要介護者の48%が低栄養傾向に
画像はリリースより
在宅介護をしている家族の約8割が何らかの悩みを持っていることが、日清オイリオグループ株式会社の調査で明らかになりました。なかでも、食事に関する悩みは深刻で、要介護者がきちんと栄養を取れているのか不安に思う家族は約6割と多く、要介護者の48%が低栄養傾向にあることもわかりました。
在宅介護に関する調査は同社が2011年から続けているもので、今回が第10弾。60歳以上の要介護者(要介護1〜3)を在宅介護中で、介護食を作っている男女100人を対象に行われました。
悩みについて尋ねたところ、トップは「介護の負担」。「食事の世話」、「排泄の世話」などと続き、何らかの悩みを抱えている家族は81%に上りました。要介護者の食事に関しては、栄養面のほか、半数近い家族が食欲減退についても悩んでいることが判明。家族からは「栄養バランスが良いメニュー」や「食欲が出る献立」を知りたいという声が多い一方で、「簡単に作れるもの」を求める声もあり、調理の手間や負担を軽くしたいという本音もうかがえます。
“パワーライス”でエネルギーアップ
今回の調査では、要介護者100人に身長と体重を測ってもらい、BMIを計算し、実際の栄養状態もチェックしました。その結果、48%の要介護者がBMI20以下と、低栄養傾向にあることがわかりました。2016年2月に行った調査でも40%が低栄養傾向にあり、栄養状態の改善は在宅介護の重要課題といえそうです。
改善のヒントについて、熊本リハビリテーション病院管理栄養士の嶋津さゆりさんは、同病院で10年ほど前から作っている“パワーライス”を提案。パワーライスとは、ごはんと全がゆの中間程度の柔らかさのごはんにMCT(中鎖脂肪酸油)やプロテインを加えたもので、料理の味や量を変えずに簡単に作ることができます。1人前で300kcal前後のエネルギーが摂取でき、要介護者が好んで食べてくれるものと組み合わせて取り入れることを勧めています。
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嶋津さんは「食事が食べられないことは低栄養につながります。要介護者のQOL向上のためにも低栄養を意識した食事の提供を心がけていきたいです」とコメント。完璧な食事作りを目指さなくても、ちょっとした工夫や市販の介護食なども利用することで、栄養面の心配や、介護をする人の負担も少なくなるのではないでしょうか。
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