なぜ熟年世代で「ジェットコースター離婚」が増えているのか?

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2017年05月10日 12:00  citrus

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タレントで芸能レポーターの菊田あや子さんが、朝の情報番組のインタビューに答え、結婚からわずか半年で離婚したことを告白されました。この番組では、最近の熟年世代にも増えている、結婚1年以内で離婚する「ジェットコースター離婚」について特集されました。

 

菊田さんは出会って3カ月で10歳以上年上の男性とスピード結婚するも、6月にはブログで「3月に離婚した」と報告されていて、結婚期間は半年ほどだったようです。友人の紹介で知り合った男性から、4回目のデートで結婚を申し込まれ「早くてビックリした。でも(プロポーズは)人生初の体験でしたし、断る理由もなかった。舞い上がっていた」と、当時を振り返るも、お相手は「若々しくて趣味も合う、立派な人だと思った」ということです。

 

ところが、結婚して数週間で、夫との価値観のずれに気づき始め、夫から丁寧な言葉遣いをするように求められると、親しく話すことを嫌がる夫との生活に「全然くつろげなくなった」といいます。そして、離婚を決定的なものにしたのは、夫を旅行に誘ったところ「人に見られるじゃないか」と断られ、衝撃を受けたからだそうです。また、夫は家族にも菊田さんを紹介せず、周囲には結婚したことさえ伏せていたそうます。

 

 

■病気、老後を考えると配偶者のメリットは大きい

 

「ジェットコースター離婚」というのは、数ヶ月や半年ほど交際して、スピード結婚した後、短期間でスピード離婚することをいうのだそうです。

 

そして、「ジェットコースター離婚」の一番の原因といわれるのが、価値観の違いです。夫婦が価値観の違いをお互いに受け入れられずに、離婚にいたってしまうことが多いようです。

 

こうした「ジェットコースター離婚」になりやすいといわれる熟年世代の結婚のメリット、デメリットについて考えてみます。

 

熟年の独身の方たちは安定した仕事をもち、楽しめる趣味もあり、生活パターンも出来上がっていることで、すでに充実した人生を謳歌しているケースが多いはずです。そこで、残された目標となるのが、「幸せな家庭を築くこと」なのではないでしょうか。そうなると、お付き合いする方とは自然と結婚を前提とすることになり、年齢のことも考えて早いほうがよい、と「スピード結婚」をするという流れになりやすいですね。こうした早い決断ができることは、メリットと考えてよいのではないでしょうか。

 

ほかにも、熟年世代は安定した生活基盤があるので、結婚後も落ち着いた生活を送ることができます。また、独りではなくなるので、寂しくなくなり、精神的に安定するでしょう。貯めてきた財産は子供に残すためでなく、夫婦二人の楽しみのために使うことができます。そして、パートナーができたことで、元気でいたい、若くありたいと前向きになり、努力することで、生活にハリができるはずです。

 

熟年世代では婚姻届は出さずに、事実婚という形を選択する方たちも少なくありませんが、熟年での結婚では、病気・老化も視野に入れたほうがよいでしょう。その場合「配偶者」になるメリットは大きいということです。たとえば病気になったときには、家族でなければ手術に立ち会えません。もっと先のことを考えれば、妻となれば葬儀を出せますし、相続もできます。また、お墓を建てることも、一緒のお墓に入ることもできます。こうしたことも熟年結婚では、メリットといえるのではないでしょうか。

 

 

■独身時代が長いほど、人にあわせるのは難しい

 

では、デメリットについてはどうでしょうか。

 

いくつで結婚したとしても、夫婦間の価値観の違いで夫婦関係がうまくいっていないご夫婦は多いものです。ただ、自分の価値観で生活してきた時間が長い熟年の方たちは、こだわりも強く、他人の価値観に合わせることはなかなか難しいようです。そうした価値観、言い換えればルールの違いは、生活をともにしていれば、身近なところにもたくさんあります。

 

たとえば、「歯磨きの時に水を出しっぱなしにするのが許せない」「寝る時、真っ暗にしないと眠れない」「休日は家でゆっくりゴロゴロしていたい」といった本当に些細なルールの違いで、お互いがストレスを感じるようになってしまいます。そして、日々の生活をするなかで、そうしたストレスは蓄積されていくのです。

 

そうしたお互いの価値観の違いをストレスと感じたときに、若い夫婦であれば、お互いに価値観をすり合わせたり、二人でルールを新しく作ったりするのではないでしょうか。また、ちょっとした価値観の違いであれば、お互いが少し我慢すればいいと、柔軟に考えていくこともできるのかもしれません。

 

ですが、熟年世代の方たちには、そうしたことは難しいのです。なぜなら、自分のペースとルールで長い間生活してきたことで、自分の生き方や考え方が固まっているうえに、自己主張も強くなっています。ですから、相手のちょっとした言動や行動であっても、自分の生き方や考え方にマッチしないと考え、「今さら考えの違う人と気を使って生きていきたくない。それなら独り身のほうが自由でいい」となってしまうのです。そして、再びお一人様を決断する人が多くなってしまうようです。

 

また、結婚に対して「最後の夢」と考えて、賭けているだけに「夢を壊される行動は許せない」となってしまうこともあるのでしょう。そうなると、経済的にも精神的にも自立できているので、「もうこんな生活をしたくない」とか「一人でいた方がいい」という気持ちが強くなってしまい、結果的に離婚を選択してしまうのです。

 

そうした結果にならないためにも、結婚前に、相手はどんな価値観なのか、どんなルールをもっているのかを見極めることが大切です。熟年だからこそ、時間をかけて交際をし、同棲なども試しながら、時間をかけて自分と合うかどうかをじっくり考えてください。結婚前は、相手を好きだから受け入れられると感じていても、一緒に生活する場面を具体的にイメージするなどして、相手の価値観や生活のルールなどを知っておく努力が必要です。

 

今回は、残念ながら「ジェットコースター離婚」となってしまった菊田さんも、今はもう「得がたい経験をさせてもらった」と吹っ切れているそうです。そして「熟年結婚を考えている人に一番言いたいことは、相手の暮らしぶり、金銭感覚、価値観をよく知ってから住み始めること。籍なんて最後でいい。熟年だからじっくりでいい」とアドバイスをくださいました。

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