「TIF 2016」を出演アイドルが振り返る! 1年の成績表としてのアイドルフェス

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2016年08月19日 08:00  KAI-YOU.net

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「TIF 2016」を出演アイドルが振り返る! 1年の成績表としてのアイドルフェス
「TOKYO IDOL FESTIVAL2016」(TIF2016)が終了して一週間ちょっとが経った。アイドルファンの中では「TIFロス」という言葉が生まれる位、今年のTIFも忘れられない熱いイベントとして一人一人の心に刻まれた。

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今年は昨年より2万人増加し、総来場者数が7万人を超える動員となり、北海道で行われている「RISING SUN」などと並び、名実ともに国内大型夏フェスの仲間入りを果たした。

年々勢いを増すこのアイドルフェス。改めて、今年の「TIF2016」について、アイドル側、ファン側それぞれの視点からお話していきたいと思います。

文:erica(エレクトリックリボン)

TIF初参加は1人で、お客さんとして参戦



私が初めてTIFに参加したのは2012年。私は、当時BiS(新生アイドル研究会)が好きだったのと、元々大学の頃から大型フェスに参戦していた生粋のロキノン系女子だった。「FUJI ROCK」や「ROCK IN JAPAN」に比べたら、都内で行われているフェスというだけで、だいぶ気楽に鑑賞できるだろうと思い、一人で参戦したのがキッカケだった。

また、出演者はほとんど女性(その年、男性で唯一出演していたのは掟ポルシェさんのみ)なので、ロックフェスとはだいぶ空気感も違い、モッシュやダイブなどの危険行為は起こらない、健全なフェスだと思っていた。しかし翌年、演者として参加すると、一般参加者からは見えていなかったものが沢山見えるようになってきた。

沸ける・沸けないを基準としたイベント


TIFには数々のドラマがある。アイドルがつくり上げるドラマ、ファンがつくり上げるドラマ、それはステージ上だけで繰り広げられるものだけではなく、会場の至る所で起こっている。

また近年はTIFでドラマをつくるために各々が必死な風潮が見受けられる。「どのステージよりも盛り上がるライブを、沸けるライブを」という基準で各グループが競い合っているかのようで、ファンは当然、それに応じて盛り上がる。そして結果として警備は厳重になり、ある程度自由に楽しめていたTIFに年々制限が増え始めている。

そもそも、会場でアルコール類を販売しているフェスがほとんどなのにも関わらず、2014年からTIFでは会場でのアルコール販売は全面禁止とされた。出演者側に未成年が多いという理由が大きいと思いたいが、規制を厳しくしてしまっているのも参加者の行動ゆえかもしれない、とも思う。

個人的な意見だが、野外で好きな音楽を聴きながらお酒を飲むシチュエーションがたまらなく好きで、そのために毎年夏フェスに参加しているという人も少なくないのではないか。

TIF会場内を練り歩くアイドルの減少



少し前のTIFといえば、出演者の移動も徒歩が多く、会場周辺では沢山のアイドルを目撃することができた。芝生の上でゆっくり休憩するヲタクの横をアイドルが平然と歩いていて、ヲタク側がビックリする程、緩い管理の元で運営されていた。

しかし、近年アイドルを狙った事件が多発したためか、アイドル側への警備も強化されるようになっていった。

移動は全て会場を回っているマイクロバスのみ。安全な運営のためには仕方ない対策ではあるが、偶然見たアイドルを好きになるというサプライズ的なキッカケが明らかに減ってしまった印象もある。

逆にアイドル側は、自分のファンではないアイドル好きが多く集まるフェスだからこそ、一人でも多くの新規のファンを獲得しようと考えているグループが大半のはず。

しかし、偶然の出会いが減ったため、「ファン側から会いに来てもらわないと出会えない」という環境になり始めている。

現に会場でのビラ配りは年々厳しくなっていて、出演アイドルでさえもビラ配りは物販エリアのみ。TIFに出演できなかったアイドルが会場付近でビラを配ろうものなら、すぐ警備員に止められ、今後一切TIFに出演できなくなるという噂が回ったりもしているくらい、警戒されている。

「アイドルグループの一年の成績表」としてのTIF


また、昨年はフジテレビのバラエティ番組から結成されたアイドルグループ・アイドリング!!!が解散した。TIFの会場はお台場であり、お台場と言えばフジテレビ。TIFとアイドリング!!!は非常に密接な関係で、「アイドリング!!!が解散したので来年のTIFは行われないのでは」との噂が流れるほど、TIFはアイドリング!!!の為にあるフェスという印象があった。

