春から新社会人のはずが、まさかの「留年決定」…「内定取り消し」もやむなし?

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2017年02月26日 10:23  弁護士ドットコム

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内定が決まっているのにまさかの留年ーー。大学卒業を控えた毎年3月、思いがけず単位を落とした学生から、このような悲鳴が聞こえてきます。


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ネットの掲示板には、語学の試験で合格点に届かず、単位を落とした学生の体験談が投稿されていました。教授の方針で、再試験や課題提出などの救済措置はなく、留年が確定。「(内定先に留年だと分かれば)間違いなく就職できません」と嘆いています。


また、留年をめぐっては、会社の配慮で、入社を先延ばししてもらったケースや、一度は内定取り消しになったものの、翌年にもう一度採用試験を受けて内定をもらったという体験談も寄せられています。


もし単位不足で留年して、内定取り消しになった場合、諦めるしかないのでしょうか。企業法務に詳しい高島秀行弁護士に聞きました。


●留年決定は内定取り消しの理由になる?

内定とは、法律上「解約権留保付労働契約」の成立とされています。聞きなれない言葉だと思いますが、「解約権留保付」というのは、一定の事由が生じたときに、雇用者が契約を解約できるということを意味します。


したがって、合理的な理由がなければ内定を取り消すことはできませんが、逆に、企業への提出書類に内容の虚偽が発覚した場合など、合理的な理由があれば内定を取り消すこと(留保された解約権の行使)が可能です。


では、事例のように、単位が足りずに留年が決定したことは、内定取り消しの合理的な理由になるのでしょうか。


いわゆる「新卒採用」への応募資格は「○年3月卒業見込」となっていることがほとんどですから、企業としても、「○年3月に大学を卒業すること」を前提に採用活動を行なっています。企業が想定した時期に大学を卒業できないことは、当然、内定取り消しの合理的な理由となります。


企業によっては、内定を取り消さずに入社を先延ばしにしたり、一旦内定を取り消しにして翌年に改めて採用したりするところもあるようですが、あくまでも個々の企業の考え方次第であり、判断は任せるしかないでしょう。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
高島 秀行(たかしま・ひでゆき)弁護士
「訴えられたらどうする」「企業のための民暴撃退マニュアル」「相続遺産分割する前に読む本」(以上、税務経理協会)等の著作があり、「ビジネス弁護士2011」(日経BP社)にも掲載された。ブログ「資産を守り残す法律」を連載中。
事務所名:高島総合法律事務所
事務所URL:http://www.takashimalaw.com


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