記憶障害を改善するために、脳にチップを埋め込む方法が実用化に向かっている?

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2016年10月11日 10:10  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

治療で記憶力を取り戻せるか。

何らかの疾患で記憶力を失うことがあるが、記憶力を回復するリハビリや治療というものには画期的な手法は無さそうだ。

ところが米国のスタートアップKernelが、脳にチップを埋め込むことで記憶力を回復させる治療方法を開発しているという。

はたして実用化は可能なのだろうか。

長期記憶の能力をチップで回復させる

ロサンゼルスを拠点とするKernelが明らかにした実用化を目指す研究は、脳卒中や外傷などによる記憶障害を治療するために、脳にチップを埋め込むというものだ。市場としては、アルツハイマーや認知症だけでなく、脳卒中や外傷性脳損傷を負った人々も想定しているという。

KernelではTheodore Berger博士が率いる研究チームが、脳細胞を電気的に刺激して、外部から入ってきた情報を長期記憶させるチップを開発しているのだ。チップは脳に埋め込むことを想定しているため、非常に小さなものになるだろう。

チップによって記憶力が回復すれば、前述のさまざまな脳疾患で記憶に障害がある患者の生活は大きく改善することになる。

脳が記憶する仕組みをチップ化

Berger博士の研究では、新しい情報を記憶するときに、海馬内の電極が特定のニューロンからの電気信号を記録して記憶をコード化するのだという。

Berger博士は、この長期記憶を行う際に発せられる電気信号が、記憶として格納されるための信号に変換される仕組みについて、数学的なモデルを構築したという。

この辺りの話しは筆者には理解できない(まして英語では)内容だが、要するに、記憶するために電気信号をエンコードする仕組みが分かったので、チップ化することができるはずだ、ということらしい。

10年以内には臨床デバイスを開発

すでにラットでは実験が進んでいるとのことだが、これを人に応用するのはなかなかに難しそうだ。なにしろラットのニューロンの数は約200万と言われているが、人では約86億というから桁が違いすぎる。

それでも商用化に向けた研究は着実に進んでいるという。KernelはDARPAから資金提供を受けており、10年以内には臨床デバイスを開発することを目標にしている。

よく白内障の手術をした高齢者が、以前よりも視力が格段に良くなったという話しがある。

これと同様にチップを埋め込んだ患者さんたちが、以前より抜群に記憶力が良くなった、などということが起きるかもしれない。

【参考】

※ New Startup Aims to Commercialize a Brain Prosthetic to Improve Memory – IEEE Spectrum

※ Are Brain Prosthetics on Their Way to Market? – ENGINEERING.com

※ Implantable “memory prosthetic” opens new horizons for cyborg future – ExtremeTech

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  • 人工海馬ですね。
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