差別・中傷による“ストレス”、強く持続

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2017年03月22日 12:02  QLife(キューライフ)

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福島原発所員を追跡調査

 東日本大震災から6年。震災前の穏やかな“日常”をなくした人たちが苦しみを抱えながらも前を向いて暮らす姿が、今年もテレビや紙面で伝えられました。福島第一原子力発電所でも、所員らが廃炉に向けた作業を続けていますが、この6年間で体調を崩す人はもとより、亡くなった人もおり、心身ともに健康状態が危惧されています。

 災害関連体験とPTSR(心的外傷後ストレス反応)との因果関係を探ろうと、順天堂大学大学院医学研究科・公衆衛生学講座の野田愛准教授、谷川武教授らの研究グループでは、所員のPTSRによるメンタルヘルスの不調を3年にわたって調査。PTSRは強いストレスを受けたあとで起こる正常な心理的反応で、一般的には時間の経過とともに軽くなるといわれています。

 研究グループは、福島第一原発、第二原発の所員1,417人のアンケート結果を元に分析。アンケートは震災後まもなく実施したもので、ストレスの原因と思われる経験を(1)惨事ストレス(2)悲嘆体験(3)被災者体験(4)差別・中傷などの社会批判の4つに分類し、経験した所員としなかった所員に分けて、PTSRの有無を評価しました。

悲しみの感情は変わらず

 その結果、惨事ストレス、被災者体験、差別中傷を経験した所員のPTSRリスクは時間とともに少しずつ低下する傾向が判明。しかし、経験していない所員と比べると、3年を経過してもなお、PTSRリスクが高いまま持続することが認められました。とくに、差別中傷に関しては、2011年時点で約6倍、2014年時点でも約3倍と、いずれも最も高いリスクがあることが明らかになりました。

 また、同僚を失った悲嘆体験をした所員は、体験をしていない所員に比べて、2011年時点で約2倍のPTSRリスクがありましたが、2014年時点でも回復することなく、同等のリスクがあることが認められました。周りの人を亡くしたという悲しみの感情は時間の経過に関係なく、いつまでも引きずってしまうことがわかります。

 これまでも、メンタルヘルスの不調を訴える所員に対しては、精神科医や臨床心理士が継続的に治療やカウンセリングを行ってきました。しかし、本研究によって、所員たちのPTSRは長期にわたって持続していることが明らかになり、今までの支援では不足していると考えられます。研究グループでは「組織的な介入策など広範囲にわたる長期的な支援が必要」としています。(菊地 香織)

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