心不全に係わる新たな「臓器ネットワーク」を発見

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2017年04月26日 12:02  QLife(キューライフ)

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心臓−脳−腎臓のネットワークが関与


画像はリリースより

 心臓の能力が低下することで起こる「心不全」。安定した状態から急激に悪化し、最悪のケースでは突然死を招く「急性心不全」と、状態が安定している「慢性心不全」の2つに分類されますが、症状は多種多様です。国立循環器病研究センターによると、欧米で多く、患者数は1,000人当たり7.2人とされています。日本でも同程度に迫っていると思われ、新たな治療法の開発が望まれています。

 心不全につながる疾患は、狭心症や心筋梗塞、高血圧などさまざまですが、慢性腎臓病もそのひとつ。腎機能の低下は心臓病を増やしたり、悪化させたりします。また、心臓病は腎臓病を悪化させるため、心臓病と腎臓病がいろいろなメカニズムでお互いに関連し合っていると考えられています。

 このメカニズムに関して、千葉大学大学院医学研究院の真鍋一郎教授らによる共同研究グループは、心臓−脳−腎臓をつなぐ新しい臓器のネットワークを見出しました。これは、心臓をストレスから守る重要なメカニズムで、マウスを使った実験の結果、このネットワークがうまく働かないと、心不全を発症することがわかりました。

発症の鍵となるタンパク質を特定

 研究グループは、心臓を守る臓器ネットワークが自律神経と腎臓由来の生理活性因子「コロニー刺激因子」でつながっていることを発見しました。心臓に負担がかかると、自立神経を介して腎臓が活性化されます。すると、腎臓からコロニー刺激因子が放出されて、免疫細胞の一種「マクロファージ」の活性化が始まります。

 このマクロファージは、心臓へのストレスが増加すると、心筋細胞の働きを助けるタンパク質「アンフィレグリン」を分泌し、心臓の機能を維持する重要な役割を果たしていることも解明。実験では、心不全を発症したマウスに、アンフィレグリンを投与することで心不全を改善させることに成功したほか、アンフィレグリンを働かなくしたマウスは心不全になりやすいことがわかりました。

 心不全を悪化させないためには、日常生活では過労や長時間の入浴などを避けたり、節酒や減塩など食生活を見直したりして、心臓に負担がかからない生活を送ることが重要です。今回の発見について、研究チームは「心不全や慢性腎臓病の新たな治療法に結びつくことが期待されており、実用化に向けて開発を進めている」としています。(菊地 香織)

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