パーキンソン病の外科的治療「DBS」。患者さんが語る術後の実感

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2016年09月30日 18:00  QLife(キューライフ)

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国内患者数約16万人、高齢化に伴い患者が増加しているパーキンソン病

順天堂大学医学部 神経学講座 服部信孝教授

 日本メドトロニック株式会社は9月8日、都内でパーキンソン病に関するメディアセミナー「パーキンソン病の治療にさらなる選択肢を 外科的治療法『脳深部刺激療法(DBS)』」を開催。順天堂大学医学部 神経学講座 教授の服部信孝先生による講演と、服部先生とその患者さんであるKさんによる対談が行われました。

 国指定の難病であるパーキンソン病は国内に約16万人の患者がいるとされ、高齢化に伴いその患者数は年々増加しています。岡本太郎さんや永六輔さん、ハリウッドスターのマイケル・J・フォックスさんらが発症した病気として、ご存知の方も多いでしょう。

 脳の黒質と呼ばれる部分に存在するドーパミン神経が脱落し、無くなっていくパーキンソン病。一部の患者さんでは遺伝子変異が関連していますが、大多数の患者さんではその原因は不明です。一旦発症すると自然に治ることはなく、手足の震え(振戦)や動きの鈍さ(動作緩慢)、筋肉が固くなったり歩行障害や姿勢反射障害がおこったり、といった特徴的な症状が現れます。「パーキンソン病では、その特徴的な症状が出る前に嗅覚や睡眠、便秘障害が出ることがあります」と、服部先生は語ります。

「数年で寝たきり」から「10年、15年、20年と治療を行える時代」に

 パーキンソン病の主な治療法には、薬物治療と手術治療があります。薬物治療ではドーパミンの原料となるレボドーパ(L-dopa)やドーパミンの代わりとなるドーパミンアゴニスト、その他補助薬や非ドーパミン系治療薬が用いられます。「ハネムーン期と呼ばれる期間では、薬物治療の効果が劇的に表れますが、その後、薬が効く時間と効かない時間が表れるウェアリング・オンとオフが現れ、運動症状、非運動症状が進行していきます。治療にはさまざまな薬が使われますが、薬物療法にも限界があります」と服部先生。パーキンソン病の症状を抑えるためには、さらなる治療が必要と語ります。

 手術治療では、脳に埋め込んだ電極によって電気刺激を送り、パーキンソン病の症状を抑える脳深部刺激療法(DBS:Deep Brain Stimulation)などの治療法があります。DBSは2000年に日本国内における保険適応を取得。これまでに7,000人以上がこの治療を実施しています。DBSは、心臓のペースメーカーに似た装置を胸などに植込み、そこから延びるリードを通して脳の深部を電気刺激することで、薬の効果が得られない患者さんの症状を軽減させます。

 「『脳に電極を入れるなんて怖い』という患者さんも多いですがどうでしたか?」という問いにKさんは、「健康保険の適応を受けている手術なので、難しいものではないのかなと思いました。脳に電極と聞くとびっくりすると思いますが、やってみるとそんなに負担や辛さ、痛みがあるわけではありませんでした」とのこと。「手術を受ける前は朝起きて薬を飲んでもしばらく動けないような状態でした。でも今はDBSのおかげで半分くらい薬が効いているような状態ですから、一日中無理なくスムーズに動けるようになりました」と治療実感を語りました。

 「パーキンソン病になると『あと数年で寝たきりになっちゃうよ』と説明する医師も未だにいます。しかし、現在では10年、15年、20年と治療を行える時代になってきました。患者さんには、希望を持っていただきたいと思います」(服部先生)

(QLife編集部)

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