ちゃんと知っておきたい! 返さなくていい「給付型」奨学金

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2017年05月23日 19:13  スタディサプリ進路

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スタディサプリ進路

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大学に進学したいけど、お金がかかるし、保護者に迷惑かけたくない…という理由で進学を躊躇している人もいるのでは? そこで利用を検討したいのが奨学金。 国の奨学金事業を担当するJASSO(ジャッソ:独立行政法人日本学生支援機構)の調査によると、大学生全体の51.3%、約半数以上の学生が何らかの形で奨学金を受けている。 ただ多くが「貸与型※」の奨学金なので、卒業後に就職して返していけるかどうか心細く思っている高校生もいるだろう。 そんな人にぜひ知ってほしいのは、返さなくていい「給付型※」奨学金もあるということ。 2017年4月からJASSOの奨学金に新たに給付型制度が始まっているほか、独自の給付型奨学金制度をもつ学校、地方自治体などが増えている。 そこでどんな制度があるのか、特色を紹介しよう! お話をうかがったのは、ファイナンシャル・プランナー(FP※)の豊田眞弓(とよだ・まゆみ)さん。 豊田さんはFP事務所「FPラウンジ (http://happy-fp.com/)」の代表で、奨学金など子どもの教育資金の制度にも精通する専門家だ。 「どのようにして学費を用意するのか」をテーマに、高校の進路指導の先生や生徒の保護者を対象にした講演、セミナーで講師として活躍している。 貸与型 学費に必要なお金を貸してもらえる奨学金。 借りたお金なので、学校を卒業したら返さないといけない。 給付型 学費に必要なお金が給付される奨学金。 もらえるお金なので、返さなくていい。 ※ファイナンシャル・プランナー(FP)とは 顧客の生活スタイルや家計状況などを分析し、顧客のライフプランを達成するための貯蓄計画、生命保険の見直しなどのアドバイスを行う専門家。 JASSOの「給付型」奨学金がスタート:月額2〜4万円 " width= (https://journal.shingakunet.com/wp-content/uploads/2017/05/shou_03.jpg) 「給付型の奨学金にもいろいろあって、支給を受けるための条件もさまざまです。 保護者の年収、生徒さん本人の成績のほか、首都圏以外の地方在住者など地域が限定されていたり、進学する学部や分野の規定があるケースもあります。 利用を希望する人は、志望校選びの段階から奨学金情報を集めておくことをおすすめします」 と、豊田さん。 まず、新たにスタートしたJASSOの給付型奨学金についてみてみよう。 " width= (https://journal.shingakunet.com/wp-content/uploads/2017/05/shou_02.jpg) 2017年度は児童養護施設出身の学生と住民税非課税世帯の一部(私立自宅外通学のみ)を支給対象にした先行実施で、2018年4月から本格的に実施される。 「支給を受けられるのは、家庭の収入が低い人(住民税非課税世帯)のうち、1学年あたり2万人。 文部科学省によれば現在、全国に約5000校の高校がありますから、1校あたり平均して4人ほどの生徒さんに支給されるという計算になります。 もらえる金額は、進路などの負担に応じて月額2〜4万円。 学費のすべてをまかなえるという金額ではないかもしれませんが、経済的な事情で進学か就職か深刻に悩んでいる高校生にとっては、助けになる制度です。 応募には学校推薦が必要なので、支給を検討したい生徒さんは早めに先生に相談してください」 【JASSOの給付型奨学金(2018年度進学者)の概要】 ●対象者 住民税非課税世帯であることなど。 学力・資質基準はJASSOから提示するガイドラインを踏まえて各高校などが定める ●給付月額 国公立(自宅通学):月額2万円 国公立(自宅外通学):月額3万円 私立(自宅通学):月額3万円 私立(自宅外通学):月額4万円 *児童養護施設出身者などには別途24万円の入学一時金を支給 各校独自の制度のなかで要注目は「予約型の給付奨学金」 JASSOのほかにも、高校生のみんなが進学したいと思っている大学・短大・専門学校でも給付型奨学金の制度をもつケースがある。 では、どのような給付型制度があるのだろう? 主な給付型制度 ・比較的多くの学校で実施しているのは、奨学生の選抜試験などによって選ばれた学生が奨学金をもらえるという制度(入学試験の成績優秀者を対象とする場合もある)。 ・入学後に優秀な学業成績をあげ、申請して選考審査にパスすればもらえるという奨学金制度。 ※各校で制度の対象者や内容は異なる 最近、各学校で導入するケースが増えているのは「予約型給付奨学金」。 入学試験の出願時に申し込み、書類審査で奨学生の採用候補者として認定されると、入学前の時点で奨学金受給の予約ができるという制度。 合格すると、入学後、奨学金を受けることができる。 「予約型給付だと、入学前に奨学金をもらえることがわかるので安心です。 