前回より3.5ポイント上昇
画像はリリースより国立がん研究センターが、地域がん登録データを基に2006〜2008年の5年相対生存率を算出し、集計結果を公表しました。5年相対生存率とは、がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合を、日本人全体で5年後に生存している人の割合と比較したものです。そして、この比率が高ければ高いほど、治療によって命を救える可能性が高いと言えます。
集計結果によると、全部位の5年相対生存率は62.1%(男性59.1%、女性66.0%)で、前々回(2000〜2002年)の56.9%、前回(2003〜2005年)の58.6%から徐々に上昇しています。ただし、比較的予後のよい前立腺がんや乳がんの罹患比率が増えていることを考慮すると、一概に治療方法の発展が寄与しているとは言い切れないというのが同センターの見方です。
部位別に見ると、男性で5年相対生存率が高いのは、前立腺(97.5%)、皮膚(92.2%)、甲状腺(89.5%)で、低いのは肺(27.0%)、胆のう・胆管(23.9%)、膵臓(7.9%)となっています。一方女性で相対生存率が高いのは、甲状腺(93.7%)、皮膚(92.4%)、乳房(91.1%)、で、低いのは肝および肝内胆管(30.5%)、胆のう・胆管(21.1%)、膵臓(7.5%)でした。
進行度や加齢によって相対生存率は低下
次に、がんと診断された際の臨床進行度を「限局(原発臓器内に限局)」、「領域(原発臓器の所属リンパ節に転移はあるものの遠隔転移なし)」、「遠隔(遠隔臓器、遠隔リンパ節への転移あり)」の3つに分類し、それぞれの5年相対生存率を見てみると、どの部位でも進行が進むにつれて生存率は低下していました。
また、年齢階級別では高齢になるほど生存率は低くなる傾向にありますが、皮膚がんや前立腺がんは高齢になるほど相対生存率が高く、食道や直腸など年齢との相関があいまいな部位もありました。
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高齢化によってがんの罹患者数は増加傾向にありますが、国や自治体によるがん対策も進んでいます。この調査は対象年度から7年のタイムラグがあるので、次回の調査では生存率が改善していることを期待したいところです。(QLife編集部)
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