大幅アップグレードで「あの電動キックボードが時速60km」を突破

0

2017年02月15日 10:12  FUTURUS

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

以前、筆者は『FUTURUS』で『Eon Scooter』という製品について書いた(これで渋滞問題解決か 新型モビリティーの驚異的なスペック – http://nge.jp/2016/10/27/post-135704)。これは時速25マイル、すなわち時速約40キロで爆走するという代物だ。

電動キックボードでそれだけのスピードが出せるということにも驚きだが、その前にEon Scooterの安全性をつい疑ってしまう。PR動画では歩行者の隙間をスイスイと進んでいるが、実際にそんな首尾よく行くのだろうか。

ところが、そんな心配をよそに開発者がとんでもない発表をした。

最高時速を大幅にアップさせるという。

時速40マイル!?

クラウドファンディングに出店されたものが乗り物だった場合、キャンペーンの途中で車体改造を宣言するということはよくある。

それは大抵の場合、調達金額が目標金額を大幅に上回った時に行われる。Eon Scooterでは追加の出資をすることで、予約済みの車体に改造を施してくれるという。その改造というのが、3,000Wのデュアルモーターを搭載し最高時速40マイルを達成させるものだという。

40マイルとは、メートル法では約64km。性能のインフレと表現すべき数字である。

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=ccX3rVrs8lw]

一般的な自転車の速度は、せいぜい時速15km程度と言われている。セグウェイは20kmだから、もっとも実用的な数字はそのあたりだろう。

筆者は一番最初にこの製品を紹介した記事で「Eon Scooterは、現代人の身の丈に合った発明」と書いた。それは「満充電状態で25マイルの移動ができる」という点を鑑みての表記だが、さすがに今は訂正せざるを得ないかもしれない。

時速60km超になると、運転者も相当な覚悟が必要だ。キックボードと同じ乗り方で本当に転倒しないのかという不安もあるし、そもそも60kmで走らなければならない状況が発生するのかとも思ってしまう。セグウェイから始まったパーソナルモビリティー開発は「自転車以上自動車未満」を目標にしていたはずだが、日々向上するモーターとバッテリーの性能をどこかで昇華させなければならないのだろう。

こんなに速度が必要か?

パーソナルモビリティーを開発している企業は、日本にも存在する。

会社は違えど研究者が異口同音に言うのは、「道路交通法との兼ね合い」である。セグウェイもそうだが、パーソナルモビリティーを公道で走らせるには警察の許可と車両登録、そして免許が必要だ。

つまり、実質的には公道は走行不可能である。幸い、日本人は世界有数のゴルフ好きだからゴルフ場での需要はあるが、本来の「日常生活に用いる」という目的はまだ発揮できないのが現状だ。

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=vAJUvfThw3o]

もちろん、近い将来警察も国交省もパーソナルモビリティーの存在を定義しなければならない時が必ずやって来る。では、その際の速度制限をどうするのか? 何km未満に最高速度を抑えることができたら、無免許ノーヘルで乗ることができるのか?

先ごろ、東京都は自転車運転に関する条例を改正し、年齢を問わずヘルメットの着用を呼びかけるようになった。小池百合子都知事肝入りの政策だが、これが将来的に認可されるであろうパーソナルモビリティーなら尚更である。すなわち、セグウェイ公道走行の暁にはヘルメット着用が義務化される可能性が高いということだ。

パーソナルモビリティーの在り方

今回、海外発の製品を切り口にパーソナルモビリティーについての一考察を立ててみた。

筆者は、ここで紹介したEon Scooterの購入を勧めるために筆を取ったわけではないということを明記しておきたい。だが「Eon Scooterが日本の道路を走るようになったら」というIFを、読者諸兄に考えていただきたいとは思っている。

何を受け入れ、何を規制するのか。どのようなメリットとデメリットが存在するのか。

我々日本人の選択が、我が国のパーソナルモビリティー産業の在り方を左右するのだ。

【参考・動画】

※ Eon Scooter – The Most Affordable Electric Scooter – Indiegogo

※ Eon Scooter | San Francisco Demo Day – YouTube

動画・画像が表示されない場合はこちら

    ランキングトレンド

    ニュース設定