遺族「カメラ設置や抜き打ち調査を」保育施設で乳児死亡、元経営者に二審も懲役10年

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2016年11月24日 13:42  弁護士ドットコム

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宇都宮市の認可外保育施設「託児室トイズ」で、乳児が死亡したり、保育の手間を省くため、毛布とひもで「ぐるぐる巻き」にされたりしていた事件で、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた元施設長の保育士・木村久美子被告(60)の控訴審の判決が11月24日、東京高裁であった。朝山芳史裁判長は、懲役10年とした一審宇都宮地裁判決を支持し、被告人側の控訴を棄却した。


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一審判決によると、木村被告は2014年7月、当時9カ月の山口愛美利(えみり)ちゃんが少なくとも14回の下痢や38度を超える発熱があったのに、医師の診察を受けさせるなどの適切な処置を取らず、熱中症で死亡させた。また、別の乳児2人に対する「ぐるぐる巻き」の暴行も認められていた。



判決後、司法記者クラブで愛美利ちゃんの両親が記者会見した。父親(51)は、愛美利ちゃんにもひもで縛られたような跡があったが、裁判では認定されなかったこともあり、「減刑にならなかったことについては安堵しているが、子を死なされた親としては(刑が)軽いと考えています」と話した。また、母親(38)は「代理人を通じて謝罪の言葉がない。反省というものが、彼女の中ではまったくないんだな」と被告人への不信感を語った。



この保育施設では、案内のパンフレットに「嘱宅医と連携」などの虚偽記載もあった。両親は事件後、施設側を詐欺罪で刑事告訴しているが、今年1月に不起訴になっている。父親は今後、「検察審査会にかけ、ふたたび起訴を目指します」と語った。



●保育施設への「抜き打ち」調査、防犯カメラ設置を求める


施設については、「虐待が起きている」との情報が宇都宮市に寄せられていた。市は、愛美利ちゃんが亡くなる約2カ月前、「事前通告」した上で立ち入り調査していたが、問題なしと判断していた。両親は、愛美利ちゃんの死の責任をめぐって、施設側や「抜き打ち」調査をしなかった市を相手に民事裁判でも争っている。



今後の保育行政について求めることを質問された両親は、保育施設への抜き打ち調査の義務化に加え、保育事故では、密室で原因がはっきりしないことがあるため、「防犯カメラの設置が必要ではないか」とも話していた。


(弁護士ドットコムニュース)


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