ブロッコリースプラウトの“すごい”パワーとは?

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2017年03月07日 12:02  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

がん予防の効果もあり

 サラダなどに使われる「ブロッコリースプラウト」。「なんとなく体によさそう」と、つい買ってしまう方は多いのではないでしょうか。それもそのはず、この中に含まれている「スルフォラファン」という成分には、体内に取り込まれた化学物質の解毒や抗酸化力を高めて、がんを予防する効果があるといわれています。

 これは、スルフォラファンが「Nrf2」という細胞内の酸化・還元のバランスを調節する分子を活性化し、解毒や抗酸化力を高めるためです。一方、食べ過ぎや肥満により酸化・還元のバランスが崩れると、さまざまな病気の発症に関わることが近年の研究から解明されてきましたが、肥満に対するスルフォラファンの効果は明らかになっていませんでした。

 今回、金沢大学医薬保健研究域附属脳・肝インターフェースメディシン研究センターの太田嗣人准教授と同域医学系の長田直人助教の研究グループが、カゴメ株式会社と共同で実験を行い、スルフォラファンに肥満を抑える新たな作用があることを明らかにしました。

マウスの体重増加を抑制

 実験では、スルフォラファンを混ぜた高脂肪のえさを与えたマウスと、混ぜていない高脂肪のえさを与えたマウスの体重を比較。その結果、スルフォラファンを混ぜたえさを食べたマウスは体重増加率が約15%抑えられ、内臓脂肪率も約20%減少し、脂肪肝と血糖値の上昇も抑えられていました。

 研究を進めたところ、スルフォラファンがエネルギー消費の増加と脂肪の燃焼をもたらす「脂肪細胞の褐色化」という現象を促進することが判明。さらに、Nrf2を欠損したマウスにスルフォラファンを混ぜたえさを与えても、体重は減らず、褐色脂肪化による脂肪燃焼効果が認められなかったことから、スルフォラファンによる肥満抑制の標的分子としてNrf2が重要であることが裏付けられました。

 また、腸管から吸収されて生体内で炎症を引き起こす内毒素(エンドトキシン)を過剰に産生する腸内細菌の増殖を抑制し、代謝性エンドトキシン血症を改善するという新たな作用も発見されました。これら2つの作用には、肝臓や脂肪組織の炎症、インスリン抵抗性を改善させ、生活習慣病の予防へとつながる波及効果も期待されています。研究グループでは今後、臨床試験によりヒトでの効果実証を進めたいとしています。(菊地 香織)

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