日本発の格安太陽電池「ペロブスカイト」に期待高まる

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2016年08月05日 09:20  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)
perovskite01

低コストで作れることで注目されているペロブスカイト太陽電池の発電効率は、近い将来飛躍的に高めることができるかもしれない。そんな研究をアメリカのローレンス・バークレー国立研究所が発表した。

安価に作れる太陽電池

ペロブスカイトは日本発の太陽電池だ。現在広く使われているシリコン結晶太陽電池と比べて非常に安価で作れるため、これからの太陽光発電に期待されている。そして、ペロブスカイト太陽電池は、その登場以来、急速に効率を上げてきた。2009年は3%だったのが、現在は22%にまで向上している。これは、ほぼシリコン結晶太陽電池と同等だ。

そして、バークレー研究所の研究チームによる発表では、その効率を最大31%にまで引き上げることができるかもしれない発見があったという。彼らが使ったのは光伝導原子間力顕微鏡だ。それによって、ペロブスカイトの表面には、光電池の効率と密接に関係した2つの特性が発見できたという。

ペロブスカイトの凸凹した表面は、長さ約200ナノメートルの粒からできている。それぞれの粒は、磨く前の宝石のようにさまざまな角度の面を持っている。その面によって、光発電の効率に大きな差があるというのだ。非常に効率が低い面があるいっぽうで、なかには理論的な最大値に近い31%という優れた効率を発揮する面もあるという。

今後さらなる研究が必要ではあるが、ペロブスカイト太陽電池の効率アップの秘密は、その効率のいい面に隠されているのではないかと研究者たちは見ている。

性能の低い面が足を引っぱる

じっさいのところ、ペロブスカイトのそれぞれの面は、ひとつひとつが、並列につなげられた無数の小さな太陽電池であるかのように振る舞っている。そのなかには非常に高い効率で働く面もあるが、効率の低い面もある。となると、電流は効率の悪い面に流れて行ってしまって、全体のパフォーマンスを下げることになる。

しかし、もし高い効率の面だけを電極につなげることができれば、効率のわるい面によって生じるロスをなくすことができる。そうすれば、理論値である31%のエネルギー変換効率に大きく近づけるのではないかというのだ。

研究者のAlexander Weber-Bargioni氏は「これは大きな驚きでした。ペロブスカイト太陽電池は、面によって発電効率が異なることが初めて明らかになったのです」。Francesca Toma氏は、「この研究成果は、素材の面をコントロールすることで、劇的に発電効率を改善する道をひらいたことになります」という。下の写真はその研究チームだ。

perovskite02

自宅などで太陽光発電を採用したひとのなかには、その装置のコストや大きさに対して、発電力が低いと感じたひともいるだろう。しかし、ペロブスカイト太陽電池の性能向上が実現すれば、太陽光発電はもっとコストがかからず、効率のいいものになってくれそうだ。

【参考・画像】

Berkley Lab

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