注目は午前10時のフロリダ、米大統領選の結果は何時に分かる?

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2016年11月08日 19:01  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<米大統領選の投開票がいよいよ始まる。ヒラリー・クリントン有利とも、いや激戦だとも伝えられるが、結果は日本時間のいつ頃に分かるのだろうか>


 さぁ、いよいよカウントダウンが始まった! 運命の11月8日(火曜日)、アメリカでは早い州で米国東部時間午前6時(日本時間8日午後8時)から本格的な投票が始まる。全米50州と首都ワシントン全てで投票が終わるのは米国東部時間9日午前1時だが、その間にも投票が終わった州から結果は順次速報されていく。大統領候補が勝利するのに必要な538人の選挙人のうち、過半数となる270人以上を獲得したところで勝敗が決まる。


 決戦の時を迎えた民主党のヒラリー・クリントンと共和党のドナルド・トランプ。2人のどちらが次期アメリカ大統領に選ばれるかは、日本時間の何時に判明するのだろうか。


 大統領選当日、米大手メディア各社は投票所にスタッフを送り込んで出口調査を行いその内容を報じていくが、投票の大部分が終了するまではその州の当確は出さないのが慣例だ。投票が締め切られる前に発表してしまうと、その後の投票行動に影響を及ぼすかもしれないからだ。そうなると、各州の当確が発表され始めるのは投票所が閉まってからということになる。観戦する側としては、州ごとに発表される当確情報に基づいて選挙人の数をクリントンとトランプに振り分け、どちらかが270人に達するのを見守ればいい。


 投票の締め切り時間は州ごとに異なるが、ニューヨーク・タイムズ紙のデータをもとに日本時間のタイムラインを作成すると(カッコ内は選挙人の数)――。


■日本時間 11月9日(水)午前8時(米国東部時間8日午後6時):インディアナ州(11)のほとんどとケンタッキー州(8)の半分で最初に投票所がクローズする。


■午前9時:フロリダ州(29)のほとんどの地域、ニューハンプシャー州(4)、ジョージア州(16)、バージニア州(13)などで投票終了。


■午前9時半:オハイオ州(18)、ノースカロライナ州(15)などで投票終了。


■午前10時:ミシガン州(16)のほとんど、ペンシルベニア州(20)、フロリダ州(29)の残りの地域などで投票終了。この時点で投票が終わった州の選挙人数は合計292。


■午前11時:アリゾナ州(11)、ウィスコンシン州(10)などで投票終了。この時点で投票が終わった州の選挙人数は合計432。


※ニューヨーク・タイムズ紙の分析では、午前11時(米国東部時間午後9時)がひとつの山場だ。同紙はクリントンがほぼ確実に取ると思われている州に加えて、激戦州である6州(アリゾナ、フロリダ、ジョージア、ニューハンプシャー、ノースカロライナ、オハイオ)をすべて制覇すればクリントンの勝ちと見ている。


■午後12時:アイオワ州(6)、ネバダ州(6)などで投票終了。この時点で投票が終わった州の選挙人数は合計457。


午後1時:カリフォルニア州(55)などで投票終了。この時点で投票が終わった州の選挙人数は合計535。


午後3時:全米最後のアラスカ州(3)で投票が終了。選挙人数の合計が全538に到達。


フロリダ州に加え、この激戦州2州にも注目


 観戦ポイントとして注目すべきなのは、各候補が270人に到達するために鍵を握る州の動向だろう。なかでも最も目が離せないのは選挙人29人を握るフロリダ州の結果だ。


 ブッシュ前大統領の次席補佐官を務めたカール・ローブはウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿し、「今年の大統領選の最重要州はフロリダ州だ」と語った。過去6回の大統領選で民主党が制してきた18州と首都ワシントンをクリントンが取れば、その時点で獲得選挙人数は242人。そこにフロリダ州の29人を加えれば270人に達するからだ。逆に言うと、トランプはフロリダを落とすとホワイトハウスへの道がほぼ絶望的になる。


 フロリダ州のすべての地域で投票が締め切られるのは日本時間午前10時だが、クリントンがトランプに大差をつけていればフロリダの開票速報は早い時点で出るかもしれない。逆に僅差の場合は、結果が出るまで数時間かかる可能性もある。2000年のジョージ・W・ブッシュ対アル・ゴアの選挙ではあまりに僅差だったため再集計が行われ、結果が出るのに約2週間を要した。


【参考記事】アメリカ大統領選挙、結果が大接戦 そのとき何が起きる?


 米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」による最新の支持率平均値ではフロリダではクリントンが46.6%、トランプが47%とほぼ互角だが、同州では期限前投票で既に総投票数の約3分の2が投じられたと見られており、クリントン優位が伝えられている。専門家によれば、クリントン陣営の「どぶ板選挙」作戦のおかげでクリントンを支持するヒスパニック系と黒人有権者の投票率が跳ね上がっているという。


 フロリダ州の結果を待つ間に注目すべきは、人種や産業の構成などから「アメリカの縮図」と呼ばれ選挙人18人を握る激戦州オハイオの動向だろう。64年以降の大統領選で、オハイオを落として大統領になった候補はいない。「リアル・クリア・ポリティクス」による最新の支持率平均値では、クリントンが44%、トランプが46.2%と、トランプがリードしている。


 また、激戦州ノースカロライナにも注目が集まっている。4年前の大統領選の結果を正確に予測した統計分析の専門家ネイト・シルバーは、自身が主宰する「ファイブサーティーエイト(538)」で、今年の選挙戦の「主役」はフロリダ州とノースカロライナ州だとして、トランプがこのどちらで負けても270人には届かないとみる。


 選挙人15人を抱えるノースカロライナ州の最新の支持率平均値は、クリントンが45.7%、トランプが46.5%とその差は僅かだ。カール・ローブも、例えトランプがフロリダ州とその他の激戦州で勝ったとしても、クリントンが民主党が過去に勝利してきた18州+ワシントンの242人に加えてノースカロライナ州とバージニア州の両方(合計28人)を取れば決まりだとみる。


 前評判どおりクリントン有利に展開するのか、それとも接戦にもつれ込むのか。はたまたトランプの大どんでん返しがあるのか。他に接戦州とされるのは、アイオワ州(6)、アリゾナ州(11)、ネバダ州(6)、ニューハンプシャー州(4)、コロラド州(9)、ミシガン州(16)、ペンシルベニア州(20)、ウィスコンシン州(10)。だが、勝利演説が何時になるかを予想するには、まずはフロリダ、オハイオ、ノースカロライナに注目するのがよさそうだ。


【参考記事】ニューストピックス 決戦2016米大統領選




小暮聡子(ニューヨーク支局)


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