企画に行き詰まったら「オズボーンのチェックリスト」を

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2017年04月05日 20:43  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<企画を考えなければいけないのに、何も思い浮かばない! そんな時に役立つのが「オズボーンのチェックリスト」。アイデア本のロングセラー『考具』より>


「オズボーンのチェックリスト」とは何か? 考えるための道具(=考具)の1つで、アイデアを生み出すための要素の組み合わせ方を網羅したリストだ。全部で9カ条ある。


といっても、何の役に立つのかわからない人もいれば、自分には関係ないと思う人もいるだろう。しかし、これからの時代、覚えておいて損はない。


右肩上がりの経済成長は消え去り、多くの業界が激しい競争にさらされるなか、ビジネスパーソン1人1人の「考える力」がより一層問われるようになってきた。さらに今後は、人工知能(AI)の発展により、単純作業など、多くの仕事が失われるとも言われている。


そこで問われるのが、人間ならではの発想力であり、――加藤昌治氏の言葉を借りれば――「考具(こうぐ)」を持っているかどうかだ。


ビジネス書の世界には、古い本なのに内容が古びない、定番の本がある。いわゆるアイデア本でいえば、加藤氏が2003年に刊行した『考具』(CCCメディアハウス)が有名だ。現在までに37刷、15万部のロングセラーとなっている。


このたび、『考具』のサブテキストとして基礎編『アイデアはどこからやってくるのか』と応用編『チームで考える「アイデア会議」』(いずれも加藤昌治著、CCCメディアハウス)が刊行されたのを機に、『考具』から一部を抜粋し、5回に分けて転載する。第4回は【考具その13】オズボーンのチェックリスト。


※第1回:「今日は赤」と意識するだけ 「カラーバス」で見える世界が変わる


※第2回:お客さんの気持ちを「考える」ではなく「演じて」みたら?


※第3回:アイデアのプロが愛用する考具「マンダラート」とは何か


◇ ◇ ◇


【考具その13】オズボーンのチェックリスト


行き詰まったらこれ。迷路脱出のための処方箋


 今まで登場した考具たちは、あなたの頭の中にある情報を効率的に、知らないうちに引き出すためのものだったり、組み合わせやすくするために目の前で見える形にしたり、という機能を核としていました。組み合わせ方は、あなた次第。どんな組み合わせも自由です。


 しかし、行き詰まるときもあります。詰まってしまうパターンは主に2つ。組み合わせる要素そのものが出てこないとき。そして組み合わせ方が分からなくなってしまうとき。要素出し、については連想ゲームやマンダラート、マインドマップ......いろいろご紹介しました。アイデアのヒント・要素は作り出すのではなく、探す・見つけるという捉え方の方が正解です。


 そして組み合わせ方。調子のいいときは理屈なくアイデアがポンポン出てくるのですが、途中で止まってしまうと、どうにも前に進まないこともあります。


 頭と気持ちをポンポン状態に戻すのに一番効果的な薬は、アイデアが出ること。アイデアがアイデアを呼びます。オズボーンのチェックリストは、そんなときに使ってください。アイデアを生み出すための要素の組み合わせ方、その基本パターンが網羅されています。このチェックリストを抜き書きしたメモカードを1枚、手帳か財布、PDAに忍ばせておくといざというとき、光り輝いて見えます。


 オズボーンのチェックリストは全部で9カ条。


 ◆転用したら? 現在のままでの新しい使い道は?


 ◆応用したら? 似たものはないか? 真似はできないか?


 ◆変更したら? 意味、色、動きや臭い、形を変えたらどうなる?


 ◆拡大したら? 大きくする、長くする、頻度を増やす、時間を延ばすとどうなる?


 ◆縮小したら? 小さくする、短くする、軽くする、圧縮する、短時間にするとどうなる?


 ◆代用したら? 代わりになる人や物は? 材料、場所などを代えられないか?


 ◆置換したら? 入れ替えたら、順番を変えたらどうなる?


 ◆逆転したら? 逆さまにしたら? 上下左右・役割を反対にしたら?


 ◆結合したら? 合体、混ぜる、合わせたらどうなる?


 アイデアを生み出すための要素の組み合わせ方に関して、基本パターンを問いかける形でまとめています。問いかけの形になっているところがいいですね。おしゃべり感覚で試してみましょう。それぞれの問いかけへの答えをビジュアルで想像してみてください。手元に紙とペンがあれば、ぜひ落書きしてください。確かに新しい何かがそこに生まれましたね? それ、メモっておいてください。


 転用したら......?


 拡大すると......?


 素材を変えてみると......?


 気がついたら興が乗ってきますよ。教科書的に全部の項目に答える必要はこれまで同様もちろんありません。ダメそうだったらパスして次の問いに行ってください。どれから始めるか、も自由自在。順番はありません。


 あるいは今まで気がつかなかった方向性を求めて、あえてすべての問いに答えてみるのも面白いですね。自分の頭に隠れていた新しいアイデアを発見してください。


 繰り返すうちに、組み合わせるパターンをいつの間にか覚えます。ある情報やアイデアのヒントを、ああでもないこうでもないとやりくりして考えられるようになります。一つの事象をいろんな角度から見ることができるようになります。


 同じ情報源からアイデアが生まれる可能性を何倍にでもできるわけですから、これは強力な武器。正確に暗記して上から順番に厳格にやるかどうかは、個人のお好み。わたし自身は困ったときの辞書代わりに使っています。


 すでにお分かりのように、アイデアの作り方、その手法はいたってシンプルなんです。今も昔も変わらない。違うのはその方程式に入れるデータ。データは時代や環境に応じていつも新しく変わっていきます。だからこそアイデアが尽きる、ということはありえません。いま世の中にあるものが絶対的な正解でないことも明らかです。


【参考記事】「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ」とヤングは言った


 現実の仕事は、あなたのアイデアをいつも待っています。ニュートンとかエジソンのような、社会をまるっきり変えてしまうようなアイデアには程遠くてもいいじゃないですか。


 まずは身近な生活や日常的な業務を変えるアイデアを。そしていつしか、会社全体や世の中に影響を与えるアイデアを生み出せばいいんです!


※第5回:「思いついたアイデアはメモすべし」には理由がある


『考具』


 加藤昌治 著


 CCCメディアハウス


『アイデアはどこからやってくるのか 考具 基礎編』


 加藤昌治 著


 CCCメディアハウス


『チームで考える「アイデア会議」 考具 応用編』


 加藤昌治 著


 CCCメディアハウス




ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


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