あのサイゲン大介が語る、どんなレシピにも書いてない「料理で最も大事なこと」

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2016年11月10日 20:02  新刊JP

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あのサイゲン大介が語る、どんなレシピにも書いてない「料理で最も大事なこと」
この秋、TBSラジオで冠番組『うしろシティ星のギガボディ』(AM954+FM90.5・水曜日 24:00〜)がスタートしたお笑いコンビ「うしろシティ」。

学校や病院など、“ベタなシチュエーション”に、個性的なキャラが登場するコントへの評価が高く、『キングオブコント』ではこれまで3回、ファイナリストに選出されている。

メンバーの阿諏訪泰義さんは、『あのニュースで得する人損する人』(日本テレビ系)に「サイゲン大介」の名前で出演中だが、とにかく料理の腕がスゴイ。某チェーン店のカレーや牛丼など、有名店のメニューを次々と完璧に再現することに成功しているのだ。

そんな阿諏訪さんにとって初めてのレシピ本となる『リストランテasuwa−予約の取れないレストラン』(ワニブックス刊)が10月に出版された。彼はどんなこだわりを自身の料理の中に詰め込んでいるのだろうか?

お話をうかがっていると、「うしろシティ」のお笑いに通じる言葉が飛び出してきた。

■サイゲン大介が、どんな味も再現できる秘密



――特技の料理をきっかけに番組のコーナーが人気となり、レシピ本を発売することになりました。阿諏訪さんの料理の腕はいつどこで身につけたものなのでしょうか?

阿諏訪:芸人になったばかりの頃に、月に2回くらいしか仕事がなくて、それだけじゃ食っていけないからって始めた厨房のアルバイトがきっかけですね。「なだ万」の店長だった人が東京で出した店があって、包丁も握ったことなかったのに色々教えてもらいながら6、7年勤めました。

――6、7年というと、修業の域ですね!

阿諏訪:料理が好きだったんですよ。好きなことには手を抜かないので、そこで料理の腕が鍛えられたのかもしれません。

仕込みの時間は大きな厨房に一人でいることが多かったんですけど、そのときは店で出すわけでもないのに勝手に色々作って(笑)、先輩に食べてもらったりしてました。当然、周りが全員プロの料理人なので、本格的なアドバイスを受けたりしながら、料理に関する色々なことを教わりました。

――阿諏訪さんといえば、有名店の味を再現するその料理の腕前です。これには特別なコツがあるんですか?

阿諏訪:僕は料理を始めた時から、「とにかく味見をしろ」と言われてきたんです。何か入れる前には味見して、入れたらまた味見して。1分でも煮込んだらまた味見して…って。

調味料ひとつにしても、「何でここで入れるんだろう?」と考えて、味を作る過程や仕組みを学んだので、漠然とですが、頭のなかに味の設計図みたいなものがあるんですよ。

――味の設計図ですか。

阿諏訪:何か食べたときに、「あ、この部分が足りないな」っていうのを感じるんです。この部分、急に細くなっているな…足りないのは砂糖かな? とか。味を作るときは、何度も味見をしながら、足りない部分を補っていく作業みたいなイメージです。



■食への探究心はネタ作りにもつながっている

サイゲン大介こと、阿諏訪泰義さんがあらゆる料理の味を再現できるのは、何度も味見を繰り返すことに秘密があった。しかし、それができるのも「足りない味」が何かを突き止める飽くなき探究心と、引き出しを増やそうとする向上心に他ならない。

――『リストランテasuwa』に載せているレシピはどのように選びましたか?

阿諏訪:世界には手のかからない美味しい料理がたくさんあるので、「簡単に作れて美味しい料理」を選んでいる一方で、定番の「ベタな料理」も幅広く載せています。

みんなが知っているカレーとか、生姜焼きみたいな「ベタな料理」も、少しの工夫でぐっと美味しくなるので、「えっ、いつも食べてるこの料理ってこんなに美味しく作れるの?!」みたいに、驚かせたいっていうのがありますね。

――「ベタなもので驚かせたい」っていうのは、うしろシティさんのお笑いにもつながっているように感じます。

阿諏訪:そうかもしれない。僕ら、ベタな設定をよくやるんですよ。「学校」とか「医者と患者」とか。それって誰もが知っているものだから、ちょっと味付けを変えるとすごく新鮮に感じられるんですよね。

