出産前後に起こる、夫婦関係が壊れる危機――いわゆる「産後クライシス」によって、それまで仲がよかった夫婦がギクシャクするケースは芸能界でも珍しいことではありません。産後クライシスの代表的な問題例として、「妊娠・出産を機に、パートナーへの愛情が冷めた」「妊娠・出産を経験しても、夫が家事や育児に非協力的」などが挙げられますが、なかでもとくに多くの夫婦間で問題になるのが「妻の妊娠・出産前後に夫が別の女性との浮気に走る」というケースです。
たとえば、先日、タレントの安田美沙子(34)の夫でファッションデザイナーの男性に、浮気疑惑を報じた一件がありました。安田さんは、2014年に結婚し、現在は妊娠中とのこと。妻以外の女性との浮気をスクープされたことに対し、夫は自身のブランドのHPで「妻以外の女性と不倫をした事実を認めます」と浮気を認めたうえで、「事実を妻に打ち明け、心から謝罪を致しました。僕にとって、とても大切な存在である妻の大事な時期にしてしまった行動をとても反省しております」と謝罪しています。
妻の安田さんは、夫婦で話し合いをしたとし、「これから産まれてくる子供のためにも、家族としてさらに深く向き合っていこうという事になりました」と発表。夫婦の危機を乗り越え、再出発する決意を固めたようです。
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それまで安田さんは数々のテレビ番組で夫のことをほめ、夫婦関係が円満なことをアピールしていただけに、夫が浮気をした事実についてはさぞかしショックを受けたことと思います。しかも、よりによって妻が妊娠中とあらば、その怒りや残念な気持ちははかりしれません。男性にとってはピンとこないかもしれませんが、妊娠中の女性が受けるダメージの大きさは相当のものがあるものなのです。
そもそも、妊娠時の“つわり”の苦しさや出産時の痛みといった女性ならではの苦痛は大きい存在です。たとえ、どんなに家事や育児に協力的な男性であっても、女性の健康面や精神面で加わる負担について100%理解することは不可能でしょう。見た目にハッキリ症状があらわれるような病気とは異なり、妊娠中や出産中の女性の外見はそれほど不健康そうには見えないということもあります。したがって、「オレだって仕事で疲れているのに」「怠けているだけなのでは?」などと、夫は理解するどころかかえって妻に不満を抱くパターンもあるのです。
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そこで、妊娠中や出産前後の苦しい時に、夫を浮気に走らせないための対策のひとつとして、夫に妊娠や出産がいかにハードな体験であるかを具体的に理解してもらうよう、妻側が夫にしっかり伝えることも有効です。「こんなにつらいのに、なぜわかってくれないの?」と言い募っているだけでは、夫は「どうつらいのか」が理解できません。妻はその曖昧な部分をリアルに伝えることを工夫するようにします。私のところに来る相談者のなかには、釣りが趣味の夫に「四六時中、激しい船酔いがおさまらない気分」とつわりの状態を伝えた女性がいます。「船酔いは船を下りれば治るけれど、つわりはしばらく終わらないから、相当な辛さなのだろうな」と夫に想像してもらえたことで、夫は妻をいたわるようになり、産後クライシスを乗り越えたケースもありました。
女性は、妊娠や出産で身体に負担がかかっている時でも、いつものように元気に振る舞っていなければならない場面も少なくありません。ですが、それが「妻は元気だから放っておいても大丈夫だろう」と夫を浮気に走らせる原因になることもあります。産後クライシスを防ぐためにも、妊娠や出産は妻だけではなく、夫と妻の二人のためのイベントとしてとらえる必要があるでしょう。夫婦が同じゴールを目指せばおのずと結束は高まるもの。妊娠や出産は、夫婦の危機を招くものではなく、より深い愛情を抱く機会として迎えられるよう、夫婦二人で向き合って臨むことです。