人口増加に備えて食料を無駄にしないための運搬ソリューション

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2016年07月31日 11:20  FUTURUS

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FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

国際連合では、現在およそ74億人の世界人口が、2050年までに96億人規模へと増加すると予測。特に、発展途上国で、人口増加がすすむとみられている。

将来予測される人口増加に備えて十分な食料を安定的に確保するためには、農業生産性の向上はもちろん、農場で収穫されてから消費者に届くまでのサプライチェーンを効率化し、この過程で発生する食料廃棄物を軽減することも、重要な課題のひとつだ。

しかしながら、現在、発展途上国では、貯蔵施設やインフラの不備、非効率な物流チャネルなどにより、野菜や果物の生産量の過半数が、消費されないまま廃棄されている。

動植物の機能を模倣した、青果物のための運搬ソリューション

メキシコのパン・アメリカン大学(Universidad Panamericana)の学生チームは、動植物の生来の機能から着想し、環境負荷が低く、効率的な、野菜・果物のための運搬ソリューション『Eco-Fruitainer(エコ・フルーテナ)』を開発した。

『Eco-Fruitainer』の内部は、森の木々のように、螺旋状のディスプレイ棚が並んでいるのが特徴。

この棚は、幹や枝、茎が螺旋状に伸びるヨーロッパアカマツを模倣したもので、外界からストレスがあっても壊れづらく、周囲の空気の流れがスムーズになるそうだ。

また、棚の上部と下部との温度差を有効に活用し、温度が比較的高くなる上部にはスイカやパイナップルなどを配置する一方、低温での保存が望ましいココナツや洋梨は下部に保管する仕組み。

生産物をそれぞれ最適な温度環境で運搬することで、鮮度や品質を維持しながら、遠方の消費者に届けることができるというわけだ。

『Eco-Fruitainer』の屋根には、メガネトリバネアゲハの体温調整機能が応用されている。

メガネトリバネアゲハは、太陽の熱を吸収したいときは暗い色になり、反射したいときは明るい色になることで、体温を調整しているが、『Eco-Fruitainer』の屋根は、このメカニズムと同様、暗い色と明るい色の葉野菜を交互に植えることで、コンテナに当たる太陽の熱を効率的に制御できるという。

動植物の構造やメカニズムが新たなソリューションの糸口に?

ヨーロッパアカマツやメガネトリバネアゲハのみならず、地球上に存在する数多くの動植物たちは、長い年月にわたって、自然環境と順応しながら進化し、その過程で優れた体構造や機能を身につけてきた。

従来とは異なる視点やアプローチから、動植物の構造やメカニズムを改めて学ぶことによって、新しいソリューションへのヒントが得られるかもしれない。

【参考・画像】

Eco-Fruitainer – Universidad Panamericana

※ World population projected to reach 9.6 billion by 2050 – United Nations

※ POST-HARVEST FOOD LOSSES ESTIMATION- DEVELOPMENT OF CONSISTENT METHODOLOGY – FAO

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