奇をてらったことをしなくても、みんなが知っている「ベタな空間」に変な奴が出てきたら、際立つじゃないですか(笑)

――ベタなものにも意外な良さが隠れているのですね。

阿諏訪:「ベタなもの」って、良いところがいっぱいあるから世の中に浸透していって、その結果「ベタ」になっていると思うんですよ。ということは、「ベタ」って「良いもの」ってことなんですよね。

ただ、みんなが飽きてしまっている、慣れてしまっているので、そこに新しい視点やものを加えてあげて、再発見だったり、驚きを感じてもらうことで、人を楽しませることができるっていうのは、やっていてすごく楽しいですね。

■味の引き出しを広げる冒険

「ベタなもの」をアレンジして、再発見や驚きを提供する阿諏訪さん。しかし更に話を聞いていくと、新しいもの探求し、引き出しを増やしていく活動にも事欠かないことが分かる。

――定番メニューと並んで、めずらしい料理のレシピも載っているのも面白かったです。

阿諏訪:僕、食べたことのないものを食べたいんですよ。それこそ、アメ横にある「なにこれ…?」みたいな調味料屋にも通いますし。

――それはどんなお店なんですか・・?

阿諏訪:そのお店は本当にすごくて、味の想像もつかないようなスパイスや調味料が並んでいるんですよ。あとはね、一度も見たことがないような鮮魚も売っています(笑)おそらく外国の方が、自国の食材を調達して、家で料理するためのお店だと思うんですけどね。

――そういったお店で購入した知らない食材やスパイスを、どんどん試してみるわけですね。

阿諏訪:初めて見かけた食材やスパイスを買ってきては、家でなめてみて「ああ・・これはこんな味がするのか」と。でも、「この味ならば、あの料理に合いそう」とすぐアレンジするのはあまり好きではなくて、必ず本来の使い方をするようにしています。

つまり、最初はその国の料理を調べて、食べたことのない料理を作るんです。応用はその後からですね。色んなもん食べたいです。



■ 飽きてしまったものの面白さを再発見したい

阿諏訪さんのレシピは、定番料理をぐっと美味しくするコツや、簡単なのにオシャレで美味しいというものだ。こうした料理に対する姿勢は主婦の人気を呼ぶ。

――“サイゲン大介”を始めてから、変わったことはありますか?

阿諏訪:以前は地方に行くと、中高生のファンが多くて、親御さんは後ろの方で「行ってきなさい」って子どもを見ている感じだったんですけど、最近はお母さんの方が来てくれるようになりました(笑)

――なるほど! 料理を通して、親御さん層のファンの方々が増えたんですね。では、本書のレシピのラインナップは、どういった人たちに向けられているんですか?

阿諏訪:それはもちろん主婦の方々に作っていただきたいな、と。あとは、料理をしたことない人にも手に取ってほしいですね。自家製ケチャップとかもあるんですけど、「ケチャップをつくる」っていう発想って、なかなかないじゃないですか。でも、簡単でめっちゃうまいですよ。

――初心者でも作りやすいレシピがたくさんありますね。

阿諏訪:でも、レシピ本を出しておいてなんなんですけど、レシピ通りに作らないでほしいんですよ(笑)というのは、やっぱり味見してほしいなと思って。

料理に苦手意識のある方って、味見をしないことが多いんですよ。もしくは全部できてから味見をするとか。それだとあまり意味がないんです。味見は何かを加える前、加えた後、何かしたら必ず味を見るようにすると、味がどう変わったかが分かるようになるんです。

こういう作り方をしていると、調味料の引き出しが増えるし、足りないものが何か分かるようになるから楽しいですよ。どんな料理でも美味しく作れるようになると思います。

――では、最後にファンの皆さまにメッセージをお願いします。

阿諏訪:いつもの料理をぐっと旨くできるコツや、実は簡単に作れる海外の料理を本にしたので、料理を通して誰かをびっくりさせてほしいですね。あと、一人5冊は買って下さいっていうくらいですかね(笑)

(聞き手:新刊JP編集部 高原健太)

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