60代は「解放の時」から「再出発の時」へ変化

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2016年08月23日 12:10  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

「気持ち年齢」の平均値は、実年齢−14歳

 平均寿命が男女共に80歳を超え、高齢化社会を取り巻く環境も変わり、元気な高齢者がどんどん増えています。「シルバー世代」と呼ばれる当人たちは、自分自身をどのように捉えているのでしょうか。株式会社博報堂の博報堂生活総合研究所では、1986年から10年ごとに、首都圏で暮らす60〜74歳の男女700人を対象に意識調査を実施。このほど、「シルバー30年変化」と題した調査結果をまとめ、発表しました。

 何歳まで生きたいかという「希望寿命」は調査のたびに延びており、過去最長の84歳に。また、新しく質問項目に加えた「気持ち年齢」は、平均値で実年齢−14歳という結果。気持ちや精神状態は現役時代と変わらない、という人が多いようです。同様に、「体力年齢」は−7歳、「見た目年齢」は−5歳と、いずれも実年齢を下回っており、シルバー世代は、まだまだ若いことを自覚している意識がうかがえます。

 特に、団塊世代が大半を占める65〜69歳に注目すると、「体力もあるし、気持ちも若い」と答えた人の割合は29.5%と、他を圧倒。過去30年の結果と比べても突出した数値で、時代の牽引者として奮闘してきた勢いが表れています。さらに、「健康診断や予防のための医療費に、なるべくお金をかけていきたい」という人の割合も他の世代を上回っており、健康や若さを維持することにも高い関心を持つ世代と言えそうです。

長い老後を見据えた3つのシフトとは?

 前回調査までは、60代を人生の「解放の時」と捉える人が増加傾向にありましたが、今回は減少に転じ、「再出発の時」と捉える人が初めて半数を上回りました。希望寿命も長く、気持ちも若い現代の高齢者は、老後が長くなることを自覚しています。そのため、60代はあらゆるものが終わりに向かう「解放の時」ではなく、長い人生の新たな一歩を踏み出す「再出発の時」に変化したようです。

 調査結果からは、“いまどき”のシニアが長い老後を過ごすためのキーワードも浮かび上がりました。「気負わない」、「頼らない」、「退かない」の3つにシフトを変えることです。なかでも、約94%の人が「子どもに経済的な負担はかけたくない」と回答するなど、家族に頼らず、自立した生活を続けたいと願う高齢者が増加。さらに、「外国語を勉強したい」という人が、30年前のおよそ2倍に増えるなど、向学心に燃え、いつまでも現役を退かないという姿勢も見てとれます。

 充実した第二の人生を送る現代のシニアたち。調査でも、「若返りたい」という人は減り、「年相応に齢を重ねていきたい」という人が増えています。年を取ることで、体力的にできなくなることがある一方、若いときにできなかったことなどを楽しめる知恵や余裕も生まれる。そのような老後なら、年を重ねることも悪くはないと思えそうですね。(菊地 香織)

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