レーザーポインターの「健全化」は、日本人の急務か

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2016年09月30日 10:10  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

レーザーポインターに関連する事件が、今も発生している。

このレーザーポインター自体は、もともとはプレゼンなどで使用する事務用品に過ぎなかった。ところが製品の高出力化と同時に、それを使用した事件が発生するようになる。日本人がそれを認識したきっかけは、1997年8月に発生した「プロ野球レーザー照射事件」だ。

これは当時ヤクルトに在籍していた吉井理人氏が、ネット裏席からレーザーポインターを顔に当てられたという出来事。手のひらサイズの事務用品がプロ野球の試合進行を簡単に阻止できてしまう事実が、この一件で明らかになった。ちなみに、ネット裏にいたはずの犯人は未だ見つかっていない。

それから19年経ったにもかかわらず、レーザーポインターによる悪質な事件は撲滅できていない。

ネットで簡単に購入可能

今年7月頃から、全国的に違法レーザーポインターの摘発が相次いだ。

去年発生した米軍機への照射、そして新幹線の走行妨害を受けて政府はようやくながら腰を上げた。テロ事件が相次ぎ、国防の重要性も高まっている中で、実際に販売現場が摘発されていないことには大きな矛盾がある。

ここで言う「販売現場」とは、もちろんインターネットだ。

現在日本で規制されているのは、安全基準を満たさないレーザーポインターの製造と販売である。摘発の対象は日本国内で違法製品をネット販売していた業者だ。だが所持と使用に対しての罰則は今もなく、また海外のショッピングサイトで購入した製品に対しても打つ手がないのが現状のようだ。

世界最大のショッピングサイト『ebay』を見てみても、日本では販売禁止のレーザーポインターが堂々と売られている。すなわち、日本にいながらebayから購入することができるということだ。

法改正へ

そんな中、国土交通省が航空法を改正する方針を示した。

それによると、空港周辺の空域でレーザー照射を行った者には50万円以下の罰金が課せられる。これには凧揚げも入っているが、ともかくこの問題について政府がようやく本腰を入れたということだ。

だがこの法改正をもってしても、レーザーポインター自体の流通は阻止できないだろう。

東南アジアの観光地に行くと、土産物屋の定番商品として必ずレーザーポインターが店頭に並べられている。「祖国ではご禁制になっている品を買ってしまう」というのは、心理学の研究材料になるかもしれない。

開放的な気分の中で麻薬に手を出してしまうのと同じで、「日本にはないもの」を現地で買う旅行客は非常に多いという。

「違法製品」だけではない

我々現代人は「キーワード検索」の世界に生きている。

だから、「レーザーポインター」と検索するとどうしてもネガティブな情報か、違法製品の販売サイトばかりが先頭に立つ。だが実際には、我が国の制定基準を遵守した実用的なレーザーポインターも開発されている。

たとえば8月まで、クラウドファンディングサイト『Makuake』で『スタイリッシュワイヤレスプレゼンター』という製品が出展されていた。これはUSB充電式で、パワーポイントも操作できるというものだ。この製品は、Makuake登場初日で目標金額を達成してしまった。

現在は資金集めの段階を終え、すでに商品化されている。Makuake内のスタイリッシュワイヤレスプレゼンターのページを見てみると、このような文章があった。

「携帯用レーザー製品は消費生活用製品安全法で規制されています。そのためレーザーポインターを日本国内で販売するには、経済産業省に認定された検査機関で適合検査をクリアしてPSCマークを付ける必要があります。この適合検査は非常に厳しい検査で、私たちもこれをクリアするのに6か月以上かかりました。しかしこの厳しい検査を通過したからこそ、私たちはこの製品を自信を持って皆さまにお届けすることができます(Makuake スタイリッシュワイヤレスプレゼンターより引用)」

これは、「我々の製品は違法レーザーポインターとはまったく違う」ということを暗に主張している一文のように思えるが、いかがだろうか。

実はPSCマークも、違法レーザーポインターの販売業者による偽造行為が相次いでいる。だからこそ、厳格な検査を通過して取得した本物のマークにはより一層の重みがある。それはまさに、製造メーカーにとっての「勲章」だ。

そして我々消費者は、製品の良し悪しを見極める目を持つ必要がある。

【参考】

※ 乾電池がいらないスタイリッシュな レーザーポインター プレゼンに勝つ最強ツール − Makuake

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