オルト・ライト(オルタナ右翼)の寵児、「小児性愛OK」発言で転落

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2017年02月22日 18:03  ニューズウィーク日本版

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オルタナ右翼の寵児だったマイロ・ヤノプルスは、唇を噛んだ。早くからドナルド・トランプを支持して名前を売り、過激な言動が売り物の彼も、児童の性的虐待を許容するかのような発言が明らかになると、誰にも守ってもらえなかった。


ヤノプルスが出版大手サイモン&シュスターと結んでいた回顧録『Dangerous(デンジャラス)』の出版契約もパアになった。サイモン&シュスターは既にヤノプルスに契約金25万ドルを支払ったが、20日夜の声明で出版契約を取り消したと発表した。


ヤノプルスも自らのフェイスブック・ページで「出版がキャンセルされた」と述べ、この事実を認めた。


ニュースサイト「ブレイトバート」を辞めると発表した記者会見(21日、ヤノプルス)


この出版契約が最初に発表されたときは、激しい反発が巻き起こった。それでも、サイモン&シュスターは一貫してヤノプルスを擁護してきた。批判の的になったのは、ヤノプルスが以前から、人種差別や性差別にもとづくコメントや、トランスジェンダーやイスラム教徒に対する憎悪をあらわにした発言を繰り返してきたことだ。ヤノプルスとの契約に抗議し、サイモン&シュスターの出版物の書評を拒否したり、次回作を出版するのをやめる作家もいた。


【参考記事】オルタナ右翼のアイドル、マイロ・ヤノプルスが出版界に投げかけた波紋


【参考記事】alt-right(オルタナ右翼)とはようするに何なのか


だが20日に児童の性的虐待についてのヤノプルスの発言が広く報じられたことは、とどめの一撃になったようだ。


同意を求めるのは抑圧的?


今回問題になったオンラインインタビューのなかで、ヤノプルスは児童の性的虐待を軽視したような発言をしている。「世間は児童虐待の問題にこだわりすぎだ。大人としての『同意』の上での関係までうるさく取り締まる」


ヤノプルスは「同意」を「恣意的で抑圧的な考え方」と呼んだ。


また、自分が若いころにカトリックの聖職者と関係を持ったことに触れ、その関係を「少年と年上の男性」の間の「成人の儀式」だったと説明した。


ヤノプルスが失ったのは出版契約だけではない。政治団体のアメリカ保守連合(ACU)は、毎年恒例の総会向けにヤノプルスに依頼していた講演をキャンセルした。今はトランプ大統領の首席戦略官になったスティーブン・バノンから引き継いだ保守系ニュースサイト「ブレイトバート・ニュース」の職も失った。


【参考記事】トランプの首席戦略官バノンは右翼の女性差別主義者


ヤノプルスは、20日にフェイスブックに投稿した長い文章のなかで、「年少者を性的に虐待する大人に対する断固とした嫌悪感を、改めて表明したい」と述べた。


だが、言い訳も忘れない。「小児性愛にはゾッとするし、私はジャーナリストとしてのキャリアの多くを、児童虐待犯の正体を暴くことに費やしてきた。実際、3人の児童虐待犯を暴いた。私を批判する者の大半は、1人だって暴いていないだろう。私が書いたものでも、小児性愛は嫌悪すべきものだと何度も書いた。これまでの私の仕事を見れば一目瞭然だ」と、ヤノプルスは書く。


【参考記事】オルト・ライト(オルタナ右翼)とは何者か


「13歳とセックスしてもいいとは思っていない。13という数字を出したのは、自分が童貞を失った歳だったからだ」


「『少年』(boy)という言葉を使うべきではなかった。ゲイの男性は、『性交同意年齢』に達した若い男性を表現するのに、よくこの少年という言葉を使う。そうではなく、『若い男性』と言うべきだった。その点はまちがっていた」




ジョシュ・ロウ


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  • トランプ支持者の傾向はレベラル叩きに忙しいすぎて、周りが見えてない点。マイロ・ヤノプルスを支持してる在米日本人とか、頭おかしいんだろうかと思った。消えて何より。
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