文春事件に対するネット住民の熱量の少なさが気になる

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2017年05月23日 01:00  citrus

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週刊文春の発行元である文藝春秋社の営業担当が、取り次ぎの会社の「トーハン」から週刊新潮の中吊り広告を入手し、文春側に渡していたという“スクープ潰し事件”が、なにやら騒ぎになっている。
 
5月18日の『とくダネ!』(フジテレビ系)では、週刊SPA!の編集長を招き、約20分にもおよぶ特集を組んで、週刊誌の中吊り広告の効果や、ライバル誌同士の戦いの裏側などを報じていた。
 
いったい誰が悪いのか──正直、私にはわからない。そりゃあ、週刊誌業界の仁義をやぶる“スパイ的行為”に新潮側が激怒する気持ちは充分に理解できる。だが一方で、中吊りを事前に横流ししてくれる人物と出会ってしまったら最後、それくらいの“盗み見”はやっちゃうだろ……なんて邪な同情の念もなくはない。結局一番悪いのは、どういう流れと関係性があったのかは知らないが「文春側だけに横流しすることによって、なんらかのメリットを得たはずのトーハンなんじゃないか?」というのが、私の下した一応の結論としておく。
 
さて。三者三様いろんな言い分はあるんだろうけど、今回の事件で私がむしろ注目しているのは「ネット住民たちの反応」である。ネット上にざっと目をとおすかぎり、なんかテンションが低い。当事件を報じるどのネットニュースを見てみても……下にあるコメント欄の熱量が、とにかく少ないような気がしてしょうがないのだ。
 
たとえば、5月17日に産経新聞がネット上に配信した『週刊文春、スクープを盗み見? 新潮の中づりを業者から入手』というタイトルの記事。19日正午の段階でコメント数は76件。5月18日にdot.が配信した『「事実は一切ない」文春の反論に新潮が見解「自浄作用がな働かないことが露呈」』というタイトルの記事も、やはり19日正午の段階でコメント数は57件、と三桁に届かない。
 
コメントの内容も、
 
「モラルが無いな」
「越えてはいけない一線がある」
「他人に厳しく自分に甘い」
 
……ほか、至極真っ当すぎる、印象としては“おざなりなもの”ばかりだったりする。
 
もしかすると、この事件に関して大騒ぎしているのは週刊誌とテレビと新聞、つまり「昔から旧態依然と幅を利かせている既存的なメディア」だけなのではなかろうか。
 
政権をも揺るがす世紀の大スクープも、眞子様のご婚約も、濱松恵のMUTEKI出演の噂も、バナナマン日村がAbemaTVでぺぺローションをぐい飲みしたことも、分け隔てなく並列される世界に生きるネット住民たちにとって、「そのネタの発信元はどこなのか?」はおそらく“わりとどーでもいい話”で、要は「自分の興味あるネタを一秒でも早く伝えてくれることメディアこそが正義」……なんだと思う。ゆえに、「中吊りの事前入手」というスパイ行為に対しても、そこまでの「ルール違反」「仁義やぶり」「モラルの欠如」……みたいな感覚は抱いていないのではないか?
 
週刊誌・テレビ・新聞(=騒いでいる側)vsネット(=意外と静観している側)──単純な数だけで言えば、「3対1」で既存メディアチームの圧勝だ。しかし、新興メディアのこの「1」が、今後どこまで勢力を延ばし、「3」へと比率的に肉迫していくのかは、現時点でまったく予測できない……。
 

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