難病治療を通して見えてきた「患者さんと医療者が一緒に決める」医療とは?

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2016年10月17日 18:00  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

専門外来の新設など、取り巻く環境が変わったADPKD治療

 国内の患者数は推定31,000人、最も多い遺伝性腎疾患である、常染色体優勢多発性のう胞腎(ADPKD)。加齢とともにのう胞が両腎に増加、進行性に腎機能が低下し、60〜70歳までに患者さんの半数が末期腎不全となる病気で、国の難病に指定されています。数年前まで根本的な治療法がなかったADPKDですが、2014年、進行を抑制する世界初の治療薬が日本で承認。全国でADPKDの専門外来も新設されるなど、治療を取り巻く環境が大きく変わっています。

 一般的に、治療法が確立していない難病の場合、エビデンスが不確実であるがゆえに、意思決定が困難になりがちです。そうした状況に対し、「shared decision making(SDM)」という、患者さんと医療者が一緒に意思を決定し、力を合わせて病気に向き合う考え方が広がってきています。

 「ADPKDの治療には、患者さんと先生の共同した意思決定プロセスが欠かせません」と語るのは、帝京大学医学部 泌尿器科学准教授の武藤智先生。ADPKD治療薬を販売する大塚製薬株式会社は9月13日に都内でプレスセミナーを開催。武藤先生の他に、京都大学大学院健康情報学分野教授の中山健夫先生が講演を行いました。

患者の語りが医療を変える

 セミナーではADPKDの患者さん2名も登壇。ご自身の治療体験を語りました。患者会代表の山地さんは人工透析が10年目に入りました。「透析が始まる以前より医師と相談し、どこまで延期できるか細かく検証していたので、透析開始はショックではありませんでした」と、医師と共同で治療プロセスを決定することの大切さを語りました。

 続いて中山先生がSDMについて講演。SDMとともによく挙げられる考え方に「evidence based medicine(EBM=根拠に基づく医療)」がありますが、中山先生は最適な患者ケアのためには両方が重要として、「医師と患者さんが情報を共有しベストな治療を求めるべき」と語り、遺伝子カウンセリングの案内を医療関係者からしてほしいと要望しました。

 PKD遺伝子の異常で起こるADPKD。両親のどちらかから変異を持つPKD遺伝子を受け継いでいると、性別に関係なく遺伝します。のう胞腎になるPKD遺伝子を受け継ぐ確率は50%です。新しい治療薬や遺伝子カウンセリングなど治療の可能性が大きく広がっています。1人でも多くの患者さんがADPKDと上手く付き合うことができるよう、さらなるサポートが求められています。(QLife編集部)

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