理由のトップは「収入の少なさ」
画像はリリースより
高齢化社会において、お年寄りの日常生活を支える重要な役割を担っているのが、介護職に就く人たちです。社会的貢献度が高い仕事である一方、「夜勤があり、体力的にきつい」、「給料水準が低い」などマイナスのイメージも持たれがちで、慢性的な人材不足に悩まされている業界です。
現状に追い打ちを掛けるのが、「2025年問題」です。団塊世代が全て75歳以上となることで、介護施設、人材の不足が懸念されています。厚生労働省の推計では、2025年に向けた介護人材の需要見込みは253.0万人ですが、現状推移シナリオによる供給見込みは215.2万人と、37.7万人の需給ギャップが生じることになります。
BCC株式会社のアンケート調査(介護職に就く男女217人を対象)によると、常勤の介護職員の約3割が転職を考えていることが判明。理由のトップは「収入の少なさ」で、「心身の疲れ」、「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満」という順に続きます。非常勤でも24.6%が転職を考えていますが、理由のトップは収入ではなく、「職場の人間関係」で、職場環境に改善すべき点があることが伺えます。
転職経験者は半数以上
常勤と非常勤で理由は異なるものの、介護業界は転職希望者が多いようです。実際、転職をしている人は多く、半数以上が転職経験ありと回答。なかには、5回以上と答えた人も1割以上おり、“理想”の職場を求めて、転職を繰り返す人が多いのかもしれません。
求職の際に重視することを尋ねたところ、常勤と非常勤ではトップが違う結果となりました。常勤が「賃金水準」なのに対して、非常勤は「職場の雰囲気」を最重視。常勤に比べて、個人や家庭の事情によって転職しやすい非常勤職員は、賃金よりも働きやすい環境に重きを置いているようです。一方、常勤職員は転職条件のハードルが高く、なかなか踏み切れない実情が浮かび上がります。
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介護業界でも、介護施設などは常勤職員が主体ですが、訪問介護員は非常勤職員が主体となっており、業界全体からの人材流出を防ぐためには、常勤、非常勤どちらの条件も満たしてゆく必要がありそうです。2025年まであと8年。需給ギャップが少しでも埋まるような“改革”の実行が望まれます。(菊地 香織)
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