ヤマト、Amazonの当日配送サービス解約 消費者への影響は?

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2017年04月21日 10:00  citrus

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このところニュースになっている宅配業界の疲弊問題の中で、業界最大手のヤマト運輸がAmazonの当日配送サービスから撤退するという報道があり、大きな衝撃が広がっています。夜間配達指定の多いAmazonの当日配送の引き受けを徐々に減らし、配達員の負担を軽減していくということですが、ここまでひずみが大きくなってしまってからようやく正しい経営判断に向けて動き出したという印象を受けています。今後、ネット通販事業者との値上げ交渉も行われていくなかで、私たちのネット通販の宅配はどうなっていくのでしょうか。


■ネット通販の送料や商品価格の値上げ

まず影響を受けるのがネット通販の送料です。通常の送料が値上げされるだけでなく、当日配送や夜間時間指定、再配達には追加料金がかかるようになる可能性もあります。株式会社ジャストシステムが実施した「ECサイトの配送に関する意識調査」によると、ネット通販で購入した商品に「配送費用がかかるのは当然」だと思う利用者はわずか18.9%、「配送費用がかかるのは理解できる」と回答した人でも、送料はショップが全額負担すべき、もしくは購入者とショップで折半すべきだと考えている人が6割以上いることが分かりました。
    
このような中で、これまで送料無料だったところを有料にしたり、値上げしたりするにはショップ側にとっても難しい判断となるでしょう。今のままの送料設定を維持するには、必然的に商品価格に送料分を上乗せすることになりますので、商品価格の値上げが起こります。値上げというと抵抗のある方が多いかもしれませんが、今までが安すぎたのであって、今回の値上げは適正な価格に戻すための値上げだと考えるべきです。適正な送料負担によって業界の健全化が図られるため、歓迎すべき動きだと考えていますし、利用者のネット通販の配達にかかる送料に対する意識は少しずつ変えていく必要があります。


■ネット通販の宅配の受け取り方が変わる

すでにコンビニや通販専用の宅配ロッカーなど、自宅以外の場所で宅配便を受け取れる方法が増えてきていますが、今後さらに宅配ロッカーなどの設置が進むなかで、より配送業者の負担が少ない受け取り方法では送料が低く設定されたり、ポイントが付与されたりといったサービスが出てくると考えられます。すでに、楽天市場は一度の配達で受け取れたらポイントを付与するというキャンペーンを期間限定で実施しました。送料の値上げを受けて、自宅以外の受け取りで配送料が安くなったりポイントが付与されたりするようになれば、それに合わせて利用者の宅配便の受け取り方も変わってくると考えられます。

また、一昔前は不在時に隣の家の人が宅配便を受け取ってくれていたという記憶がある方も多いと思います。時代の変化とともに近所付き合いが少なくなり、いつの間にか見かけなくなってしまいましたが、玄関先など指定した場所へ荷物を置いておくといった配達方法が選べるショップも増えてきていますし、事前に承諾を得た上で不在時にはお隣さん同士で宅配便を受け取るという文化が復活してもいいかもしれません。
    

■自社配送の増加と新たなビジネスの出現

Amazonではすでに有料会員向けのサービス「プライムナウ」の配送で自社独自の物流網を構築していますが、今回のヤマト運輸の当日配送撤退でさらに自社配送の比率を増やしていく必要性が出てくると考えられます。ヨドバシドットコムやネットスーパー、食材宅配サービスなどでは自社配送を行っている企業が多く、即日配送など速さを求めるサービスでは、今後は配送業者に頼らず自社配送を強化していく必要が出てくるのではないでしょうか。

とはいえ、よほど大手企業でない限り、自社で配送員を抱えて配達を行うのはハードルが高いでしょうから、すでに全国に配達網を持っている新聞社のような企業と提携して、新聞の販売店に自社商品の配達を委託するということを考える企業が出てくるかもしれません。さらには、シェアリングエコノミーの考え方で、空いている人が空いている時間に配送することで配達員不足を補うようなサービスが生まれるかもしれません。

今後、最も期待したいのがこういった新たなビジネスの出現です。起業家なら、宅配業界に大きなひずみが起きている今こそ、大きなビジネスチャンスがあると考えるのではないでしょうか。例えば、夜間配達専門の配送業者や、代理で宅配便を受け取ってくれるサービスなども出てくるかもしれません。こういった新しいビジネスの出現によって、宅配業界のピンチをチャンスに変えてくれて、さらに私たちの生活が便利になることを期待しています。
 

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