メタボと胆石の“意外な”関係が明らかに

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2017年02月08日 12:02  QLife(キューライフ)

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食生活の欧米化で、胆石症患者は増加


画像はリリースより

 食生活の欧米化に伴って、増加傾向にある「胆石症」。肝臓から送り出される「胆汁」の成分が、胆のうや胆管で固まってしまう症状を指します。最も多いのが胆のうの中にできる「胆のう結石」で、ほとんどがコレステロール結石です。無症状で経過するケースが多く、健康診断で偶然見つかったという方もいるのではないでしょうか。

 胆石ができる原因ははっきりわかっていませんが、食生活の乱れやストレスといった生活習慣が影響していると考えられています。欧米では成人の10〜20%、日本を含む東アジアでは5〜10%と有病率が高く、中高年に多くみられます。男性よりも女性の方が発症しやすく、40〜50歳代の肥満女性に多いともいわれています。

 肥満との関係では、脂肪肝に伴って胆石症が発症しやすいなど、メタボリックシンドロームとの関連が報告されていますが、理由は明らかになっていませんでした。このほど、東北大学大学院医学系研究科の山田哲也准教授を中心とする研究グループが、メタボで胆石が増える仕組みを、遺伝子改変マウスによって解明したと発表しました。

原因は肝臓の“酸素不足”

 研究グループは、肝臓に脂肪が貯まる「脂肪肝」の状態では肝臓内の血流が低下し、肝細胞が酸素不足になることに着目。酸素が不足すると、低酸素誘導因子「HIF-1α」が活性化し、胆汁へ水分を供給するタンパク質が減少します。その結果、胆汁が濃縮されて脂質濃度が高くなり、胆石が増えるという仕組みを明らかにしました。

 実験では、HIF-1αを肝臓で欠失させたマウスで、胆石の形成が著明に抑制されることを証明したほか、メタボによって脂肪肝となった患者の肝臓生検サンプルを使った検討でも、胆石症の患者は肝臓のHIF-1αが増加していることが判明。マウス実験の結果がヒトでも裏付けられ、ヒトの胆石症の原因として、脂肪肝に伴う肝臓の酸素不足が重要であることがわかりました。

 胆石症は経過観察で済む場合もありますが、「胆のうがん」の発生リスクを高める要因ともなり、「たかが胆石…」と甘くみてはいけない症状です。研究グループでは「肝臓の低酸素に介入することが、脂肪肝に伴う胆石の治療、ひいては胆のうがん発症の予防につながる可能性が考えられます」としています。(菊地 香織)

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