オタク文化があるから生き残っている街だった!? “東京オタク”が西のオタク街「日本橋」を調査してみたら……

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2017年05月02日 13:13  おたぽる

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おたぽる

日本橋の「オタロード」。

 東のオタク街と言ったら、東京の「秋葉原」。一方、西のオタク街と言えば、大阪の「日本橋」だ。



 秋葉原と同じく、電気街からオタクの街へと変化していった日本橋。街にはオタク専門店が並ぶ「オタロード」が伸びていたり、また『涼宮ハルヒ』シリーズで知られるイラストレーター・いとうのいぢが手がけた応援キャラクター「音々(ねおん)ちゃん」がいたり……。中でも、2005年から開催されている「日本橋ストリートフェスタ」は年々来場者数を伸ばし、多数のコスプレイヤーが集結。その盛り上がりは、東にも届いている。



日本橋の「オタロード」。
 しかし、東京に住んでいると、あまり日本橋の歴史や文化について耳にすることはかなり少ない。もしかすると、秋葉原にはない独自のオタ文化があったりするのでは?



 今回は、そんなことを考えた東京在住のオタクが、「日本橋ストリートフェスタ」運営委員会・副委員長を務めた、有限会社ジャングルの中田孝太郎さんに、西のオタク街・日本橋について、歴史や現状についていろいろ話をうかがってみた。



■オタク文化は05年ごろから



―― 日本橋も秋葉原と同じく、電気街からオタクの街へと変化していった街ですが、いつごろからオタクの街と言われ始めるようになったのでしょうか?



中田孝太郎さん(以下、中田さん)僕が感じている限りでは、03年から05年ごろですね。明確にオタク・サブカルチャーの街と言われるようになったのは、05年からだと思います。



―― 05年に決定的なことがあったのでしょうか?



中田さん やっぱりメイドカフェブームですね。秋葉原は02〜03年ごろからだと思うんですが、日本橋は05年くらいから流行り始めました。もともと日本橋には、アニメショップなどはあったんですけど、それまでは点在していたんですよね。それが集中し始めたのも05年くらいから。今で言う「オタロード」がそう呼ばれるようになったのも、そのころからでした。



―― 秋葉原と日本橋の違いはどんなところだと感じますか?



中田さん 秋葉原は基本的に観光客が多いなと思いますね。地域住民性ってのが、あんまりいないじゃないですか。日本橋は地域性が濃く残っているので。



―― 日本橋にも海外のオタクの方はいらっしゃるのでしょうか?



中田さん 増えてはいます。弊社はおもちゃ屋なんですけど、年々海外の方の売上が伸びている状況です。お客様は台湾・韓国・中国の方が多いですね。人気なのは『ONE PIECE』。あと韓国の方はガンプラを好まれる方が多い印象です。




■「日本橋ストリートフェスタ」に人が集まった理由



―― やっぱり日本橋といえば、毎年開催されている「日本橋ストリートフェスタ」が有名です。とくにコスプレの盛り上がりはTwitterなどで東京にも届いていました。このイベントが開催されるにあたって、どんなきっかけがあったのでしょうか?



中田さん もともとは商店街を盛り上げるための企画として開催されました。秋葉原みたいな歩行者天国やりたいっていう気持ちが地元の方にあって。ちょうどその時期に梅田や近辺に大型の電気店ができて、そういった大型店に負けないような街づくりをしようと開催したイベントですね。



―― コスプレブースを設けるために道を通行止めにしたりなど、地域の方の理解度がないと開催が難しいイベントのように見えますが、最初は地域の方の反応はどうだったのでしょうか?



