「いじめ」という単語自体が、今や外国語化しつつある。
もちろん海外に差別や虐待がないわけではないが、日本のそれはかなり特殊である。というのも、加害者と被害者の間にプロフィール上の差異がまったくない。外国人から見てほとんどの日本人は出身地も宗教も肌の色もまったく同じなのに、なぜか差別が発生する。
このことは戦国時代に来日したカトリックの宣教師も言及している。「日本には肌の白い黒人がいる」と教皇庁に報告した者も実際にいた。
誰が加害者で誰が被害者か、見た目では区別がつかない。それが「いじめ」である。
これがネット上なら、なおさらだ。
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匿名でいじめを通報
Windows95が発売されてインターネットが身近になってから、すでに20年以上経過した。だが、ネットいじめ防止ツールの開発はいつも後手に回されていた感がある。
だが去年頃から、そうした目的のアプリが開発されるようになった。そのひとつが、『スクールガーディアン』事業を運営するアディッシュが開発した『Kids’ Sign』である。
これは一言で言えば、「いじめ匿名通報ツール」。スクールガーディアンと契約している学校の生徒は、いつでもこのアプリを匿名で利用することができる。
生徒→企業→学校という経由でいじめを発見しようという試みであるが、やはり「生徒は匿名で利用できる」という点が大きい。日本人ほど、内部告発者に厳しい民族はない。残念ながら、勇気を振り絞って不正を告発した者が孤立しやすいというのが日本社会である。
それに生徒と学校の間に企業が立つという点も、注目に値する。教師の負担軽減に直結するからだ。今や警備会社と契約していない学校はないはずだが、数年後には「アプリ未導入の学校」が少数派になるかもしれない。
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投稿内容をデータ化
期待をかけられているアプリが、もうひとつある。
エースチャイルドが開発した『Filii』がそれだ。先述のKids’ Signは学校向けアプリだが、こちらは保護者向けに開発されている。
Filiiのシステムを要約して説明すれば、子供がSNSに投稿した内容をデータ化し保護者に伝えるというものだ。毎日どれだけコメントを投稿しているのか、画像は何枚アップロードしているか、「いいね!」を何度押しているのかなど、その子のSNSの使い方を数値化してくれる。
不適切な発言などを投稿した場合、その具体的な内容を伏せつつ保護者に通知する。「内容を伏せつつ」というのは、保護者には内容の原文を見せない設定になっているからだ。この辺は子供への配慮である。
ネットスキルと青少年
ネットスキルに関する教育は、もはや全国どこの学校でも必修科目のようになっている。
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インターネットはすべての産業を変革させたが、同時に恐ろしさを含んでいるのも事実だ。それは我々現代人が骨の髄まで知っている。
ネット上には、青少年を襲う脅威が常に渦巻いている。その脅威から青少年を守るのは、成人の義務でもあるのだ。
【参考・画像】
※ いじめ匿名通報アプリ 「Kids’ Sign」 – ネットいじめ対策・学校裏サイト対策ならインターネットパトロールのスクールガーディアン
※ Filii