AI技術で“音”から眠りの特徴を分析

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2017年04月07日 18:02  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

睡眠パターンをビジュアル化


画像はリリースより

 スマートフォンなどの端末に録音された「いびき」や「歯ぎしり」といった睡眠関連音から、個人の睡眠パターンを機械学習でビジュアル化・評価するAI(人工知能)技術を、大阪大学産業科学研究所の福井健一准教授らの研究グループが開発しました。

 従来、睡眠のパターンは専門的な施設や病院でなければ計測できず、不眠症治療の観点から、自宅でも簡単に計測できるシステムの開発が待たれていました。また、周囲の雑音などを含む睡眠環境音は役立つ情報が多いものの、ノイズ処理や睡眠関連音の識別が困難という課題がありました。

 研究グループでは、複数の機械学習の手法を組み合わせて、睡眠環境音から睡眠関連音のみを高精度に抽出。それらの音をいびき・歯ぎしり・体動・環境音といった特徴に応じて2次元平面に自動マッピングするユニークな手法を開発しました。

睡眠障害の早期発見や健康増進にも役立つアプリの開発に期待

 研究グループは、睡眠関連音と睡眠段階の関連性を調べるため、「睡眠ポリソムノグラフィ検査」を実施。この検査は、睡眠時における脳波や眼球運動(レム睡眠とノンレム睡眠)などを記録するもので、その結果、ある被験者はいびき音と深睡眠の関連が強く、別の被験者は浅い睡眠のときに多くの歯ぎしり音が確認されました。このような関連性は、他10人の被験者でも確認でき、睡眠関連音と睡眠段階に高い関連性があることが明らかになりました。

 研究グループでは、今回の成果を応用した睡眠支援システムの実現を目指しており、家庭で手軽に睡眠を自己管理できるスマートフォンやタブレットのアプリの開発につながれば、睡眠障害の早期発見や健康増進にも役立ちます。また、いびき、歯ぎしり、体動などに表れた個人の睡眠パターンに応じて寝室の照明やエアコンなどの睡眠環境をコントロールすることで、質の高い睡眠へ導く技術の開発にも期待が高まります。

 同大では、科学技術振興機構の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーションプログラム」による支援のもと、脳マネジメントにより潜在力を発揮するスーパー日本人の実現を目指し、医脳理工・産学連携のプロジェクトを進行中。今回の研究もその一環で、AI技術のさらなる発展によって、羊の数を数えなくても眠れるようになる時代が来る日も近いかもしれません。(菊地 香織)

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