中田さん 飲食店は売り上げが上がりますが、昔からご商売されている方もいますし、物販店など、中には営業的に得をしない店もありますのですべてに対して賛成という方ばかりではないです。開催にあたって地元の方に挨拶や説明行きますが、近隣に住んでいる方には、ある程度我慢していただいたり、ご理解いただいている部分もありますね。ただ、浪速区の一大イベントであることで区長が実行委員長となり、地元町会も開催に理解を頂いて会館を利用させていただいたり、市長や町会長もオープニングセレモニーに出席いただいていますので、年を重ねるごとに市民権を得れるようになってきているとは思います。



オタク文化があるから生き残っている街だった!? 東京オタクが西のオタク街「日本橋」を調査してみたら……の画像3
「日本橋ストリートフェスタ」ではコスプレエリアになる堺筋。
―― 今年で13回目ですが、来場者数を見ると年々その数字は増えています。何か工夫されたことはあったのでしょうか?



中田さん いち商店街のイベントで、プレスやスポンサーを取ってくることに関しては専門の方がいるわけではないので、意識したことがないんですよ。とりあえず開催しようとすることでいっぱいいっぱいで。その中で、ただ人が増えていったという。ありがたい話なんですけど、人が増えたことによって弊害もありますし、どうしようかなと毎年頭を悩ませながらやっていますね。



―― やはりコスプレが目玉の「日本橋ストリートフェスタ」ですが、今後やってみたいことはありますか?



中田さん イベントに来た人の消費が、あまりこの街で行われていないことに対して、何か対策を講じていきたいですね。やっぱり地域活性化イベントなので。なかなか企画を打つような広い場所がないのが悩みのタネですが。あとは、安全性ですね。年々人が増えていく中で、事件や事故が起きないようにするということについては、とても気をつけています。



―― 日本橋は地域性が強いとのことですが、日本橋独特のオタ文化はありますか?



中田さん 「日本橋ストリートフェスタ」で言うと、人が集まった理由は自由度が高かった点だと思います。ほかのイベントよりも開放的なのか、ビギナーが多いんです。コスプレ初心者が多いので。「やってもいいかな」感があるんだと思うんですよ。



■大阪で地下アイドルはウケない!?



―― 近くにはNMB48劇場がありますが、日本橋にも地下アイドル文化はあるのでしょうか?



中田さん メディアに出る機会が少ないってのもあると思うんですけど、小規模の地下アイドルはたくさんいるんですが、全国で売れている大阪のアイドルっていうは、あまり聞かないってのが現状ではないですかね。僕が詳しくないっていうのもあると思いますが。



―― たしかに、大阪で有名な地下アイドルってピンと来ないです。大阪でアイドルがウケない理由ってあるんですか?



中田さん もともと大阪がお笑いショー文化というのもあると思います。ローカル枠がほぼ芸人で埋め尽くされているという。また、金銭に関して厳しいってのもあるんじゃないかと。アイドル事務所の方に聞くと、関西のイベントでは物販が売れにくいと聞いたことがあります。



―― やはりそうなるとアニメとかの方が盛り上がっているのかなと。



中田さん 大阪でアニメショップが集中している場所は、ここ以外はかなり小規模になりますからね。神戸や、京都も昔は店舗が集中するエリアあった気がしますが、あまり最近ではイメージがないです。



―― そうなると、西のオタクが一堂にやってくる街になっていると。ちなみに、どんなオタクが多いのでしょうか?



中田さん 増えてきているのは、腐女子層じゃないですかね。女性客は増えてきています。東京も一緒だと思うんですけど、男性より女性のが行動力は高いですよね。アイドルに関しても、今は男性地下アイドルも増えてきているので、今後そういったイベントも盛り上がっていくのかなって見ていて思います。



■オタク文化によって生き残っている街



―― 今回初めて日本橋に来たのですが、駅からのアクセスがちょっと悪いなって感じたり……。



中田さん 交通の便はめちゃくちゃ悪いんですよ。最寄駅は地下鉄しかないし(なんば駅、日本橋駅、恵美須町駅)。JRと阪急は通っていませんし。なのに、生きている商店街は珍しいなと思います。オタク文化やポップカルチャーのおかげで、まだこの街が死なずに成り立っているのかもしれないですね。もう白物家電屋さんは1軒も残っていない状況ですから。



―― 1軒も残っていないんですか!?



