僕が世の中を観察している限りでは、ほとんどの人が彼女のよう。(『リップヴァンウィンクルの花嫁』岩井俊二監督)

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2016年09月14日 17:12  BOOK STAND

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岩井俊二監督と「闇金ウシジマくん」の真鍋昌平先生
黒木華さん主演で大ヒットロングラン上映を果たした、岩井俊二監督の最新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』のDVD&Blu-rayが今月頭にリリースされました。その発売を記念して、岩井俊二監督と、岩井監督が「まるで奇跡のような作品」と絶賛する「闇金ウシジマくん」の作者・真鍋昌平先生がスペシャル対談!
主人公・七海についてふたりが語ったトークの一部が届きましたので、ご紹介します!

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主人公・皆川七海のキャラクターを通してみえることについて

真鍋:七海は主体性がない性格と環境的な状況で、綾野剛さん演じるなんでも屋の安室に巻き込まれ、良くない方向にどんどん行ってしまう。お父さんの教育の一環で彼女にはモノを言わなかった上に母親は天然で、場の空気が読めない人だったから、そこでバランスを取っていたと思うんです。そのまま世間に出て行ってしまうけれど、武器がないから生きていけないわけですよね。だから、合わせることしかできなくて、翻弄されて、流されていく。それは誰にでも起こり得ることで、彼女が特別な子だからではないんですよね。

岩井:なぜ七海は、あそこまで主体性がないのか、観ていてイライラするとよく言われます(笑)。でも、僕が世の中を観察している限りでは、ほとんどの人が彼女のようだ、と思うんです。本当は要らないサービスとか、どんどん乗っていってしまうじゃないですか。彼女の場合も社会に出て引きずられてしまうけれど、人生のレールで重要なポイントに差し掛かっても、たとえば周りが就職するから自分もするみたいな、よく考えなかったりして決めてしまうことってあると思う。それは大企業の社長や会長であっても、自己判断に疲れていると、霊媒師に頼るとか、そういう話ってあるじゃないですか。だから、七海に限らず、そういう弱さは誰でも持っていると思う。誰に起こっても、不思議なことではないんです。

@代官山 蔦屋書店1号館2F イベントスペース(2016.9.7)

トーク中の岩井監督と真鍋先生

[ Profile ]
岩井俊二
1963 年、仙台市生まれ。88 年よりドラマやミュージックビデオ、CF 等の映像世界で活躍を続け、その独特な映像は"岩井美学" と称される。監督作に『Love Letter 』(95)『スワロウテイル』(96)『リリイ・シュシュのすべて』(01)『花とアリス』(04)『花とアリス殺人事 件』(15)など。最新作は『リップヴァンウィンクルの花嫁』(16)。小説家・作曲家などの多彩な顔を持ち海外にも活動を広げている。

真鍋昌平
1998 年、漫画家デビュー。2004 年より週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)にて連載中。「闇金ウシジマくん」でブレイク。借金を 重ね、底辺へと堕ちていく人間の閉塞感を繊細に描写し人気を博している。
◆「闇金ウシジマくん」単行本第38集 9月20日頃発売
◆映画『闇金ウシジマくん Part3』 9月22日(木・祝)より全国公開
◆映画『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』 10月22日(土)より全国公開

『リップヴァンウィンクルの花嫁』
プレミアムボックス ¥13,000(本体+税)

BD ¥4,700(本体+税)
DVD ¥3,800(本体+税)
発売・販売元:ポニーキャニオン
(C) RVW フィルムパートナーズ


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