【C91】夏コミ席巻した島本和彦『シン・ゴジラ』本の勢い衰えず「初のシャッターになりました」

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2016年12月31日 21:31  KAI-YOU.net

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【C91】夏コミ席巻した島本和彦『シン・ゴジラ』本の勢い衰えず「初のシャッターになりました」
年末の祭典「コミックマーケット91」(C91)が無事閉幕しました。

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最終日にあたる12月31日(土)、筆者は真っ先に漫画家・島本和彦先生のサークル「ウラシマモト」を訪ねました。というのも、前回の「夏コミ」を席巻した、映画『シン・ゴジラ』の同人誌『アンノ対ホノオ』の続編が頒布されるというからです。

「ウラシマモト」は、ビッグサイトの拡張工事が完了して新設された「東7ホール」の配置。行ってみると、「夏コミ」のような、どこが列の最後尾か誰にもわからない混沌状態、ではなく、大勢のスタッフによる整然とした頒布が行われていました。

島本先生曰く、「2000年からサークル参加するようになって、はじめてシャッター前になった」とのこと。そんなブースの様子や、当日島本先生に直撃した夏の大騒動の舞台裏から続編である『ザ・ツイート・オブ アンノ対ホノオ』前後編についてのお話をお届けします。

夏コミから衰えず、「ウラシマモト」には数百人の長蛇の列


8月に開催された「夏コミ」は、『シン・ゴジラ』の上映開始直後ということもあり、庵野秀明監督の大阪芸術大学時代の同級生にして盟友である島本和彦先生による同人誌『アンノ対ホノオ』人気が爆発。東ホールが混沌のるつぼと化した、と言っても過言ではありませんでした。


さらに、コミケの翌日には、島本先生の発言が発端となって開催が決まった『シン・ゴジラ』の「発声可能上映」が開催され、そちらも大いに盛り上がりました。


そんな盛り上がりを受けてか、今回の「ウラシマモト」は初のシャッター前。「シャッター前」とは、即売会用語で、他のサークルとひとかたまりになった「島」サークルや、列ができやすいため会場の外縁に配置された「壁」サークルなどよりもさらに大手、シャッターの前に配置して会場の外に列を形成させるサークルのことを指します。

他のホールと異なり、新設された東7ホールはシャッター自体の面積が小さく、そのため1サークルにつきシャッター1箇所という形式で配置されていました(通常、大きなシャッター1箇所に2サークルのブースを配置)。



会場の内側から見ると、そこまで人が多いわけではないように見えるのですが、会場の外に出て「ウラシマモト」列を覗いてみると、尋常ではない列が形成されていることがわかりました。



最後尾はどこかスタッフさんに聞くと「最後尾? ずーっと先の方にありますよ」と、不敵な笑みでコメント。確かに、その列を辿ってみると、筆者がいた11時前の時点で、目算で500メートルを優に越える長蛇の列であることがわかります。



もちろん、他のシャッターサークルや人気の企業ブースもそれくらいの列を形成することはコミケでは当たり前の光景ですが、『シン・ゴジラ』そして島本和彦先生の同人誌人気が、上映開始直後の夏に比べても衰えていないことがうかがえます。

最後尾のプラカードを掲げるスタッフさんも「何人並んでいるのか数えている余裕もない」とのこと。少なくとも数百人規模ではあったはずです。

「夏コミ」と同じく、この日も朝からブースには、島本和彦先生自身のお姿が。開催の数日前、ギリギリまで原稿と格闘する様子をツイートされていた先生ですが、当日はお元気な様子。タフすぎる先生に、今回も直撃取材をさせていただきました。


「夏コミ」に続き、島本和彦先生に直撃インタビュー


──コミケ準備お疲れ様でした。前回も取材させていただいた者です。

島本先生 ああ! いや〜前回はちょっとしゃべり過ぎちゃったからねえ(笑)。

──完売直後のインタビューでしたが、大きな反響がありました。

島本先生 夏はさ、庵野秀明はじめ東宝さんに乗っけられて動いてしまったんだけど、ツイートを見てみると、「宣伝のために(東宝と)島本が組んでる」とか書かれていて、そんなこと一切ないんだよ! 一切ギャランティももらってない(笑)!

何かの授受があったとしたら、「発生可能上映」のチケットと、その後の食事をおごってもらっただけ(笑)。

チケットも、サービスというより、チケットを送ったら来なきゃいけないだろうっていう感じで(笑)。7分で完売するチケットを取る能力なんてないから、「ごめんチケット取れなかったよ」で済ませたかったんだけどね、本当は……。

要は、友達が映画をつくったから応援の意味で同人誌をつくった、友達が映画に呼んでくれたから応援に行った、というだけのこと。今回の続編も含めて、あくまで応援の一環ですよ。

そういうのも、『ザ・ツイート・オブ アンノ対ホノオ』では全部明らかにしているからね!