中田さん 黒物家電は残っていますが、白物家電を売っているところはないですね。やはり大型家電店や通販サービスが出来てから、流れが変わってしまったので。



―― そうなるとなおさら、オタク文化によって残っている街なのかもしれませんね。



中田さん 人が人を呼んだり、お店がお店を呼んでいるのもあって。最近は飲食店やホテルが乱立していますね。外国人観光客が増えてから、なおさら。



―― 秋葉原と同じく、日本橋もカレー屋さんとかラーメン屋さんがよく目につくなと思ったのですが、秋葉原で言う「おでん缶」のような、日本橋ならではの食べ物はありますか?



中田さん 変わっているので言うと、オタロードにあるエビ焼き屋さん(なにわ海老丸本舗)ですね。タコじゃなくてエビが入っている。あとは大阪ってのもあって、やっぱりたこ焼きは多いですね。



―― オタクの街にあるということで、オタクに寛容な店もあったりするんですか?



中田さん 多いですね。何か企画やる店もありますし。あと日本橋は、昔の名残が色濃く残った場所があって。「日本橋商店会」という古い長屋みたいなところがあって、ここに最近はおしゃれなカフェやギャラリースペースできて、サブカルみたいなエリアになっているんですよ。面白いスポットになっていますね。



―― ほかにオススメのスポットはありますか?



中田さん 手前商売になるんですけど、弊社のジャングルが面白い店を作りまして。メイドカフェ(メルカフェ)の2階にある「Fickle Wish」というお店なんですが、男性入場NG(カップルだとOK)の完全女性向けのハンドメイド雑貨店です。そういう店が流行ってくれたらいいのになって思っています。



―― 写真を見ると、原宿の“KAWAII”を意識したイメージですね。



中田さん そうです。大阪に住むイラストレーターの原田ちあきさんとコラボして、メイドカフェのほうでコラボメニューを出したり、イラスト展示をしたのですが、それには女性客がかなり来てくれました。



―― オタロードを巡ったのですが、秋葉原と違って「ゲーマーズ」「とらのあな」「コトブキヤ」「アニメイト」「らしんばん」といったオタク専門店が一点に集中しているのが、買い物に便利そうでいいなと。



中田さん 狭いエリアに密集しているのは、秋葉原との違うところですよね。観光客の方にとっても巡りやすいと思います。



―― 日本橋が電気屋からオタクの街へと変化していったように、街は変化していくものだと思いますが、日本橋はこれからどんな街になると思いますか?



中田さん 大阪は外国人観光客がすごいスピードで増えているので、日本橋も外国人向けに500店以上の専門店が集まるショッピング街として売り出していきたいと考えてはいます。なので、その認知が広がってくれればうれしいですね。アクセスが悪い部分もありますが、もちろん東のオタクの方にも来てほしいです。外から人が来てなんぼの街なので。



―― 最後に、東のオタクに向けて一言お願いします。



中田さん 街もですが、楽しんでもらえるのは「日本橋ストリートフェスタ」だと思います。「日本橋ストリートフェスタ」は、なかなか関西に来る機会がない人でも来るきっかけのイベントだとは思うので、楽しんで帰っていただければと思います。



* * * * *



 インタビューのあと街を歩いてみたが、すでに完成されつつある秋葉原と比べ、昔ながらの電気屋が多く残る日本橋はオタクの街としてまだまだ成長途中であることを感じさせた。



 ちなみに、前回の「第13回日本橋ストリートフェスタ」では、大阪が舞台のアニメ『ハンドシェイカー』とのコラボが展開されていたが、中田さんに聞いたところ、「大阪が舞台のオタ向け作品はあんまりないですね……。あとは『じゃりン子チエ』しか(笑)」とのこと。大阪が舞台のアニメがもっとあれば、聖地として日本橋も盛り上がりそうなのだが。



 なお、「日本橋総合案内所」に行けば店などの詳細が載ったマップをもらえるので、日本橋に訪れた際は活用してみては。
(編集部)


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  • ポンバシ純情恋歌を作ったら売れるかもしれんな(●´ω`●)
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