これ、飛べるの?
飛行機の胴体がカートリッジ式になったらどうなるのか。
そんな大胆な発想の航空機を研究しているのはスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)だ。
彼らが研究している『Clip-Air』は、翼とエンジンだけの機体に、用途に応じて装着できるモジュール式カプセル型の胴体を組み合わせた航空機だ。
いったいどんな使い方を考えているのだろうか。
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旅客機3機分の胴体をまとめて1機で飛ばす
『Clip-Air』は翼とエンジン、そしてコックピットが備わった機体に、用途に応じたカプセル型の胴体を最大で3つ搭載して飛行することを可能にしようとしている。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=wRpX6gLQlsA]
カプセル型の胴体は、客室用や貨物室用があり、全長は約30メートルで、重量は29.5トンと想定されている。
客室用として使う場合は150人収容できるため、例えばこれを3つ搭載すれば、一度に450人の乗客を乗せて飛行することができる。丁度150人乗りのエアバスA320やボーイング737を3機分まとめて1機で飛行させるという考え方だ。
完成予想CGを見ると、飛行機の胴体だけを3つ束ねて飛行しているような印象だ。
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実際には重量のバランスを取らねばならないという課題が残るが、両側のカプセル2つは客室用にして、中央のカプセルを貨物用にするといった組み合わせで飛行することもできる。
また、『Clip-Air』には今のところ3種類の機体が用意されるようなので、カプセルの数に応じて機体自体も選択することができる。
鉄道車両がそのまま航空機の胴体になる
このカプセルは、機体から外せばそのまま専用トラックに乗せて運ぶことができる。
そしてより画期的なアイディアは、胴体がそのまま鉄道車両として線路に乗り入れることができるということだ。
これは逆もできるわけで、鉄道車両として飛行場まで移動してきたカプセル型胴体がそのまま航空機の胴体として『Clip-Air』に接続されるため、乗客は降りることなく、鉄道の旅から空の旅に移ることができる。
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あるいは貨物列車がそのまま航空機の胴体として空に向かうことになるのだ。
物流や旅行のブレイクスルーになるか
『Clip-Air』は1機でエアバスA320やボーイング737の3機分を輸送できるため、燃料効率が良くなるはずだという。
また、バイオ燃料や液体水素を燃料として使用することも検討されている。
『Clip-Air』の実用化は2020年〜2045年頃を目指しており、研究チームも技術面では実用化が可能だとしている。
後は鉄道から直接航空機に乗客や荷物を移行する際のセキュリティーの問題など、手続き上の課題もクリアしなければならない。
何とも大胆なアイデアだが、実現すれば物流や旅行の移動手段におけるブレイクスルーになるかもしれない。
【参考】 ※ Clip-Air: How pod planes could change travel forever – CNN.com
※ Clip-Air craft may mean you never have to queue at the airport again | Daily Mail Online
※ This Crazy Pod Plane Concept Could Completely Change Air Travel As We Know It