「賃金」より「経験」を重視
このほど、日本老年学会が「高齢者」の定義を現在の65歳以上から75歳以上に引き上げるべきだと提言し、話題を呼んでいます。日常生活を普通に送れる「健康寿命」も男性71.2歳、女性74.2歳と、65歳を大きく上回っており、従来の定義と実際の高齢者との間で“ズレ”が生じているのは確かです。
では、当の本人であるシニア層たちはどのように考えているのでしょうか?ソニー生命保険株式会社が50〜79歳の男女1,000人を対象に行った生活意識調査から、シニアの本音を探ってみます。
シニア層はいまや、人口減による労働力不足を補う重要な存在。「65歳以降も仕事をしたい」と答えた人は33.8%、「仕事はしたくない」と答えた人は44.8%で、就業意欲があるシニアは3人に1人となりました。65歳以降の仕事で重視したいことは、「体力的な負担が軽い」が最も多く、「勤務時間」、「経験が活かせる」、「賃金」と続きます。定年後は、賃金が高い仕事よりも、現役時代に培ってきた経験が活かせる仕事に就きたいと考えるシニアが多くなっています。
画像はリリースより
孫に使うお金は、年間平均約12万円
少子化が進むなか、1人の子どもに両親と双方の祖父母合わせて6人がお金を出す「シックスポケット」という言葉があるように、孫に金銭的な援助をするシニアが増えています。孫のために1年間で使った平均金額は12万2,904円と、昨年より6,433円アップ。なかには、50万円以上と答えた人も4.8%おり、可愛い孫に惜しみなく愛情を注ぐことが生きがいにもなっているようです。
また、スマートフォンやSNSの利用率も上昇。スマートフォンを利用している人は約4割で、昨年(2015年)の調査結果から6.0ポイント上昇しています。SNSの利用状況をみると、「Facebook」は24.2%、「LINE」は30.8%が利用。特に、LINEは年々増加傾向にあり、2013年の3倍近くに増えています。友人のほか、遠方に住む子どもや孫とのコミュニケーションツールとして、積極的に新しいものを取り入れている様子がうかがえます。
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最後に、2016年を振り返ってもらい、心に響いた歌を聞いたところ、ピコ太郎の「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」が3位にランクイン。子どもや若者に大人気のピコ太郎もしっかりチェックするなど、流行にも敏感に反応しています。高齢者の定義が揺らいでいますが、“くくり”をつけること自体、もはや時流に合わないのかもしれませんね。(菊地 香織)
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