──前回は、頒布の際に大きな混乱が起きて、先生も「想定外の盛り上がりだった」とのことですが、今回は順調に頒布されているようですね。

島本先生 そうそう、今回夢のシャッターだから。2000年からほぼずっと出展してるけど、初めてなんだよ。

前回までは、コミケ側にナメられてたから(笑)。「おまえなんかこんなところで売ってみろ、列なんてできねえぞ」って思われてたんだろうけど、うちは売り子が早くてものすごいスピードで売るから列ができないだけなの! 夏はそれでもパニックになっちゃったんだけどね。



──それで今回はシャッター扱いになったと。

島本先生 前回、スタッフ追加人員用のチケットがほしいと頼んでも少ししかくれなかったんだけど、今回はさすがに多くくれた。それはコミケに感謝です、ありがとうございます!

──コミケ翌日の応援上映では、「クリエイター全員が負けたんだ」とお話されていましたね。

島本先生 要するに、「こういうゴジラが見たい」という子供の頃からの思いがずっとあったんだよね。小学生や中学生の時に見たものが原体験として残っていて、そういうものをもう一度大人になっても味わいたいと思うんだけど、そんなの無理じゃん。そもそもそういう風につくられていないんだもん。それはそれでいいと思っているのね。

でも、『シン・ゴジラ』は、大人になった自分が「これを見たかった」というものになっていた。これをつくれたことは、やっぱりすごいよ。後はヒットすれば文句ないと思ってたけど、ちゃんとヒットしたから、「どうだ、すごいだろ!」って。俺がつくったんじゃないけど(笑)。

──『シン・ゴジラ』も含めて、あの後、日本の映画はすごい盛り上がりましたよね?

島本先生 うん、本当に盛り上がったね。

──あの直後、同じ東宝配給の『君の名は。』も大ヒット、11月からは『この世界の片隅に』(配給は東京テアトル)も評判を博しています。先生は、その状況をどうご覧になっていますか?

島本先生 ある意味、「こういうのをつくりたいんだよ!」っていうのが出てきたってことだと思う。「こういうのがほしいんでしょ?」じゃなくて「こういうのつくりたいんだけどどう?」っていう作品がちゃんとウケたのは、非常に喜ばしいことですよ。

プロデューサーからの「こういうのをつくりなよ」っていう形から、つくり手側が「こういうのをつくりたい」というものがウケるようになると、作品の質が上がる。質が上がるというのは、単につくりたいものをつくるということではなくて、お客さんの方を向きながらもいいものをつくる、ということ。そういうのが出てきたのは嬉しいし、いい方向に向かっているなと。

──『シン・ゴジラ』も、庵野さんが思い入れを込めてつくりたいと思ったものをお客さんにちゃんと届けた作品であると。

島本先生 ただ、アイツはゴジラに思い入れがある、というわけでもないみたい。庵野は「ゴジラが好き」というか「特撮が好き」なんだよね。だから『シン・ゴジラ』では、特撮好きとして「ゴジラをつくるんだとしたらこうじゃないか?」と真剣に取り組んだと。

東宝さんも実は「庵野さんがこんなにやってくれるとは思ってなかった」んだって。庵野は総監督で、樋口さんが監督だから、ほぼ樋口さんがやるもんだと思っていて、ちょっとやってくれればいいかなと思っていたのが、彼自身がかなり制作したでしょ。それはやっぱり、(庵野の)特撮に対する思い入れだったんだよ。この本に、その辺のこともすべて描いてあるんだけどね!

──ちなみに、夏コミでは、庵野監督とはほとんど話していないとおっしゃっていましたが、その後、ゆっくりお話をされたんでしょうか?

島本先生 上映の後に、2・3時間くらい(話をした)。その時のことも少しだけ続編には描いてますね。

ツイートアンホノ本前編のちょっと中見せです‼︎

#冬コミ31日東7a17aウラシマモト pic.twitter.com/bayxUmF42a

— 島本和彦@31日東7 a-17a (@simakazu) 2016年12月29日



『ザ・ツイート・オブ アンノ対ホノオ』前後編、通販は未定


あとはネタバレになってしまうため、インタビューでうかがった裏話なども収録されている濃密な『ザ・ツイート・オブ アンノ対ホノオ』前後編を手に入れた人は読んでみてください。

ただし、前作『アンノ対ホノオ』はコミケ終了後に通販も発表されましたが、今回はまだ未定だという。

前作の通販を受け付けた際、未振込や同姓同名の申し込みによる発送時手続きの混乱が起きて、かなり苦労されたよう。惜しくも手に入れられなかったという方は、続報を待ちましょう。

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