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嵐、KAT−TUNに続き、今度はNEWSの暴露本が本日、発売された。『NEWSあの日のままで』(元「NEWS」側近スタッフ一同/主婦と生活社)だ。NEWSといえば、いまではエースの手越祐也、オシャレな増田貴久、小山慶一郎はキャスター、加藤シゲアキは作家といったそれぞれのイメージが定着し、4人でまとまってきているように見えるが、そこに至るまでには数々の試練があったようだ。
そもそも、NEWSが結成されたのは、当時から抜群の人気を誇っていた山下智久が「......僕、高校生の間にデビューできなかったら、ジャニーズ事務所を辞めようと思っています」と、ジャニー喜多川社長に直談判したのがきっかけだったという。そこで、ジャニー社長は2003年のバレーボールワールドカップのユニットを、山下を売り出すためのグループにしようと画策。ジャニー氏は「これは山下を引き上げるための企画」と言い、あくまで残りのメンバーは山下の引き立て役として"寄せ集め"られたのだった。
そうしてNEWSは、山下のほかに手越、小山、増田、加藤、現在はONE OK ROCKのボーカルTAKAとして活躍している森内貴寛、草野博紀、関ジャニ∞から錦戸亮、内博貴の計9名で、"山下のためのグループ"として始動。グループ名が決まるまでのレコード会社内での呼び名も"Yプロジェクト"という露骨なものだったらしい。
だが、9人もいたグループが、なぜ半分以下の4人にまで減ってしまったのか。だいたい"山下のためのグループ"からなぜ山下は抜けてしまったのか。それは、森内の喫煙写真流出、内や草野の未成年飲酒といった問題が次々に起こり、活動休止にまで追い込まれたことも原因ではあるが、それとは別に、SMAP問題でも取り沙汰された「メリー&ジュリーVSジャニー」の派閥争いの影響があった、と本書は指摘する。
NEWSにとって大きなターニングポイントとなった出来事は、無論、主要メンバーだった山下と錦戸の脱退である。これはSMAPで喩えれば木村拓哉と中居正広が同時にいなくなるような一大事だったが、脱退のきっかけのひとつとなったのは、山下があるドラマのギャラを巡って、メリー副社長と揉めたことだったという。
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山下は〈人気シリーズとなったあるドラマに主演〉した際、年下の共演女優よりもギャラが安かったことを知り、山下が事務所に不信感を抱いた、と本書には書かれている。山下主演の人気シリーズドラマといえば、08年に月9で放送された『コード・ブルー ─ドクターヘリ緊急救命─』(フジテレビ)ではないかと思われるが、確かに同作では新垣結衣や戸田恵梨香といった山下より年下の女優たちが脇を固めていた。主演なのに彼女たちよりギャラが安いのはおかしい──。そうメリー副社長に訴えたときの様子が、こう書かれている。
〈「山下にしてみれば、金額よりプライドの問題だったんですよね。事務所に不信感を持ってしまって、そんな本人の態度にメリーさんも激怒して"山下をクビにしろ"ってなっちゃって、もう大騒動です」
メリー副社長も、山下の側も一歩も引かない。
「事務所を変わる」
「もうクビだ」
という激しい対立に発展し、のっぴきならなくなってしまった。
そこに手を差しのべたのが、ジャニー社長だ。
「ジャニーさんが"まあまあ"って。"山下はジャニーズ事務所と契約しなくていいよ。僕と契約しよう"って言って、やっと収まったんです。それで担当が、SMAPを手がけていた非主流派の飯島(三智)さんになったんです」〉
こうして飯島派に派閥替えすることになった山下だが、"アーティストとしてソロでやりたい!"という彼にとって、この選択はよいものだったのだろう。飯島氏のアイデアの出し方やマネージメントの手法について、当時のスタッフはこう語る。
「飯島さんは企画ライクというか、何がおもしろくて、何が欲しいか、何が売れるか、何がタレントを成長させるかをけっこうリベラルに話す人なんですよね。ちゃんとレジュメを作って"あなたどう思う?"って、ちゃんと意見を求める。レコード会社としては、なかなか有意義な打ち合わせなんです。売れてるタレントをさらにどう生まれ変わらせるかみたいな、前向きでクリエイティブな議論。けっこうおもしろいですよ」
さらに、飯島氏は本来ならレコード会社がやるべきタイアップも自ら取ってきて、移籍第1弾シングルとなる「愛、テキサス」は20万枚ほど売れた。飯島氏の手腕によって、山下のソロ活動は好調なスタートを切ったのだ。