教育資金の計画が立てやすくなるというメリットもあるし、大学によっては採用人数が多かったり、成績がものすごく上位でなくても受給できるケースもあります。 志望校の予約型の給付型制度の有無や内容は、しっかり調べておきましょう」 【大学の予約給付型の奨学金制度の例】 ☆慶應義塾大学 ●「学問のすゝめ奨学金」:年額60〜90万円 ●応募条件など ・首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)以外の地方の受験生が対象。 ・保護者の年収が1000万円未満(事業所得者の場合は514万円未満)などの基準を満たし、高校から推薦を得ることが必要。 ・採用人数は500名。 ●給付額 医学部:年額90万円 薬学部薬学科:年額80万円 その他の学部:年額60万円 ※毎年、申請・審査により、卒業まで継続して受給することが可能。 URL:慶應義塾大学 「学問のすゝめ奨学金」 (http://www.gakuji.keio.ac.jp/life/shogaku/gakumon.html) ☆青山学院大学 ●「地の塩、世の光奨学金」:年額50万円 ●応募条件など ・首都圏(島しょ部を除く東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)以外の地方の受験生が対象。 ・保護者の年収が800万円未満(事業所得者の場合は350万円未満)などの条件あり。 ・採用人数は約350名。 ●給付額 年額50万円 ※4年間給付(毎年の進級時に学業成績および家計状況による継続審査あり) URL:青山学院大学 「地の塩、世の光奨学金」 (http://www.aoyama.ac.jp/life/expenses/scholarship_prospective/) ☆立命館大学 ●「近畿圏外からの入学者を支援する奨学金」:年額30万円 ●応募条件など ・近畿圏(京都府・滋賀県・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)以外の都道県の受験生が対象。 ・父母の年収が600万円以下(事業所得者の場合は197万円以下)などの条件あり。 ・採用人数は200名程度。 ●給付額 年額30万円(6月と12月に半額ずつ支給) ※4年間給付(薬学部薬学科のみ6年間) 毎年受給資格審査あり URL:立命館大学 「近畿圏外からの入学者を支援する奨学金」 (https://ritsnet.ritsumei.jp/fee/scholarship/prescholarship.html) ☆お茶の水女子大学 ●「みがかずば奨学金」:年額30万円 ●応募条件など ・父母の年収合計が900万円未満(給与所得者以外の場合は414万円未満)。 ・「調査書の学習成績概評がA以上の者」などの条件あり。 ・採用人数は25名。 ●給付額 1年次30万円 2年次30万円 URL:お茶の水女子大学 「みがかずば奨学金」 (http://www.ocha.ac.jp/campuslife/scholarship/migakazuba.html) 住んでいる都道府県や市区町村に給付型の奨学金制度がある場合も! " width= (https://journal.shingakunet.com/wp-content/uploads/2017/05/shou_04.jpg) 地方自治体のなかにも、独自に給付型の奨学金制度を設けている都道府県、市区町村がある。 利用するには、奨学金を支給する自治体に本人または保護者が住んでいる、もしくはその自治体の出身者であることが条件になっているケースがほとんど。 自分が住んでいる地域にどんな奨学金制度があるのか、情報収集をしておきたい。 「自治体によって奨学金の利用条件はさまざまですが、入学準備金を支給する自治体もありますよ。 また、基本は貸与型の奨学金ながらも、卒業後に地元に戻って就職することを条件に返還の一部を免除するという制度をもつ自治体もみられます。 ただ他の奨学金制度との併用ができないとしている自治体が多く、注意が必要です。 地元自治体のホームページで調べたり、役所などに問い合わせてみて、応募条件を確認してください」 【地方自治体の給付型の奨学金の例】 ☆東京都江戸川区 ●「木全(きまた)・手嶋育英資金」:年額35万円 ●応募条件など ・区内に1年以上在住の4年制大学進学希望者など。 ・第一次選考(書類選考)と第二次選考(面接選考)によって選考。 ・採用人数は10名程度。 ●給付額 修学金:年額35万円 ※給付期間は進学先大学の正規の修業年限 このほか、入学金20万円 URL:江戸川区公式サイト 「木全(きまた)・手嶋育英資金」 (https://www.city.edogawa.tokyo.jp/kyouiku/shogakukin/aa12001020140715162834201.html) ☆沖縄県(沖縄県教育委員会) ●「沖縄県県外進学大学生奨学金制度」:年額84万円以内 ●応募条件など ・沖縄県外にある指定の大学への進学を希望する高校生が対象。 ・学習成績が上位であること(平均評定値4.0以上)。 ・家計基準などの条件あり。 ・採用人数は25名程度。 ●給付額 年額84万円以内(授業料、学校納付金、住居・水道光熱費の実費相当額) ※卒業時(標準修業年限終期)まで給付 このほかに入学支度金として30万円以内(大学入学金および受験料の実費相当額) URL:沖縄県教育委員会 「沖縄県県外進学大学生奨学金制度」 (http://www.pref.okinawa.jp/edu/shien/syougakukyuuhukinn/bosyuu.html) 医療・福祉分野の仕事を目指し、進学を考えている人は自治体などの修学資金を! 医療・福祉系の国家資格取得を目指すために専門学校や大学などへの進学を考えている人は、地方自治体や各地の社会福祉協議会などが実施する「修学資金」というサポート制度に注目してほしい。 対象となる資格は、医師、看護師、助産師、介護福祉士、社会福祉士、保育士、理学療法士、作業療法士など。 これはもらえる奨学金ではなく、貸与型なのだが、「卒業後、資格を取得して奨学金を受けた自治体にある施設に就職し、一定期間以上働くこと」などの条件を満たせば「返さなくてもいい」という制度。 「この制度は、その地域で人材の確保に力を入れている職種を目指す学生さんを支援することが目的です。 対象資格や利用条件は自治体によって異なっていますので、お住まいの自治体や志望校のある自治体でどの資格を対象としているのか事前に確認しておきましょう」 【医療・福祉分野の修学資金制度の例】 ☆東京都(東京都福祉保健局) ●看護師等修学資金「第一種」:月額3万2000円(国公立の養成所で学ぶ場合) ●制度の内容 ・東京都内の看護師養成所(看護系大学・短大・専門学校など)で学び、将来、都内で看護業務に就こうとしている学生が対象。 ・貸与型の奨学金だが、「第一種」奨学金の場合、卒業・資格取得後、すぐに都内の指定施設に就業し、5年間看護業務に従事した場合、申請により、全額返還免除を受けることができる。 ●養成所の対象となる課程 看護師、助産師、保健師、准看護師など ●貸与内容 ・国公立の養成所で学ぶ場合、月額3万2000円 ・国公立以外の養成所で学ぶ場合、月額3万6000円 ・准看護師を目指す課程で学ぶ場合、一律で月額2万1000円 ・貸与期間は正規の修業年限 ※返還免除を受けられない「第二種」は対象の課程・設置主体にかかわらず、貸与金額は月額2万5000円(最大二口:2万5000円×2口) URL:東京都福祉保健局 看護師等修学資金「第一種」 (http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/shikaku/syugaku/seido.html) ☆愛知県(社会福祉法人) ●社会福祉協議会保育士修学資金:月額5万円以内 ●制度の内容 ・愛知県内の保育士養成施設で学ぶ人が、在学期間中、学費の貸与を受けられる制度(最大2年間)。 ・卒業・資格取得後1年以内に保育士として登録し、愛知県内で保育士として就業し、以後5年間その業務に従事した場合、全額返済免除になる。 ●貸与内容 修学資金:月額5万円以内 このほか、入学準備金20万円以内、就職準備金20万円以内 URL:愛知県社会福祉法人 社会福祉協議会保育士修学資金について【PDF】 (http://www.aichi-fukushi.or.jp/intoro/jinzai/pdf/nsl_guide.pdf) 奨学金情報のチェックポイントとは? " width= (https://journal.shingakunet.com/wp-content/uploads/2017/05/shou_06.jpg) このように多種多様にある、もらえる奨学金制度。 「情報収集をどこからどう始めたらいいのかわからないという人は、まず、JASSOのホームページ (http://www.jasso.go.jp/)の『JASSO以外の奨学金情報』のコーナーをみてみるといいでしょう。 大学など学校独自の制度や、自治体、公益法人などの奨学金事業実施団体の情報がまとめて紹介されていて、地域や学校の種類などのキーワードで検索もできますよ」 豊田さんによると、奨学金情報のチェックポイントは、もらえる金額のほか、下記の利用条件だという。 奨学金情報のチェックポイント ・学業成績の基準 ・保護者の収入 ・募集・応募の時期 ・支給開始時期 ・支給期間 ・他の奨学金と併用可能かどうか 「奨学金をもらって、希望の進学をかなえたい」と、真剣に考えているキミ! さっそく、詳しく調べてみよう! " width= (https://journal.shingakunet.com/wp-content/uploads/2017/05/shou_01.jpg) ※この記事は、2017年4月17日時点の奨学金情報をもとに構成しております。 ★★【気になる仕事・学問・資格】 × 【行きたいエリア】 から専門学校を探してみよう! (https://shingakunet.com/senkaku/)★★ ★★★大学・短大についてもっと知りたい人はコチラ (https://shingakunet.com/daitan/)!★★★

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  • こういうのは、知識として持ってて損はないと思う。自分が困ったとき、助けてくれる制度を探す力は、はやくから身につけた方がいい。申請ってのは、色々面倒くさいものやから。
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