談】

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2016年07月29日 10:52  弁護士ドットコム

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新築の家の廊下で、夫の友人に「おもらし」をされた! そんな投稿が、Yomiuri Online「発言小町」の法律相談コーナーに寄せられました。


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投稿者(トピ主)によると、先日、新築の家に、夫の友人とその友人のAさんが来た際、あろうことか、酔ったAさんが午前4時ごろ、廊下でおもらしをしてしまったそうです。午前7時頃に、トピ主の息子が気付いて拭きましたが、床にシミが残り、絨毯とカーテンも汚れてしまったそう。


トピ主は、「何度拭いても気持ちが悪いので、絨毯とカーテンは破棄し、床と壁紙はリフォームすることにしました」と語っています。Aさんは保険に入っておらず、家の火災保険で直すことになりましたが、Aさんは「酔ってて覚えてない、弁護士に相談したらクリーニング代だけでいいと言われた」と言って、謝らないそうです。


「酔って覚えてなければ何をしてもいいんでしょうか?クリーニング代で妥当でしょうか?」と憤慨するトピ主に対して、レスでは「弁護士を立てます。気持ち悪い奴許せませんね。そいつは出入り禁止です」という意見や、「感情論としては、トピ主の気持ちは分ります。ですが、絨毯とカーテンは別にして、床と壁紙のリフォームに関してはどうかなって思いました」などの指摘がありました。


今回のケースで、トピ主はAさんに対して、汚れてしまった床や壁紙のリフォーム代を請求できるのでしょうか。近藤公人弁護士に聞きました。


(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部と弁護士ドットコムライフ編集部が再構成したものです。トピ「家を汚されました」はこちらhttp://komachi.yomiuri.co.jp/t/2016/0705/768667.htm?g=15)



 ●クリーニング代は請求できるが...


少なくとも夫の友人には過失があると思われますので、不法行為責任として、原状回復するための補修費用を請求できます。問題は、原状回復義務として、どこまで認められるかです。


ところで、刑事事件で、食器に放尿したことについて、器物損壊罪が成立した事例があります。この事例では食器は物理的に壊れていませんが、食器という物の性質上、放尿された食器は到底使用できず、食器の「効用」が失われたとして、器物損壊罪が成立しました。


今回のケースで、汚れやシミがついたという絨毯・カーテン・床・壁紙が、それぞれの「効用」を失ったと言えるのでしょうか。少なくとも、性質上、食器と同一レベルには扱えず、器物損壊罪は成立しないと思います。


したがって、賠償請求ができる範囲は、基本的には原状回復としてのクリーニング代のみで、買い換えやリフォーム代は請求できないと思います。ただ、クリーニングをしても嫌な思いは残るでしょうから、若干の慰謝料は請求できるかもしれません。


クリーニングをしても、臭いやシミ跡が残っていれば、原状回復していないことになりますので、買換え費用やリフォーム代を請求することができるでしょう。しかし、リフォーム代があまりにも多額な場合には、クリーニング代と慰謝料しか請求できない可能性もあり得ます。




【取材協力弁護士】
近藤 公人(こんどう・きみひと)弁護士
モットーは「依頼者の立場と利益を第一に」。滋賀県内では大きな法律事務所に所属し、中小企業の法務や、労働事件、家事事件など、多種多様な事件をこなしている。
事務所名:滋賀第一法律事務所
事務所URL:http://www.shigadaiichi.com/


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