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一方、山下と同時に脱退した錦戸は、メリー副社長に擦り寄ることで関ジャニ∞として成功していく。もともとジュニア時代からメリー副社長のお気に入りだったと言われる錦戸には、こんなエピソードがある。
それは、01年に行われた舞台『PLAYZONE』でのこと。主演の少年隊やV6の井ノ原快彦、嵐の大野智など、先輩が大勢いるなかでろくに挨拶もできない錦戸に対し、メリー副社長の秘書をしていたこともある古株の女性役員がこんな一言を言い放ったという。
「あんた、なんで仕事もらえるかわかってるの? あんたは他の誰でもない、メリーさんのお気に入りなのよ」
その一言で、周りにいた少年隊は「じゃ、しょうがない」といった顔をし、ほかのメンバーも「あ、なるほどね」と大納得したという。
そんなメリー副社長お気に入りの錦戸が脱退を決断したのには、ある出来事が影響しているようだ。それは、関ジャニ∞として全員で、メリー氏の実娘であるジュリー副社長に頭を下げに行ったこと。当時の関係者はこう語る。
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「'07年くらいのことです。全員で"ジュリーさん、お話があります"と。ジェイ・ストームの社長も兼ねる藤島ジュリー景子副社長に"僕たちを売ってもらえませんか、お願いします!"って頭下げたんです。これにジュリーさんが感激して"あなたたち、やるじゃない。わかったわ。気合い入れて売るわよ!"ってなって、そこからCMやドラマ出演が急増。来る仕事を全部、関ジャニに差配して、彼らがバーッとキタんです」
つまり錦戸は、"NEWSのほうが居心地がいい"と言いながら、一方でNEWSと関ジャニ∞、双方のグループの仕事の勢いなどを考え、メリー、ジュリー両副社長に大プッシュしてもらえる関ジャニ∞を選んだ、というわけだ。
他方、4人になったNEWSに対し、周りの反応は冷ややかなものだった。それはそうだろう。そもそも、NEWSは山下のためにつくられたグループだったのに、その山下が抜け、おまけに大のお気に入りだった錦戸もいないNEWSを、メリー副社長が推すはずもない。
〈ジャニーズ事務所というブランド、そしてプライド。それを何より重視するのがメリー副社長だ。グループの事情やファンの気持ちなどはありつつもやはり事務所の体面を重視する人だけに
「全然売れないじゃない? 2位になってどうするの」
「そういうグループって、活動してる意味あるの?」
真顔でまくしたて、その「意見」が容赦なく現場に降りてくる。
「だからといって、宣伝費をいっぱい使わせてくれるわけじゃないんですよ。それで"どうする?""厳しいよね"って話になったんですね。"4人だとCD売れないでしょう""東京ドームとか、入らないでしょ""下手したら横浜アリーナもけっこう危ないよね"って」
と元スタッフ。〉
そこでNEWSの4人が生き残りのために取った行動は、関ジャニ∞の選択と同じものだった。4人はジャニー社長ではなく、メリー副社長とジュリー副社長に「絶対、やりますんで! 頑張りますから、続けさせてください!!」と、頭を下げてひたすら頼み込んだのだ。
「そんなとき、ジャニーさんだったら"わかった、わかった。やろうよ"ってすぐ言ってくれるんですよ。でも、それで進めたとしても、メリーさんのところでダメになっちゃう。あと、現場の責任者はジュリーさんなんで、ジュリーさんに認めてもらえなければドラマ出演を決めてもらえないし、音楽番組にも入れてもらえない。シングルも切ってもらえない。現場の長として判断するのがジュリーさんで、それ以前にそもそもグループの存在があっていいかという生殺与奪権は、大御所のメリーさんが握っているんです」
元側近スタッフがこう語るように、それを知っていたNEWSの4人は、「現実的な権力者に狙いを定め」て、熱い思いをぶつけた。
本書のなかでは、メリーさんとジュリーさんは"人情派だった"などと書かれているが、そんなことはない。ただ権力を盾に自分の好き嫌いで所属タレントや周囲を振り回しているだけではないか。本ではさらっと書かれているが、いまのジャニーズ事務所は「グループの存在があっていいかという生殺与奪権」がメリー社長にあるという恐ろしい状況なのだ。
今回のSMAP解散騒動を見てもわかるとおり、彼女の機嫌を損ねれば徹底的に排除される。これまでも、派閥争いについてはいろいろと噂レベルで漏れ聞こえてきていた。だが、『NEWSあの日のままで』では、その争いの様子が近くで見てきたスタッフによって生々しく書かれている。NEWSファンでなくとも一読の価値ありだ。
(島原らん)
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