しかし、近年TIFが急速なスピードで成長していき、TIF自体がブランドとなっていった

TIFの看板アイドルとも言える「アイドリング!!!」を筆頭に、AKB48グループや、ハロー!プロジェクト、はたまた近年はモーニング娘。のOGとして矢口真里や辻希美も出演するなど、TIFでしか共演出来ないような豪華出演者が名を連ねるようになっている。ここでしか見られないステージやコラボを実現してきたTIFは、年々、動員数も増やしている。

地下アイドルが一度は目標にするようなメジャーアイドルとの共演のチャンスがあるTIFは、今や地下アイドルの登竜門、大きな目標として存在しているのではないか。実際TIFに出演が決まっただけで、今まで見向きもされなかったような媒体やライブ出演のオファーが来たりする。言わば、「アイドルグループの一年の成績表」として、TIFは地下アイドルにとっては重要なイベントとなってきている。

アイドルにとっては楽屋裏での同窓会



そして今年は、アイドリング!!!が解散して初めてのTIFが行われた。昨年の10月に解散して約1年。当時のメンバーは形を変えてまた新しいグループで各々活動して、TIFで再会を果たしていた。

これはアイドリング!!!のメンバーに限らず、アイドルにとってTIFとは年に一度の大きな同窓会でもある

普段はなかなか会えないアイドル仲間との再会や、憧れていた先輩アイドルに話しかける数少ないチャンスといった、楽屋裏でもアイドル同士のドラマがある。

以前、青森で行われているフェス「夏の魔物」に出演した時に、初めて私自身がファンでもあるでんぱ組.incの古川未鈴さんとお話ができたのだが、それ以降どんどん手の届かない存在になってしまい、「私が売れないともう一生未鈴さんとお話出来ないかも…」と思っていたら、TIFで再会出来てとても嬉しかったのを覚えている(ちなみに今年はタイミングが合わずお会いできませんでした涙)。

TIF初出場、メンバー卒業から事務所を独立した3年間



私が所属するアイドルグループ・エレクトリックリボンは、今回2年ぶりのTIF出演となった。

2013年は自分自身がグループに加入したばかりのタイミングで出演のオファーが来て、訳も分からないまま、とにかく毎日練習を積み重ねて本番に挑んだ。

今では考えられないが、2013年のTIFでは、湾岸スタジオ3F個別楽屋を用意していただいていた(基本、相当有名な出演者以外は、湾岸スタジオ1Fに机と椅子が並べられた大部屋が楽屋となっている)。

2014年のTIFでは、ずっと2フロントとしてエレクトリックリボンを互いに支え合っていたメンバーの卒業発表があった。ステージ上で彼女が卒業発表をした瞬間に彼女のTO(トップヲタ)が膝から崩れ落ちた光景は今でも鮮明に覚えている。

そして2015年は所属事務所を辞め、メンバーも一新し、事務所に所属しないまま、どうにかTIFに出演できないかとかけあったりもしたが、結局出場はできず、悔しい想いを抱きながらお台場へ向かい、年末にあるワンマンライブのプロモーションを行った。

「もう一度TIFのステージで歌いたい!」だけが目標ではない



そして今年のTIFはタワーレコードのアイドルレーベル「箱レコォズ」の一員としてTIFに返り咲くことができた。ステージの規模は以前出演していた時よりも正直小さくなってしまったが、私はまたTIFでエレクトリックリボンとしてパフォーマンスができることがとても嬉しかった。それは、前述した「アイドルの成績表」という名の通り、一年間紆余曲折ありながらも「もう一度TIFのステージで歌いたい!」という気持ちを持ち続け、日々の活動を行ってきた結果だったと思いたい。

昨年より2万人も動員が増えたTIFだったが、その背景には、全国的にアイドルグループが多くなったことによってアイドルファンも年々増えてきたことや、「アイドル文化」というものが、身近でファッショナブルな存在になってきていることも関係しているだろう。

そしてもちろん、TIFはアイドルとファンを繋ぐ場としての機能を担っているが、アイドルとしての目標は、TIFに出演することだけではない。

アイドルは、たった一人でも良い、誰かに見つけてもらうために出演し、ヲタクは、自分の運命を変える推しに出会うため、また、いつも地下のライブハウスで歌い踊っている自分の推しが悲願のTIF出場を決めて、太陽の下で歌う姿を見るために、TIFは毎年存在している。そのことを忘れないでいたいと思う。

次の時もTIFで最高のドラマをつくるために、アイドルもヲタクも休んでられない。来年も最高の夏にしよう!
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