夏のスポーツと熱中症 注意すべき点は?

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2016年08月02日 09:01  JIJICO

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鍛え上げられたスポーツ選手でも熱中症で倒れることがある


夏の高校野球も各地で代表校が決まり、全国高校総体も始まり、スポーツ界では様々な競技の全国大会が夏に行われます。
鍛え上げられたスポーツ選手であっても競技中に熱中症で倒れ救急搬送されることがありますが、夏休み入った子供たちの中には熱い中で長時間体を動かすことに慣れていない子もたくさんいます。
では、普段体を動かすことに慣れていない人はどのようなことに注意した方が良いのでしょうか。


現代人は熱中症になりやすい


スポーツの現場で働いていると、私が現役時代よりも最近の子どもたちの方が暑さに弱く、熱中症になりやすいと感じます。
これは最近の子どもたちよりもひと昔前の子どもたちの方が水を飲まずにハードな練習に耐えたことで心身ともに鍛えられたなどという精神論ではなく、幼少期の生活環境が影響しているようです。


熱中症にならないためには汗による体温調節が必要になることは皆さんもご存知かと思いますが、汗をたくさんかくためには皮膚にある汗腺という汗の出口もたくさんなければいけません。
実はこの汗腺の数は3歳までの生活環境によって決まってしまうと言われているのです。
3歳までに涼しい環境で育った子は汗腺の数が少なく、暑い場所で育った子は多くなるようなので、3歳までに空調の効いた環境で汗をあまりかかず育ってしまうと汗腺の数が少なくなり、汗をかきにくい体になります。
汗をかきにくい体なのに温暖化が進み気温が上がってしまうのでは、熱中症になりやすくなるということも頷けます。


最近では熱中症が重症化してしまう原因に遺伝子も影響していることがわかってきましたが、これは高体温に弱いというものなので、やはり体温を上昇させないような工夫が必要ということになります。


スポーツで熱中症にならないために注意すべき点は?


暑さに慣れていない状態では激しいスポーツを長時間しないというのがもちろん基本になります。
出来れば真夏の暑さに慣れるため、強度の低い運動から体を慣らしていくことが理想でしょう。


特に普段スポーツをしないような人はプレイに夢中になりすぎて水分補給を忘れがちです。
スポーツの現場でも『水分補給は自由にさせているから』と指導者側が水分補給の時間を作っていないことがありますがこれも危険です。
スポーツは夢中になると水分補給のタイミングがわからなくなってしまうので、基本は自由に飲ませ、指導者側も強制的に水分補給の時間を作ることが大切です。
最近は経口補水液が各社から発売され以前よりも手軽に購入できるようになりましたので、万が一のために常備しておくことをお勧めします。


またウエアなどの工夫も重要になってきます。
普段スポーツをしているような人は運動に適している、通気性や吸湿速乾性の高いウエアを持っていたり、帽子や冷却タオルなども持っていたりしますが、運動をしていない人は夏の運動に適したウエアを持っていない可能性もあります。
夏のスポーツはウエア選びも重要になってくるので、熱がこもらないようなウエアを必ず着用してほしいと思います。


熱中症予防の基本


最後に熱中症予防の基本をおさらいしておきましょう。
1. 暑い時の激しい運動は避けましょう。
運動しなければならない時は通気性の良いウエアを着用。
2. こまめな水分補給を心がける。
のどが渇く前に一口の水分補給。
3. 体調が優れない時は運動しない。
睡眠不足や二日酔いなど体調が優れないときは運動禁止。
普段運動していない人こそ上記のような基本を守り、安全に夏のスポーツをおこなってください。



(川口 博正・スポーツトレーナー)

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