“飛ばない”ドローンが大活躍! 農業IoT化の新活用法【国際ドローン展】

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2017年04月25日 20:12  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

産業用ドローンの活用法として、期待されている分野のひとつが農業。一般的には農薬散布用としての活用が考えられているが、半導体メーカーのロームでは、なんと「飛行型」と「車両型」の2つのドローンを使って、土壌環境の検査などに活用するソリューションを発表。

4月19日〜4月21日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催された「第3回 国際ドローン展2017」で、そのデモが行われた。

車両型で運搬や充電

当日、会場に持ち込まれたのは4つの車両が着いた箱形のドローンと、その上に搭載された飛行型の2タイプのドローン。

機体などはエンルートラボ社が製作し、ジャイロセンサや地磁気センサなど機体の制御デバイスはローム社製を採用。今回のソリューションは、2社のコラボにより実現したものだ。

さて、注目の車両型ドローンだが、これは何をするものなのか? まず、作業現場まで飛行型ドローンを搭載し運搬するのがひとつの役割だ。

現状ドローンの飛行時間はせいぜい20分程度。遠距離まで飛ばせられないのが課題だ。そこで、車両型が現場まで飛行型を運び、現場での使用時間や距離をアップさせるのが目的だ。

また、飛行型の充電ステーションも兼ねていて、飛行して電力がなくなった飛行型を充電する機能も持っている。

作業が終わったら、また飛行型を乗せて基地局へ帰還。ちなみに、車両型自体も電気で動くため、バッテリーに充電する必要がある。そこで、基地局に充電スポットを設置し、非接触充電で車両型のバッテリーに充電。再び、飛行型の電源として使えるのだ。

土壌環境センサのデータ収集に活用

では、これら2つのドローンを、前述の農業でどう活用するのか?

これには、ローム社が開発した土壌環境センサというIoTデバイスのデータ収集に使用するソリューションが今回発表されている。

土壌センサとは、pH値(酸性度)、水分量、温度といた、土壌環境の計測に必要な3要素を測定できるデバイス。

デバイスが測定した数値は、Wi-SUN(ワイサン)無線モジュールという機器を使って送信が可能だ。これは、2016年に総務省が産業用ドローン用に新しく使用を許可した周波数169MHzを使えるもの。長距離にあり、途中に山などの障害物が多い基地局にも、データ送信が可能なのがメリットだ。

そしてデモ。今回は、みかん農園での運用を想定して実施された。車両用型で運ばれた飛行型ドローンは、農園の上空を飛行。

2つのドローンには、土壌環境センサに搭載したものと同じ無線デバイスを搭載し、飛行型はセンサが収集した各みかん樹木の土壌環境データを全て収集。それらデータを車両型へ転送する。そして、車両型から基地局にデータを転送することで、みかん農園にあるすべての樹木の土壌環境データを収集することができる、というものだ。

車両型ドローンは、飛行型の飛行距離や機能を最大限活かす、いわばサポート役的役割を果たすほかに、独自の役割も持つ。

たとえば、夜間の見まわり。農業では、鳥獣被害も問題になっているが、車両型ドローンが自動運転で鳥獣の進入ルートを巡回し、獣などを発見。追い払うといった使用方法も可能。飛行型だけではできない役割をできるという意味では、かなり“使える”ドローンだといえる。

ちなみに、そもそもドローンは「無人航空機」を意味する用語なので、厳密には「車両型はドローンとは言えないのでは?」と思う方もいるだろう。

確かにそうだが、最近はドローンの定義はかなり広くなっているし、今回の車両型は自動運転が可能で飛行型とセットで使うものなので、便宜上ドローンと呼んでもいいだろう。

ともあれ、農業のIoT促進に繋がるドローンだけに、実用化など今後の動向が気になるところだ。

【参考】

※ ローム ホームページ

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