年によって異なるが、オランダでは秋を過ぎ寒い季節に突入すると急増加するうつ病。毎年、1月の第3週月曜日は「1年で最も気分がすぐれない日」とか、「ブルーすぎる月曜日」と国民が呼んでいるほどで、この日を境にしてうつ病患者数が急に増えるといわれる。
確かにそのとおりかもしれない。冬の太陽光が、なにしろ弱々しいのだ。その上、冬期はほぼ毎日、曇天である。朝は9時ごろまで真っ暗の上、午後になるとさっさといつの間にか傾いてしまう太陽。日照時間どころか、一日中ほぼ暗い、といえるのだから、気がふさぐのも当然かもしれない。
暗い日々、人びとの心はさらに暗くなり、仕事をするにもモチベーション・レベルが下降線をたどったまま…この悪循環を断つべく考案されたのが、太陽光を発するランプ、「Vitaallicht(ヴィタールリヒト)」である。これさえあれば365日間、太陽光を浴びるに等しい効果が得られるというのがウリだ。発案して開発し、世に送り出したのはオランダ東南部・アイントホーヴェン市のハイテク・センターMµに所属するマーテン・フォールハウス氏である。
太陽光と同じ輝きを提供
このランプは、ごく普通のランプとはひと味もふた味も違う光を提供する。一般に販売されているランプの光は明るいだけで波長も単調だ。その上、一定のスポットを照らし出すのみである。しかしこの「Vitaallicht」は、自然な太陽光と同じように、強弱のある波長を持った光を発するため、実際に太陽光を浴びている効果が得られるという。また、光の度合いを調節する必要がなく、自動的に光を調節してくれるのも便利である。早朝から日中にかけては、比較的強い光を発するようプログラミングされているため、人びとの気分を高揚させる効果が得られ、逆に夕方から夜にかけて発せられる、トーンを落とした光が人間の身体にとって至極の休息をもたらすよう考慮されているという。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=nDzBSweQMKU]
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ランプは、部屋やオフィスなどのどんな場所に設置してもOKだというが、ランプの光を頭から浴びたり、顔に当てたりする必要はないのだろうか?しかし、その必要はないそうだ。というのは、それがこのランプの強みであり特別たるゆえんなのだ。ランプ内に組み込まれたデバイスが、部屋やオフィス内の明るさを敏感に感じ取って、自動で理想の光の量を設定して発するためだ。つまり、このランプさえおいてあれば、部屋やオフィス内すべてが自然な太陽光にさらされる効果が得られるわけだ。
source:bhc-ems.nl
ランプ界のフェラーリ
このランプは、「ランプ界のフェラーリ」なる異名を持つ。その理由は値段が高価だからである(2017年1月現在の価格:ランプ一体で、€3628(約40万円)。これを高いと考えるか、妥当な価格と思うかは購入して体験してみなければわからないが、精神を病んだお年寄りが入居する老人ホームにこのランプを導入したところ、老人たちの健康面に変化が見られたという報告もあり、その価値に足る効果があることは間違いなさそうだ。
【参考】
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※ hightechcampus
※ vitaallicht